感情をコントロールできなくなってしまったプレイヤーたちの歴史
- 海外ユーザーが投稿した、過去に経験した深刻なトキシック行動をめぐるエピソードが多数集まり、過去の海外LoLコミュニティの一側面が浮かび上がった。
- ゲーム内外での嫌がらせや脅迫、意図的な試合放棄など、LoLを通して現れた極端なプレイヤー行動が記録されている。
- Riotによる通報システム強化、厳罰化が進む中、こうした投稿はLoLの過去の歴史を振り返り、今の状況を考えるきっかけとなっている。
「なんでこの人、ここまで拗らせているんだ?」
そんなプレイヤーに出会ったことがあるかもしれない。
今回は、海外ユーザーたちが語った“過去最悪のトキシック体験”を紹介する。
LoLを通じて見えた、コントロールを失った人間のむき出しの感情。
この記事は、そんな歴史の記録である。
やぁみんな。
LoLのプレイヤーの民度は時代とともにどのように変化してきているのだろうか。ある人は「良くなった」と言い、またある人は「悪くなった」ともいう。
俺は気になるんだ。
お前らが今まで出会った中で最もトキシックだった出来事は何だ?
そしてそれは、最近のことなのか、はるか昔のことなのか。その試合はその出来事のせいでどうなった?そして、お前らはどのようにそれに反応した?
今のLoLコミュニティを理解するため、たくさんの経験を語ってほしい。イライラしたこと、驚いたこと、純粋な悪。何でも語ってほしい。
反応
- 俺が今まで見た中でいちばんヤバかったのは、「10ユーロ払うかゲームを負けにするか」というのを本気で持ち掛けてきた奴だな。
誰も反応しなかったんだが、そいつはトップに俺と一緒に来て敵のフリーズを助け、経験値を吸い、CSを取れないようにした。俺がプレイ不可能なふりを背負うまで続けて、その後はマップ中を走り回って敵を助けていたな。
もちろん俺たちは負けた。数週間後にアカウントをチェックしたんだが、そいつは一か月以上も野放しにされ、BANまでに150試合くらいかかっていた。
- 少なくとも、それには理由がある。そいつは1日の賃金が10ユーロ以下の国から来たんだろう。
コレクターをリアルの人生で買えって言われたことがある。口の中に入れて引き金を引けとさ。凄いトキシックなんだけど、笑っちゃったね。
- 絶対的に一番トキシックだったのは、数年の前のことだな。俺の味方の1人が、俺がシルバー1からゴールドに上がろうとしている昇格戦だということに気づいた。
そしたら、わざと試合に参加せず負けようとしてきた。
俺はゲームの中では一切チャットしなかったけど、リアルでは本当にキレちゃったよ。
- 俺にハッキングか何かをしかけて、どこに住んでいるかを特定したと主張してきたやつ。「リアルであったら覚悟しとけよ」という脅迫を受けた。
俺が笑ったのは、そいつが言ってきた情報は10年以上も前のものだということ。もう違う国に住んでるっつーの。
これが試合にどう影響したかだが、そいつがずっとチャットしているあいだ突っ立っているもんだから、他のレーンの奴が「AFKすんな」ってブチぎれてたし、全体チャットでタイプミスしたもんだから対戦相手からは「お前酔っぱらってんの??」とか言われていたな。
- 一度デスしたら突然インナーとアウタータワーの間でうろうろするだけになったサポートを見たことがある。その後は、エンゲージをするふりをして取り返しのつかないところまで味方が来たら速攻逃げて集団戦を負けにしていた。
- マスターまでランクを上げようとしていたときのことだが、俺のトップレーナーがレベル2でソロキルされた。そしたらアイテムをすべて売ってミッドでわざとデスを繰り返しはじめた。
その後、味方のジャングルが敵のタワーを殴っているトップを倒したんだ。そうしたら敵のトップもアイテムを売ってわざとデスを繰り返しはじめた。
クッソ面白かったけどね。チャットでは両方暴言吐いてたよ。
- ハッキングかなんかで特定して俺のことを本名で呼んできたたうえ、死んでしまったペットの猫のことを言ってきた奴がいた。
- マジもんのサイコじゃん。
- ある年のクリスマス前に、誰かに言われたこと。
「このクリスマスイブ、お前の家族が全員交通事故で○にますように。でもお前だけは生き残って、家族を失った上に用意したプレゼントも全部無駄になりますように」
すばらしい挑発だよな。しかも味方から。
- すみません。懺悔いたします。
俺は10年前にとんでもなくトキシックで、特にマスターになってからは同じグループでつるんでプレイし始めた。
ゲーム内で相手を煽って、ゲーム終了後には謝ってフレンド依頼。承認されたらデュオを申し込んで、成立したらヨリックでAFK。
何も誇れない。本当に黒歴史だ。
- マジで頭おかしい。どうやって生きてたらそんな発想になんの?
