以下、Korizon Esportsによる、EDG Viperへのインタビューを紹介。
――Viper選手、お久しぶりです。いかがお過ごしでしたか。
Viper:おかげさまで、元気にしておりました。
――LPLに移籍してから、中国語もかなり上達したと聞いていますよ。
Viper:まだまだですよ。完全にはコミュニケーションできていません。ボキャブラリーのほとんどは、ゲーム内用語ですから。
――LPLのスケジュールを終えて、いよいよWorldsですね。フライトの前には何をされていたんですか。
Viper:少し休んできました。あとは撮影などもありましたね。休息することに集中し、睡眠時間も確保して。
――先日、Tarzan選手とお話したときも、同じようなことを仰っていました。たくさん眠ったみたいですよ。
Viper:今はフライトもありますし、できることは限られています。睡眠時間を確保することが重要だと思いました。休むことに専念しましたよ。
――このインタビューで取り上げたいテーマはたくさんあります。韓国のメディアも、英語のメディアも、Viper選手とお話する機会は滅多にないことだと思っています。
まずは最近の出来事から。EDGが3-1でFPXを下し、LPL Summerで優勝しました。たくさんの方々が、Viper選手の決勝の振り返りを聞きたがっています。
Viper:LPLのファイナルに進出できたこと、そして優勝トロフィーを獲得できたことがとても嬉しかったです。何しろ僕にとって、初めてのタイトルですからね。あの瞬間は僕の心の中にずっと残っています。
――試合後の記者会見で、Viper選手が「LPLで優勝したことに唖然とした」と仰っていたのを読んだ記憶があります。あの時のことを振り返っていただけないでしょうか。トロフィーを獲得したときの気持ちを詳しく教えてください。
Viper:実は、第2ゲームに勝った後、僕はこの試合に勝てると確信しました。そして、すぐに続く第3ゲームを落としてしまった。やはり、そう簡単ではないんだと自分に言い聞かせました。
そして、第4ゲームが始まった時、僕たちはかなり遅れを取っていました。でも、僕はカムバックできると信じていました。そして見事に逆転して勝つことができました。そうしたことが、優勝をよりドラマチックにし、トロフィーを非現実的な感じにしたのです。
――まさに、あの第4ゲームについてお話をお聞きしたくて。FPXが第3ゲームを勝ったことで、一瞬EDGが勢いを失うのではないかと思いました。
そんな中、Viper選手がドラゴンピットとミッドレーンの間のブッシュで鬼神のような戦いをして、トリプルキルを達成したことは、まさにこのシリーズにハイライトでした。
Viper選手のアフェリオスは、クラッチプレーで試合の流れを完全に変えて、シリーズに勝利しました。あの時、どんなことを考えていたのでしょう。トリプルキルできる自信はあったのでしょうか。
Viper:ゲームの流れを逆転させるチャンスだと思いました。そして、味方は全員集団戦に自信を持っていました。一瞬で、ファイトするのは今だと判断しました。全体像が見えていたので、あとはチームと一緒に流れに乗っていきました。
――EDGにとって簡単なファイナルではなかったように思います。FPXはファイナルに向けて勢いを増してきていました。FPXはミッドレーナーのDoinb選手を通じてスノーボールしていくことが多いと思います。EDGはマクロからドラフトまで、Doinb選手の対策をしっかり準備してきたように見えました。あの日のEDGのパフォーマンスレベルや、FPX対策として準備していた戦略について、もう少し詳しく聞かせていただけますか。
Viper:実は、WE戦からファイナルまでの期間はそれほど長くありませんでした。少なくとも、僕から見た戦略は、チームのトップサイドを信頼することだったと思います。ミッドジャングルの力を信じ、それをファイナルの舞台で発揮してもらうことを信じていました。
戦略があるとすれば、ミッドジャングルの少数戦で遅れを取らないことですね。それを見事に実行してくれたチームメイトを、FPX戦の勝利の戦略として挙げたいと思います。
――LPLのトロフィーを手にしたことが非現実的だったと仰っていましたが、昔、2020年に行ったインタビューを思い出しました。こんな質問をViper選手にしたんですよ。「地域チャンピオンのトロフィーを手にすることは、Viper選手にとってどんな意味を持ちますか」って。
そうしたら、Viper選手はこう答えてくれました。「心の結び目がようやく解きほぐされるかもしれない。その瞬間の後は、どんな人生を歩もうとも、誇りと自信を持ってやっていける」と。
