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【LoL】Fakerが40の質問に回答。「40代で高いレベルを維持して戦うのは非常に難しいが、実力を示せるなら続けたい」

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Worlds 2025 Swiss Stage - Day 8

Faker契約後インタビューフルバージョン

FakerがT1との契約を2029年まで延長した直後の記者会見。抜粋版は先に紹介したが、今回はフルバージョン。

【LoL】Faker、T1との契約を2029年まで延長。「残りのプロ人生はT1で過ごすことになると思う」
FakerがT1と2029年まで契約延長。4年を選んだ理由、Worlds3連覇の振り返り、Chovyをライバルに挙げた背景、Gumayusiへの言葉、ファンへの決意を語る。海外コミュニティの反応も紹介。

Q1:簡単に自己紹介をお願いします。

 

Faker:こんにちは。T1のFakerです。

 

Q2:最初の質問の機会ををありがとうございます。まず、2029年までの長期契約を発表されました。すでにこれほど多くを成し遂げているにもかかわらず、終わりなく挑戦を続ける原動力は何でしょうか。

 

Q3:もう1つ質問です。ゲームにはまだ否定的な見方も残っていますが、長いプロキャリアを通じて、若い世代に良い影響を与えてきた存在としても知られています。中毒に陥らずに長くプレーし続けられた理由や、良い影響を保つための個人的な秘訣があれば教えてください。

 

Faker:こんにちは。T1と4年間の再契約を結んだFakerです。先ほどの自己紹介が短かった気がしたので、改めてご挨拶させてください。

4年の再契約を決めた一番大きな理由は、まずT1が良い条件を提示してくれたことです。加えて個人的には、これからの4年間もファンのみなさんに、より良い刺激を届けたいと思いました。そしてプロとしてまだ学べることや、成長できる部分が残っていると感じています。このキャリアを通して、まだ自分を伸ばせると思ったので、長い目で続けたいと決めました。

ゲームに対する否定的な認識については、昔に比べるとかなり良くなったと思います。最近は、上の世代の方々も以前より前向きに見てくださっているのを感じますし、その点は本当にありがたいです。もちろん、今も昔も、ゲームの悪い側面が強調される場面はあります。

ただ、時間をかけて解決していくべきことが、まだ多いとも思います。実際、長時間プレーすれば有害になり得る側面はあります。一方で、良い面もまだ十分に強調されていないので、良い悪いと単純に決めつけるのではなく、対話を通じてバランスを取っていく必要があると思います。

いまスマートフォンは便利さや楽しさを与える一方で、悪い側面もありますが、ゲームも同じだと思います。お答えになっていましたでしょうか。ありがとうございます。

 

Q4:Faker選手は、SK Telecom T1から現在のT1まで、同じチームで活動されていますよね。私は2012年の加入時から追っています。Faker選手にはT1以外からも多くの好条件オファーがあったと理解していますが、それでも10年以上T1に残り続けました。金銭面の機会もあったはずなのに、なぜT1に残ったのでしょうか。SK Telecom T1というチームは、人生の中でどんな意味を持っていますか。

 

Faker:まず、T1は金銭面だけでなく、個人的に大切なことも含めて、いろいろな面でとても良くしてくれました。そのおかげで、SK Telecom T1の時代から、長くT1にいられたと思います。そしてT1というチーム自体も、僕が入った当初から今に至るまで、最高のチームにふさわしい待遇と評価を示してくれました。他のチームに所属したことがないので比較はできませんが、僕自身はそう感じていますし、その点に感謝しています。

 

Q5:正直、2029年以降にFaker選手が何をされるのかが気になります。もちろん今はキャリアに集中されると思いますが、このスポーツのエコシステムにどんな形で貢献したいか、個人的な夢があるか、ざっくりでも教えてください。

 

Faker:とても良い質問だと思います。契約は2029年までなので、その後の人生については僕も気になっています。ただ正直、引退後に何をするか、具体的に計画している道筋はまだありません。

ただ、プロキャリアの中でさまざまな貴重な経験を積みながら、自分自身が成長できたことに意味を感じてきたように、2029年以降にどんな選択をするかは分かりませんが、その後も意味のある経験で人生を満たしていくのだろうと思います。