金曜の夜に、時間を犠牲にしてまで味方のゲームを台無しにすることに心血を注いでる奴は不思議でならない。
- マジで頭おかしい。どうやって生きてたらそんな発想になんの?
真のサイコパス
- 不倫をされた元妻と別れた後のこと。俺はLoLをプレイしていたんだ。すでに俺はうつや不安感を抱えており、LoLは皮肉なことに俺にとっての憩いの場所だった。
ノーマルで、何かのはずみでフィードしてしまったんだ。味方が猛烈に俺のことを非難し始めたので、俺は「実際俺はうつ病であり、浮気され離婚したばかりで精神に問題を抱えている」と言ったんだ。
そうしたら、「お前はどうしようもないクズだから浮気されて良かったし、無駄だからさっさと○ぬべきだ、今すぐに」と言ってきた。
俺はすぐに切断して、過呼吸とパニックを起こしながら部屋の隅で震えることになった。なぜ見知らぬ他人がネット上であそこまで人間に対して残酷なことを言えるのだろうか理解できなかった。
あの瞬間は今も忘れられない。
- 誰かがフレンド依頼を試合後に送ってきて、「特定した。お前もお前の家族もみんな○してやる」と言われたことがあった。
でも、99.9999999%イキリキッズの脅しだね。10年近くたった今でも俺は生きているしね。
- 油断するなよ!まだそいつは「スケール」している最中かもしれないぜ!
参考:私たちがトキシックにならないためにできること
映画『シャイニング』において、主人公のジャック・ニコルソンは冒頭で「私は大丈夫」と余裕の笑顔を見せた。でも、映画終盤では全然大丈夫じゃなかった。まさに狂気の権化となった彼は、異常行動を繰り返した。
これは、私たちもトキシックになる可能性があることを示している。深淵を覗き込むとき、深淵もまた云々なのだ。
ここでは、プレイヤーがトキシックになる主な要因と、トキシックにならないために自分自身で取り組める自衛策を紹介する。
なぜ人はトキシックになってしまうのか?
プレイヤー側の要因:心理的、性格的な要因
自己抑制:感情コントロールが苦手で衝動に流されやすい
ストレスや失敗に対して冷静に対処するのが苦手なプレイヤーは、LoLのような高負荷な環境下で感情を爆発させてしまいやすい。
他人の些細なミスや期待外れの展開に過剰反応し、「ふざけんな」などの攻撃的な発言へとつながるケースも少なくない。
本人に強い悪意があるわけではなくても、「不快だから責める」「納得できないから怒鳴る」といった短絡的な行動を繰り返すうちに、チームの空気は確実に悪化していく。
実際の研究でも、精神的な成熟度合いや感情コントロールの苦手さは、トキシックな言動の有意な予測因子として確認されている。
想像力:他人の感情を想像するのが苦手
他人がどう感じるかに関心が薄く、自分の視点や感情を優先してしまうタイプのプレイヤーは、言葉の影響を考えずに攻撃的な発言をしてしまうことがある。
たとえば、「フィードすんな」「お前が悪い」などの言葉は、正しさを主張しているつもりでも、相手にとっては一方的な非難として受け取られ、状況を悪化させやすい。
共感性や協調性が高い人は、その場の空気を読みつつ冷静に対応しようとするが、共感性が低い人ほど「自分は正しい」と考え、正論を盾にして他人を傷つけてしまう傾向がある。
研究でも、共感性の低さや協調性の欠如は、トキシックな発言・行動の予測因子として確認されている。
- Kordyaka et al. (2020), Escaping the toxic trap?