Viper:自分が一番になったという自信と誇りを感じています。追われるような感覚が少なくなった感じです。
――Viper選手、このテーマを少し掘り下げて、LPLでのあなたの1年、2021年を振り返ってみたいと思います。よろしいでしょうか。
まず、2021年の春にEDGに加入したことについてお聞きします。
正直に申し上げると……2020年のViper選手の軌跡は、完全に満足できるものではありませんでした。私たちの知る「あの」Viper選手ということを考えると。Viper選手ご自身も、満足できなかったのではないかと思います。
そう考えると、LPLに来て、そしてEDGに加入したときは、相当強い決意を持っていたのではないかと思うのです。その時のことを思い出していただけますか。中国についたばかりの頃、どんなことを考えていたのでしょうか。どうしてもこの質問をしたかったのです。
Viper:仰っていることはよく分かります。僕自身、2020年の結果には失望しました。自分のパフォーマンスに満足していませんでした。結果はどうあれ、自分自身のレベルを上げていかなければならないと思っていました。そして、自分に足りない部分を痛感していました。
そのためには、新しい環境に身を置いて、自分を追い込む必要があると考えました。それに、LCKよりもLPLのほうが、自分のパフォーマンスを高めることができると思いました。新しい環境に、自分を投げ込みたかった。今までもプロとして活動してきましたが、まっさらの環境からスタートしたかったのです。
これが最大の理由ですね。僕は、もっとうまくなりたかった。
――海外に移住するということは、常に不安がつきまといます。実際に行ってみないと分からないことがたくさんあります。LPLに来て、新しいチームメイトと生活し、新しいリージョンでプレイすることになりました。予想通りだったことと、予想外だったことはなんでしょうか。
Viper:正直に言うと、中国に来たばかりの頃は隔離がありました。そして、それが終わった途端に試合があって。ですから、最初は慌ただしかったですね。でも、EDGで過ごすうちに……LPLでのプレイは、LCKとそれほど大きな違いはないんじゃないかと思ったのですが、その通りでしたね。言語の壁はありますが、ゲームをプレイする上での大きな違いはないと思います。
EDGには、思っていたのとは違う性格の選手もいました。でも、大きなカルチャーショックはなかったですね。
――言われてみれば、Viper選手は中国での生活に慣れるのが早かった印象がありますね。チームメイトのお話が出ましたが、EDGでの楽しいエピソードを教えて下さい。
Viper:特別なことは何もないですね。試合の結果が僕の最優先事項でしたから。春もプレイオフに進出しましたが、期待どおりにはいきませんでした。悔しかったですね。怒りも感じました。LPLで夏に優勝するまでは、試合以外のことに気を取られないようにしました。
――春の結果に怒りを感じていたというのは、なんだか不思議な感じがします。というのも、Viper選手は確か春に、デビューシーズンにも関わらずシーズンMVPを獲得しているんですよね。また、ルーキー・オブ・ザ・スプリットも受賞しています。それに、EDGの春の結果は、控えめに言っても悪いものではありませんでした。それでも、後悔と怒りを感じるのでしょうか。
Viper:春は優勝できず、MSI出場を逃してしまったことに怒りを感じていました。EDGに加入して以来、僕の唯一の目標はトロフィーを獲得することだけです。春には良い結果を出せましたが、自分たちの力不足で、あと一歩のところでゴールできませんでした。これには、ちょっと腹が立ちましたね(笑)
――LPLサマーは、春と比べてどのような違いがあったのでしょうか。
Viper:自分たちの欠点に早く気付けたため、早めに改善に着手できました。そのため、問題点を早く解決することができました。最終的には、チームがもともと持っている短所を最小限に抑え、長所を最大限に活かすことができました。僕たちはゲームをよく理解し、LPLで優勝できたのです。
――Viper選手は2021年を通してLPLのトロフィーを獲得することを目標にしていたのですね。そして、2020年のパフォーマンスレベルに失望しているということでしたが、自分を高めるためにどのような努力をされてきたのでしょうか。私のような第三者にも教えていただきたくて。ご自身の努力について詳しく教えて下さい。
Viper:やはり心構えですね。一番大きかったのは心構えです。僕がプロとして活動し始めた頃は、このゲームのことをあまり知りませんでした。自分のプレイをすることだけに夢中になっていました。