 

司会:このスポーツとは、これからもつながっていくということですよね。

 

Faker:はい、ありがとうございます。

 

Q6:20日に首相との対談が公開されると聞きました。もし行くなら、特に伝えたいことはありましたか。どんな話をしたかったですか。

 

Faker:実は今日撮影がありました。今朝、首相にお会いして、短い会話をしました。公開はおそらく20日だと理解しています。僕は朝があまり得意ではないので、自分の言いたいことをうまく言語化できたかどうか。ただ、対談では首相が僕についていろいろ質問してくださる形が中心だったので、僕は自分の話をお伝えすることに集中しました。他の話題に時間が割かれることは、あまりなかったと思います。

 

司会:とはいえ、インタビューはうまくやれましたよね。

 

Faker:精一杯やりました。

 

司会:Faker選手はいつも本当に努力家ですね。

 

Q7:軽めの質問です。世界大会優勝後、大統領から祝福のメッセージが届きましたよね。舞台裏で、チームメイト同士で、すごいなみたいな反応はありましたか。あと、2029年には30代半ばになりますが、引退までずっとT1にいる可能性は考えていますか。

 

Faker:最近は大統領からお祝いの言葉をいただくことが多くて、本当にありがたいです。チームのメンバーも、大統領が最近そうしてくださっているので、きっと嬉しいと思います。それから契約は4年ですし、僕はほとんどT1の一員として生活してきたので、おそらくプロキャリアはT1で最後まで過ごすことになるのではないかと考えています。

 

Q8:2026年から2029年にかけて、Faker選手が改めて証明したいことは何でしょうか。

 

Faker:残りの時間で、できる限り成長することが目標です。もし何かを証明するとしたら、それは自分自身に対してだと思います。残された時間の中で、あらゆる面で大きく成長できるよう、最善を尽くします。

 

Q9:Faker選手は30代のプロゲーマーとして活動されていますね。今も全力を尽くして驚異的な実力を見せています。同年代で、兵役などでキャリアが途切れた選手が、Faker選手を見て刺激を受け、プロへの情熱を取り戻すこともあります。そういう刺激を与えていることについて、どう思いますか。イム・ヨファンさん(StarCraftの元プロ、SlayerS_’BoxeR’)も、30代でプロを続けることを夢見ていましたが、Faker選手は40代までプレーすることを考えたことはありますか。

 

Faker:正直、この競技で40代で高いレベルを維持して戦うのは、本当に難しいと思います。優れた選手が多く、競争も激しいので、僕自身も想像しづらいです。ただ、もし可能なら、実力を示せる限り、できるだけ長く続けたいと思っています。そして、僕の存在が何かしらの形で、ゲームを続けることに前向きな影響を与えられたなら嬉しいです。

もちろん40代になった時にどうなるかは分かりませんが、一定の実力を維持できることを示せているとは思うので、その点は少し誇らしく感じます。ただ、30代を超えた最初の選手というわけではないので、自然なことでもあると思います。

 

Q10:質問の機会をありがとうございます。イーロン・マスク氏がXで話題を起こしました。AIモデルのGrok 5とT1の対決を提案した件です。来年のアメリカでの世界大会に向けた盛り上げの一環なのではないかと思うのですが、最初に見たときの反応と、現在進んでいる動きがあるかを教えてください。さらに、このAIとの対戦がFaker選手個人のプロキャリアにとって何を意味し得るかも伺いたいです。

 

Faker:AIや大手テック企業が、最近ゲーム業界に強い関心を向けているのは、注目すべき点だと思いますし、僕はとても前向きに捉えています。そして、イーロン・マスク氏のGrokとの対決が来年予定されていることも理解しています。

 

Faker:個人的には、その試合をとても楽しみにしています。チェスは昔からAIに攻略されてきましたし、正直、AIがLoLの世界大会に関わるようになった以上、いつかAIが勝つ日が来る可能性はあると思います。ただ、それが来年かどうかは分かりません。来年は僕たちが勝てるかもしれませんし、仮にAIが勝つ日が来たとしても、それはそれで意味があって面白いと思います。

