2020年のLJLサマースプリットは、おそらくここ数年で最も面白いシーズンとなっている。2016の夏以来となるが、DFMがレギュラーシーズンをリードしていないのだ。
サマースプリットでは3チームがコンスタントに強さを見せてきたが、面白いことに中堅チームが試合を脅かしている。
先週、Sengoku Gaming(以下、SG)はV3 Esports(以下、V3)に挑戦した。これら2人の巨人同士の対決は、我々にとって非常に興味深い試合だった。
では早速、ドラフトから見ていこう。
全体的には、前回の記事のようなドラフトに対する批判はそれほどない。私がいくつか気づいた点について、順不同で記載するに留めておこう。
レッドサイド4番目ピックのタム・ケンチは本当に好きだ。ジンはプロシーンではアッシュへのカウンターピックとしてよく使われるようになったが、それは別にアッシュとの1v1に強いからというわけではない。
実際、ジンはアッシュのカウンターピックとしてほぼ独占的にピックされているにもかかわらず、このスプリットでは33試合で42%の勝率となっている。ジンはゾーイやノーチラスのようなキャッチ力の高いチャンピオンを支援するのに優れており、ガンクアシストも得意なのだ。
アッシュはガンクに非常に弱く、タム・ケンチはレーンでのプレッシャーと引き換えに、アッシュの安全性を高め、ゾーイの脅威を減らす役割を果たしている。
レッドサイド3番目のカミールのブラインドピックは、自信たっぷりだ。カミールはapaMENが多くピックするチャンピオンに対して、特にレーン戦で苦戦する可能性がある。例えば、エイトロックス、モルデカイザー、レネクトンというapaMENがよくピックするこれらの3チャンピオンは、いずれもレーン戦でカミールを上回る。
さらに、apaMENの得意ピックの一つであるガングプランクにも、カミールは苦戦する。このピック、別に嫌いではないが、好きでもない。私ならガングプランクをバンして、ウーコンをピックしただろう。
とは言うものの、ブルーサイド4番目のエイトロックスのピックもちょっと変な感じがする。エイトロックスはレーン戦で勝っても、試合が大体30分以上になると完全に失速してしまい、まさにこの理由で、世界的に13試合で38%の勝率となっている。ここではガングプランクを選んだ方が良かった。繰り返しになるが、別に嫌いでもないし、好きでもない。
こうしたドラフトを経て、私はいくつかの大まかな考えを持つに至った。それをブレイクダウンしていこうと思う。
第一に、一般的な話になるが、この試合は、いかに視界を確保し、その周りでプレーできるかが大きな焦点になりそうだと考えた。SGのキャッチツールであるジン、ゾーイ、ノーチラスがどれだけ強力かについては前述した。さらに、グレイブスは物理防御の高さ(Eで物理防御が上昇する)を利用して、序盤でカ=ジックスを狩ることもできる。
対するV3は、カミール、ルブラン、カ=ジックスの3人のダイバーチャンピオンで挑み、エンゲージツールとしてアッシュのクリスタルアローを持っている。両チームともフロントラインが弱いため、少数戦はすぐに終わってしまう。
そのため、戦いを仕掛けた側が通常は勝つだろう。SGは、視界のコントロールにおいてLJLでトップクラスのチームである。1 分間にどれだけ多くのワードを配置するかで少しリードしていて、さらに相手のワードを取り除くことでは、はるかに優れている。この点では、SGに1ポイント与えよう。
第二に、もしV3がイーブンの状態でゲーム時間25分に到達した場合、実際にはV3が勝っていることを意味する。試合が35分に到達した場合、SGはPireanのキャッチに非常に大きく依存することになるが、これはタム・ケンチがいるため難しくなる。私個人としては、試合が長引くと嬉しいので、心の中でV3に1ポイントを与えることにした。
しかし、そのポイントを打ち消すために、SGにはこの試合で優位を築くための選択肢が豊富にある。BlankはAce以外のプレイヤーを合理的にターゲットにすることが可能だ。
- Blankはソロレーンの優位を頼りにBugiをジャングルから追い出すことができる。
- Blankはエイトロックスの強力なレーニングを利用してPazを何度も何度も倒すことができる。
- ArcherとRainaが試合に関与するのを阻むために、Blankはボットデュオの強力なCCを利用することができる。
もし私がこのゲームで起こった面白いことをすべて読者の皆さんに伝えようと思ったら、記事を読み終える前にLoLを1回プレイできるほどの時間がかかると思う。だからいくつかの重要なポイントに焦点を当てることにしたい。
試合はBlankが「選択肢その1」を取り、Bugiのファームを否定するところから始まった。しかし、トップサイドのインベードとファーストブラッドから分かるように、Aceがミッドレーンで優位を築いており、Blankはチームが遅れを取っていることに気がついた。
Blankはその後、ボットレーンで少し時間を使おうと試みた。そこで我々の予想しなかったファイトが起こる。Pazはテレポートでファイトに参加しようと試み、PireanはBugiをキルし、結局V3は何も得るものがなかった。
ここで、SGのスノーボールを可能にする非常に重要な出来事が起こった。それが一体何なのか、読者の皆さんも少し考えてみて欲しい。必要に応じて、もう一度クリップを見ると良いと思う。
さぁ、準備はいいかい?