今の僕には、よりよい心のゆとりがあります。ゲームの進め方も理解しています。特定の状況でよりアグレッシブにプレイすることを意識的に決断できるようになりました。どのような場面で賭けに出るかを意識するようになりました。
これは2020年以降の話です。去年も意識はしていましたが、スムーズに実行するためのスキルが不足していました。
そこには恐怖心もありました。
例えば、リスクのあるプレイを要求されたとします。その時、僕は一瞬ためらいます。ほんの一瞬ですが、よく躊躇していたのです。しかし、そのためらいの中で、決定的な瞬間を逃してしまっていた。昔はよくありました。
これこそ、僕がLPLに来て解決したかった最大の課題でした。チャンスがあればすぐ掴むように訓練しました。
――メンタルトレーニングのようなものでしょうか。
Viper:そんな感じですね。行動を起こすためには、自分のメンタルを変えなければなりませんでした。自分の思考パターンをそのように変えようとしました。努力は惜しみませんでした。ソロキューであろうと、スクリムであろうと、決断力のある選手になるために、自分を奮い立たせました。最終的には進化できていると思います。
――実は、この話題でどうしても触れたいことがあります。というのも、LPLに行く前のViper選手の評価は……チャンピオンプールが広く、さまざまな役割をこなすことができるが、試合をひっくり返すクラッチ能力には欠ける選手。それが最近までの、Viper選手の一般的な評価でした。
しかし、LPLに移籍してからは、これまでのスキルセットに加えて、アグレッシブさや決断力が加わったと、ファンから評価されています。選手として、新たな次元に到達したと感じた瞬間はあったのでしょうか。
Viper:LPLの春の試合の時にも、変化は感じました。当時の僕は、まだコミュニケーションの壁があって、チームメイトが何を言っているか完全には分からなかったのです。でも、そのおかげで、自分のプレイに集中し、前だけを見ることができました。だから、自然に移行できたんだと思います。一瞬で悟ったのではなく、努力を積み重ねることによって、少しずつ視野が広がっていったのだと思います。
――Viper選手にとって、「自分を証明する」とは、何でしょうか。
Viper:引退の瞬間が来るまで、自分の力を発揮し続けなければならないと思います。常に、次のシーズンがあります。常に、次の試合が待っています。そして、次の試合では、何が起こるか分からない。それが、このゲームの本質です。
だから、すべての試合で自分の力を発揮しなければならない。それが、この世のすべての選手の宿命なのです。
――では、Viper選手が、他の選手と違うところはどんなところでしょうか。
Viper:僕は、何事にも中途半端には取り組みません。それが積み重なって、ここまで来たのだと思います。ここまで来ることができました。
――もちろん、Viper選手にはまだまだ先があります。Worldsが楽しみで仕方ありません。でも、Viper選手、これまでのLPLの成果を振り返ったときに、満足されていますか。あなたの言葉の選び方が気になって。
Viper:正直な話ですか? 僕は満足していません。まだまだたくさんの試合がありますし、お見せしていないものもたくさんあります。ですから、満足していると言えば、それは嘘になりますね。
――では、自然とWorlds関連の質問をさせてていただきます。よろしいでしょうか。Worldsで対戦してみたいチームはありますか。
Viper:自分なりに考えていますが、MAD LionsとDWG KIAに会いたいですね。
――なぜでしょう。もう少し詳しく聞かせてください。
Viper:僕はたくさん試合を見ていますが、LCKやLECが多いのです。その中で、DKとMADが一番楽しいですね。どちらのチームも優勝していますからね。完成度が高いと言うか。
――そうなると気になるのですが、Viper選手はMADのCarzzy選手をどう評価されていますか。自信に満ちたプレイスタイルで知られていますよね。
Viper:彼のメカニクスは評価できますね。将来的には新たな高みを目指すことができる選手だと思っています。
――では、DKはいかがでしょうか。シーズン中にスランプに陥ったかもしれませんが、私が話を聞いた多くの選手が、彼らを再び評価しています。DKが高く評価される理由はなんでしょうか。
Viper:まず、選手のスキルが高いことです。どのレーンも非常に優れてます。そして、DKの一番恐ろしいところは、その強力なロスターのほとんどを今年も維持していることですね。
――これはどうしてもお聞きしたかったのですが、LCKで多くの賞賛を受けているChovy選手もWorldsに進出しています。Chovy選手もViper選手も、それぞれのチームで活躍されています。変な感じはしないでしょうか。