 

Q11:LoLがここまで一般に広まったのは世界大会の影響もありますが、2023年の杭州アジア大会で金メダルを獲得したことも、良い方向に働いたと思います。来年もアジア大会があります。首相のキム・ミンソク氏もeスポーツやゲームを強力に支援すると言っていました。もし意志があるなら、来年も代表として太極マークをつけ、再び金メダルに挑みたいと思いますか。そこでまた良い思い出を作りたいですか。

 

Faker:アジア大会が開催されるとき、選手が競技に出られる機会はいつも意義深い瞬間になります。もしチャンスをいただけるなら、自分の力を十分に発揮できると思います。僕はいつも戦いたい気持ちがあります。前回のアジア大会では、実際には僕だけでなく、他のメンバーも金メダルのために本当に努力しました。その結果として、その栄光を一緒に味わえたのだと思います。そしてアジア大会をきっかけに、多くの方が関心を持ってくださったことにも感謝しています。

 

Q12:まずは世界大会優勝と再契約、おめでとうございます。私は年下の兄弟や甥姪に、生き方について具体的なアドバイスをするのをためらうことがあります。もし、17歳でプロゲーマーになった当時のFaker選手にアドバイスをするとしたら、何と言いますか。

 

Faker:当時の自分にも、あまり言うことはないと思います。最初から、プロゲーミングを始めるときに、何か明確な答えがあることを期待していたわけではありませんでした。経験そのものを通して、いろいろ学べたらいいと思っていたので、たぶん頑張ってくださいと応援するくらいだと思います。

 

司会:とにかく努力する、ということですね。

 

Q13:最近のインタビューで、Faker選手は今も競争が楽しいと言っていました。10年以上のプロキャリアを通じて、情熱と競争心をどうやって維持してきたのか、伺いたいです。

 

Faker:情熱については、若い頃からずっと自然にあったものだと思います。ずっとあったという言い方が近いです。そして、その情熱を持てていること自体が、恵まれていることだと思います。今でも勝ちたい気持ちや、ゲームを上手くプレーしたい気持ちは変わっていないので、それが努力を続けられる理由だと思います。

 

Q14:契約期間の話が多かったので関連して伺います。チームを離れたGumayusi選手や、同じミッドレーナーのChovy選手などがいます。これまでLoLシーンを牽引してきた最大のスーパースターがFaker選手だとするなら、Faker選手の次を担う存在は誰だと思いますか。理由も含めてお願いします。

 

Faker:まず、LoLには今でもすでに人気が高い選手がたくさんいます。そして特に、常にすべてを笑ってごまかすというより、模範的な振る舞いを見せる選手も多いので、僕の後でも十分に人気を得られる選手はたくさんいると思います。

 

Q15:似た質問ですが、13年間プレーして、競争が好きで勝ちたい気持ちに満ちていると言ってきました。その13年の中で、特に倒したいと思った選手や、戦っていて一番楽しかった相手はいましたか。ライバルだと思った選手を3人ほど挙げられますか。

 

Faker:最近だと、Chovy選手が本当に素晴らしいプレーをしているので、対戦するのはいつもとても楽しいです。最初から楽しかったですが、ここ最近のChovy選手は本当に圧倒的です。今年を通しても、良い状態をずっと見せていましたし、彼のプレーを見ていること自体が、僕の成長の原動力にもなっているので、Chovy選手にはとても感謝しています。

 

Q16:私はeスポーツも含めてスポーツ全般が好きですが、スポーツで重要なのはフランチャイズスターの存在だと思います。その点で、Faker選手がT1に残り続ける選択は、とても大きな価値があり、尊敬されるべきものだと思います。一方でeスポーツでは、フランチャイズスターがチームに残り続ける例は比較的少ないです。理由は何だと思いますか。難しければ、そういう状況がT1に残る決断にどう影響したかを教えてください。

 

Faker:僕がT1という素晴らしい組織を選んだ面もありますが、ある意味ではT1も僕を選んでくれたからこそ、ここまで長くいられたと思います。1つのチームに長く所属することは、僕にとってもとても大きな意味がありますし、僕たちが共有している良い要素が多いことの表れだと感じます。