答え:Pazがフラッシュを使ったのに、キルを取れなかった。
エイトロックスは、レーン戦でカミールを抑え込めると述べたことを覚えているだろうか。また、Blankがエイトロックスのパワーを利用して、Pazをゲームから除外させることができると述べたことも覚えているだろうか。チャンピオン同士の相性の時点で、Pazは既に不利を背負っていたのに、今ではレーン戦を全く戦えなくなってしまったのだ。
これでBlankは、Bugiのトップ側ジャングルに対するフリーパスを突然得たことになった。タワーダイブも可能だ。V3は、少なくとも向こう5分間、リフトヘラルドの奪い合いに参加できなくなった。では、SGがPazのオーバーアグレッション(攻撃的になりすぎること)をどのように咎めたのかを見てみよう。
SGはリフトヘラルドを確実に獲得するためボットデュオをトップ側まで招集し、信じられないジンの狙撃でBugiを倒し、V3のトップレーンで起きている問題を悪化させた。
apaMENがついに牙を剥き、タワーダイブしてPazをソロキル。
Blankが上がってきて再びPazにダイブを決めた。
Pazはもはや完全にゲームから除外されてしまった。さらに、SGはトップ以外のマップでも特に何か手放したわけではないので、ゲームをきれいに畳むことができる圧倒的な立場にいる。SGはそのまま視界管理とキャッチを狙うこともできたが、試合がここまで白黒付き始めた今、単にキャッチが得意な構成だからという理由だけでそうし続けるのは良くない。
ここからは、SGがどのような方法で試合を畳んだのかを説明したい。
この試合では、基本的に仕掛けた側が勝つと述べたことを覚えているだろうか? 川のブッシュのコントロールワードに注目して欲しい。SGは、自ら仕掛けなかったとしても、この戦闘の準備ができていたのだ。
次のクリップは、視界の奪い合いが両チームに重要なことを改めて強調している。PireanがBugiの近くでコントロールワードをクリアしているのを見て、Archerは画面右上でEntyと戦うことを判断したが、手遅れになるまでBlankが近づいていることに気づかなかった。(訳注:Blankは視界の無いルートを北上し、青バフの壁を越えてArcherに接近している)
エイトロックス後半失速の兆しが見える中、何度かapaMENがキャッチされてはいたが、SGはほぼ完璧に近い情報を持ってこのファイトを戦っている。そのため、apaMENがバックラインに簡単に到達できるようになっている。
オーシャンソウルドラゴンの周りのいくつかの重要なミスもまた、効果的にV3の運命を封印した。Aceがブッシュから視界に足を踏み出し、Bugiが角を歩き回ってワードに映ったことに注意して欲しい。
バロンバフとオーシャンソウルを手にしたSGは、敵のベースに足を踏み入れて試合を締めくくった。
SGの合計視界スコア209に対し、V3は167だった。
SGは、序盤のミスを確実に咎めるという素晴らしい仕事ぶりを見せた。その後、視界管理による情報のアドバンテージを活用し、V3の命を奪った。
SGは小さな一貫性の問題を抱えており少しパフォーマンスが安定せず、V3が勝ったチームとの試合を落とすなどしているが、それにもかかわらず、SGは非常に知的なリーグ・オブ・レジェンドのプレイを披露してくれた。そして、LoLにおいて頻繁に無視される重要な部分について卓越していることも我々に示してくれた。
次回LJLは8/5(水)12:00、DFM対SHGのタイブレーク(4位決定戦)でござる。
コメント
この試合まーじで面白かったわ
いい意味でLJLぽくなかった
素晴らしい記事
このシリーズ好きなので感謝でござる
最近のLJLで一番ハイレベルに感じたでござ
>SGは小さな一貫性の問題を抱えており、
はて?