Viper:そうですね。LNGはWorldsに進出していますし、Chovyも来ますからね。そして、来ることができなかった元Griffinの選手たちには申し訳ない気持ちでいっぱいです。ある意味では、彼と再会できることを嬉しく思っています。でも、気がついたら敵になっていました。闘わなければならないのです。その瞬間がどんなものになるか、想像もつきません。実際に会ってみないと、分からないですね。
――2019年のWorldsのiG戦でのペンタキルを覚えていますか? Viper選手は個人的にその成果を喜ばれていました。私の記憶が正しければ、「あの瞬間をみんなが覚えてくれていることが嬉しい」といういうようなことを仰っていたと思います。
今回も、第1シードとして再びWorldsに臨むことになりましたが、今回はどのような選手として記憶されたいでしょうか。世界に向けて、何を発信したいでしょうか。
Viper:第1シードとしてWorldsに行くわけですからね。優勝トロフィーを掲げる選手として記憶されたいですね。
――LPLのトロフィーを手にしたViper選手が、もしWorldsのトロフィーを手にしたら、どんな気持ちになるのでしょうか。
Viper:想像もつきませんね。Worldsのトロフィーですか……。地域の決勝では、何度もトロフィーを手にする寸前まで行き、ゴールの手前で挫折した経験があります。惜しいところまで行っているので、どんな感じか想像できましたが。でも、Worldsですか。僕の想像を超えているみたいですね。僕にとって2回目のWorldsです。前回のWorldsでは、あっという間にレースから脱落してしまいました。
でも、もし今回のWorldsで優勝したら。その瞬間はどんな感じなのでしょうね。想像もできません。きっと、とても幸せなんだと思います。
――ありがとうございました。最後の質問です。Viper選手の旅を追い続けている韓国、中国、海外のファンがたくさんいます。ファンの皆さんにメッセージをお願いできますか。
Viper:僕を応援してくださるファンの皆さんにはいつも感謝しています。私は常に、ファンの皆さんが送ってくださる、この身に余る愛と注目を忘れないようにしています。これからも皆さんの愛を忘れず、一生懸命頑張ります。近いうちに、ステージの上で、最高のプレイをしている姿をお見せできるでしょう。
日本時間本日20:00よりグループステージ開幕でござる。
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コメント
かっこいいなやっぱ伝説のメンバーだ
大人なコメントでござるなぁ
大人になったんやなぁ
今のバチバチにマークスマンで強いViperも好きだけど、BOTでブラッドミア使った試合が忘れられん
選手として好きだったから今の活躍は嬉しい
もう一回GRFのメンバーでプレイするの見たいなあ
ただし大人に限る
topの人はいつ来れるんだい?
コーチもね。
コーチはちゃんと去年来てる
あのGRFのメンバーがそれぞれチームの柱として活躍してるのマジでアツい
元Griffin 呪いでもあり誇りでもある呼び名だ。
DWGとGRFはマジで逆だったかもしれねぇの典型例よなぁ
DWGはGhostにしてWCS獲ったけど、GRFはTOPを変更せずに最後は爆散してしまったし。
Doranも当時は弱かったし、Swordなんて言わずもがな。
Chovy、Viper、Tarzan揃ってたのにもったいねえよな
トップNuguriだったら年齢的にもベストでWCS連覇しててもおかしくない
まぁ実際あそこまでSwordが転落するとは計算できんよね。アゴサイオンメタまでは世界トップクラスで集団戦のお膳立てもクソうまかったのに、ファイターメタになったらそこら辺のソロQファイター専の方が強いなんてレベルになるなんて誰も予想しなかっただろうし。
2年後シャボンディ的な格好良さがある
流石世界最高のadcだ コメントまでも大人になっている
Lehendsに「viperは俺がいないとなーんにもできないねぇ〜♪」と煽られてたころが懐かしいよ
もうグリフィンはなくなったんだ
つまりみんな呪縛から解き放たれ2位じゃなく優勝を狙えるんだ楽しみなんだ
グリフィンはマジでキセキの世代だったな 無冠ばっかりだけど
確かに各選手が各チームの柱になっててすごいな
黒子のバスケなんよ
一時期は間違いなくLCK祭最高のサポートだったlehendsがworldsで行方不明になるとは思わなかった
大人は大人になってゲームしなくなったからノーコメント
GRF戦はリアタイで見てたわ
華があった
LCK日本語解説また再開しないかな