- Donner (2024), Teamplay, Communication, and Toxicity in League of Legends
- Zhang et al. (2024), Understanding the Causes of Toxic Behavior in Online Games
同一化:LoLが好きすぎて、のめり込みすぎている
LoLに対する思い入れが強く、勝敗やパフォーマンスが自尊心と結びついてしまっているプレイヤーは、試合中に感情的になりやすい傾向がある。
「この試合で勝てないと、自分の価値が否定される」「味方のミスが許せない」といった思考に陥ると、些細な出来事にも強い反応を示してしまう。
とくに、真剣にプレイしているプレイヤーほど、味方の動きに対して過剰な期待や理想を抱きやすく、それが裏切られたと感じたときにトキシックな態度に変わることがある。
これはLoLを「楽しむ対象」ではなく、「自己証明の場」として捉えてしまっている状態とも言える。
研究でも、ゲームへの没入度が高く、自己評価とゲーム結果が強く結びついているプレイヤーほど、感情の起伏が激しく、トキシック行動に出やすいとされている。
匿名性:バレないからやってもいいと思ってしまう
LoLのようなオンラインゲームでは、実名や顔を出す必要がなく、基本的にプレイヤー同士は匿名でやり取りする。
この「誰かに見られていない」という感覚は、人の言動に大きな影響を与える。
本来ならリアルでは口にしないような暴言や煽りでも、「今だけの関係」「どうせ二度と会わない」と思うことで、自制心が外れてしまうのだ。
この心理状態は「オンライン脱抑制効果(Online Disinhibition Effect)」と呼ばれ、匿名性が高い環境では攻撃的な言動が出やすくなることが複数の研究で確認されている。
つまり、トキシックな行動は、“元から悪意がある人”ではなくても匿名性によって誘発される可能性がある。
- Kordyaka et al. (2020), Escaping the toxic trap?
- Donner (2024), Teamplay, Communication, and Toxicity in League of Legends
ストレスに対する防衛反応:自我を守るために人のせいにする
MOBAは緊張感の高い競技的なゲームジャンルであり、ミスや連敗、理不尽な負け展開など、強いストレスを感じる瞬間が頻繁にある。
このストレスに直面したとき、人はしばしば「自分を守る」ために、原因を外に求めようとする。
つまり、「負けたのは味方のせいだ」「自分は悪くない」と考えることで、悔しさや不快感を処理しようとするのだ。
このような他者非難の反応は、防衛機制の一種であり、怒りやフラストレーションを発散するための行動として、トキシックな言動につながりやすいとされている。
特に、感情の処理が間に合わないプレイヤーほど、その場で爆発的に他人を責めてしまう傾向がある。
- Zhang et al. (2024), Understanding the Causes of Toxic Behavior in Online Games
- Kordyaka et al. (2020), Escaping the toxic trap?