度々の寄稿ありがたいでござるな
翻訳にも感謝
ファイト頻発してたからレベル高く見えたけど実際は1ミスから修正出来ないまま無謀な戦い挑んでただけの一方的な試合だったんだな
重要なものにしか触れてないけど細かいミスもたくさんあったんだろうし面白かった分V3には少しガッカリ・・・
>>3
原文見ると
>While Sengoku have shown some small consistency issues, dropping games to opponents V3 have not
だから「SGは少し安定しない」ぐらいの意味で取ってもいいかもね。
>エイトロックスはレーン戦で勝っても、試合が大体30分以上になると完全に失速してしまい
これ、元プロKRマスターコーチの解説動画で「ソロQプロピックもエイトロックスは後半誰も勝てない」みたいな事言ってたんだけど
CDR積んだら後半最強って訳じゃないのか?
どっちが正しいんだ
プレーオフ前にタイブレークなかったっけ?終わった?
タイブレークは明日の12時からやね
エイトロ対カミールってレーン戦はむしろカミール側が微有利ぐらいに思ってたわ
今のエイトロのレーニングが強力で30分以降失速するって話も初めて聞いた
元からこうだったの?それともメタによって変わった?
※10
opggのマッチアップ(つまりKR)でLane Kill Rateでエイトロ7%有利で15-20分までcsもexpも有利(そこから逆転されている)
U.GGでマッチアップ見ても20分までの数値でgoldやexpの項目すべてエイトロ有利(勝率自体は不利)
なんでソロQでのデータでレーンだけ見るならエイトロ有利じゃないかな
恐らくカミールは接近しないと有利なダメージトレードが出来ないけど、エイトロはQを投げられるからレーニングはエイトロ有利で判定されている
プロシーンだと前に突っ込むようなリスクのあるダメージトレードがしにくいのでソロQより投げ物を持っているチャンプが強めになる
後半失速するという話も集団戦でカミールの方がバックラインに入りやすいとか、キャッチに貢献しやすいとかそういう話で、ソロQとはあんまり関係ないと思う
うーん寄稿した人がアメリカ人だから仕方ないけど
Pazが池田エライザの森のくまさんが大好きだったという情報が抜け落ちているように感じる。
その池田エライザはYoutuberの水溜りボンド カンタと半同棲生活という報道があったばかりだ。
プレイに支障が出てしまうのも頷ける
8/5にDFMとSHGの順位決定戦があるでござる
8殿 9殿 14殿
教えていただきありがとうなり。これからもよろしくお願いするなり。
6殿
そっちのほうがしっくりくるので、訳を見直してみたなり。ありがとうなり。
理解度の違いじゃないかな
レーン強いチャンプは握撃なんて持たないよ
回転のいいマナなしのAOEで永遠押されてはEをEでかわされるんじゃね
実にいい試合、良い解説でござった。
もやし殿には是非ともSGの小さな問題を、その大きな筋肉で粉砕して欲しいでござる。
金剣持ってW先端必ず当てれば勝てる
一貫した問題・・・一体何もやしのことなんだ・・・
※7
Cubeの話かな?ちなみにそれはKRマスターが間違ってるよ。エイトロはどちらかというと序盤のチャンプ。
ユーザーの戦績表示にリソース割いてるからAPIのデータ取得の質が悪いopggじゃ後半の勝率が高いなんて表示されるけど、Lolalyticsやらのガチガチにサーバーのリソースを統計に絞ってるサイト見れば後半の勝率は断然低い。
KRマスターはopggしか見てないようだからそこらへんかなり間違ってるね。
大会のエイトロックスのデータ見ても後半失速してるものばかりだし、卑下してる訳じゃないけどプレイヤースキルがあってもデータの分析力は得意じゃないみたいだから、鵜呑みにしない方がいいよ。
とにかくゲームプランの立て方(多分Blank)が上手く、しかも状況に合わせた戦略をすぐに立て直せるってのと
それをしっかりと遂行できるapaって感じだったな
もやしはちゃんともやししてたし