模倣:他人のトキシック行動を見て「自分もやっていい」と思ってしまう
LoLのようなオンラインゲームでは、味方や相手の暴言・煽り・非難といったトキシックな言動を目にする機会が少なくない。
そしてそれを「見ているだけ」でも、無意識のうちに自分の行動基準が変化してしまうことがある。
研究によると、他人のトキシック行動を繰り返し目撃することで、「これは許容されている」「これくらいなら自分も言っていい」という誤った学習が起こりやすくなる。
特に、自己規範(自分なりのルールや抑制力)が低いプレイヤーほど、その場の雰囲気に流されやすく、「あ、こいつは叩いてもいいんだな」と影響を受けてしまうことが示されている。
こうしてトキシック行動は、個人の性格に関係なく、“空気”によって伝染していく。炎上が広がるメカニズムにも似ている。
誰かが放った一言が、別の誰かの暴言のきっかけになる。それがトキシックの怖さでもある。
環境面の要因:ゲームデザイン、運営的な要因
もちろんプレイヤーだけが悪いわけじゃない。むしろパブリッシャー側の責任は非常に大きい。
ピンやエモートが「攻撃ツール」として放置されている
本来はチーム内の連携や感情表現のために存在するピンやエモート。
しかし実際には、味方のミス直後に?ピンを連打したり、相手をキルしたあとに嘲笑エモートを繰り返すなど、嫌がらせや挑発の道具として悪用されている。
問題は、こうした使い方がプレイヤー間で明らかに「煽り」として認識されているにもかかわらず、ゲーム側がその使用に制限や対処を設けていない点にある。
結果として、「静かな暴言」が日常化し、試合全体の空気を悪化させる原因になっている。
トキシックな言動への対処が甘く、規範が崩れている
明らかな暴言・煽り・嫌がらせを繰り返しているプレイヤーに対して、適切な制裁が下されていないという不満は、プレイヤーの間でも強く共有されている。
通報しても何も起きない、BANされずにまた同じ行為をしている。
そうした実例が多く報告されており、結果として、「やっても大丈夫」「このゲームではそれが普通」という空気が蔓延してしまっている。
これは、トキシック行動を容認する環境そのものを運営が作ってしまっているとも言える。
罰が明確でなければ、ルールは機能しない。そして、ルールが機能しない環境では、トキシックな行動は確実に増えていく。
自衛手段:トキシックにならないために自分自身ができること
ミュートする:反応しても悪化するだけ
誰かに暴言を吐かれたときに反応すると、そこから報復の連鎖が始まり、試合全体の雰囲気が崩れてしまう。
一方、即ミュートして関わらないことで、自分とチームの平和を守ることができる。
研究でも、トキシックプレイヤーへの反応が“火種”になることが確認されている。
休憩する:試合の怒りを次に持ち込まない
感情が高ぶっているときに連戦すると、冷静さを失い、次の試合でもトキシックな言動をしやすくなる。
「ひと呼吸おく」「席を立つ」など短い休憩を入れることで、冷静さを取り戻すことができる。
研究でも、怒りやフラストレーションが蓄積した状態では、トキシック行動のリスクが高まるとされている。
自分の感情に気づく:「今、自分は怒っていないか?」
怒っているときほど、自分の怒りに気づきにくい。
「今、自分は冷静か?」「普段の自分と違ってないか?」と一度自問するだけで、暴言や衝動的なチャットを回避できる可能性がある。
研究では、セルフモニタリングの習慣がトキシック行動の抑制に寄与することが示されている。
勝敗と自身の価値を切り離す
「この試合で負けたら自分の価値がなくなる」「ミスした味方が許せない」
そうした考え方は、ゲームを楽しむことから遠ざかり、自分自身を苦しめる原因にもなる。
ゲームの勝敗は、あくまで一時の結果。“勝っても負けても自分の価値は変わらない”というマインドセットが、トキシックを遠ざける土台になる。
研究でも、自己評価とゲーム結果の結びつきが強いプレイヤーは、トキシック行動に陥りやすいことが報告されている。
最近は言語フィルターや即時ミュートといったプレイヤーが自身で行える対策もあり、なおかつ行いの悪いプレイヤーに対しては厳罰傾向になってきた。しかし、昔を思い起こせばこういった事件があったかもしれない。読者諸賢の感想もぜひお聞かせ願いたい。
担当:いちずなイブリン
Source:What’s the most toxic behavior you’ve experienced in a League game?
シンジド殿もびっくりの毒性でござる。
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コメント
このコメント欄に暴言が乗ったらもはや記事を読んでない可能性がある
ミュートにしてるから大丈夫さ ハハ