同じ文脈で、LoLという競技シーン自体がまだそこまで長い歴史があるわけではありませんし、選手のキャリアがどれくらい続くのかも、まだ分からない部分があります。ある意味、僕がそれを証明していかなければならない立場でもあるので、そういった不安定さがある中では、長期的に契約が維持される例が少なかったのだと思います。ただ、今後はそういうケースも増えていくのではないでしょうか。

 

Q17:来季は大きなパッチが予定されています。毎年行われるパッチについて、どう思いますか。

 

Faker:はい、僕も気になっています。昔LoLをプレーしていた頃は、パッチが頻繁に入るのがあまり好きではありませんでした。ただ最近は、そのパッチがゲームに活気を与えていると感じることが多いので、良い変化だと思います。

そして今年の大会では少数戦やチームの動きがかなり強調されましたが、来年は個人技など、別の要素が強調される余地もあると思います。どういう結果になるかは分かりませんが、そういった変化によって、また活気が戻るのではないかと思います。

 

Q18:2024年にロンドンで世界大会優勝した後の記者会見で、質問させていただいたものです。勝利と称賛によって力を得る人たちに何を伝えたいか、という質問で、答えるまで少し長く考えていたのを覚えています。それは、自分の言葉が他人に与える影響を理解しているからだと思いますし、ジェンスン・フアン氏(Nvidia社長)のような人々が注目するのも、その点が大きいのではないでしょうか。1つの競技のスポーツスターとして、多くの人に見られる中で、振る舞いや自己管理がとても重要になります。まず、その点をどう扱っているのか、どう向き合っているのか伺いたいです。

 

Q19:そして2つ目に、Faker選手を見て力を得たり、ロールモデルとして憧れたりする人がたくさんいます。いま改めて、その人たちに一言いただけますか。

 

Faker:まず、最近は多くのファンのみなさんや世間の方々が、僕のことをとても前向きに見てくださっていて、本当にありがたいです。僕はもともと慎重な性格なので、前向きに見ていただけるように感じて、その点も感謝しています。

これからの目標の1つは、僕のありのままの姿を多くの方にお見せしながら、良い影響を与え続けることです。そのために自己管理もきちんと続けたいので、日頃からしっかり取り組んでいます。契約の場でもお話ししましたが、僕の目標は自分自身の成長を追求し、最善を尽くすことです。

 

Q20:2013年、KTとの決勝で0対2で負けている状況でも笑っていました。今回もKTとの決勝で1対2で負けている場面でのFaker選手の笑顔が、ネットで大きな話題になりました。当時の決勝と今の決勝で、心境に違いはありますか。

 

Faker:残念ながら2013年のことはよく覚えていませんが、当時はゲームが楽しくて笑っていたのだと思います。今回は負けている状況でも、チームメイトと冗談を言い合っていました。具体的に何の冗談だったかは思い出せませんが、その過程で面白い瞬間があって、あの場面が出たのだと思います。いずれにしても、当時も今も、ゲームそのものを心から楽しんでいるからこそ、そういう瞬間が出るのだと思います。

 

Q21:世界大会で印象的だった場面として、Anyone’s Legends戦でOner選手がドクター・ムンドをピックしたとき、Faker選手が隣で落ち着いて励ましていたことが話題になりました。もしあのセットを落としていたら厳しい状況になっていたと思いますが、振り返って本当に緊張していなかったのですか。決勝でも同じようにできましたか。

 

Faker:ALとの第5試合でのドクター・ムンドのピックについては、熟練度が完璧ではなかったとしても、あの状況では出すほうが良いと判断したので、励ましました。負けたらどうしようと心配するよりも、その場で正しいと思ったことを選んだから、そういう振る舞いになったのだと思います。

正直、試合に関しては、すべて勝てるわけではないという前提を常に持っているので、勝敗よりもプロセスに集中するようにしています。

 

Q22:2022年に3年の契約延長を結んでから世界大会を3回優勝しました。今回は2029年まで活動することになりますが、優勝回数の目標はありますか。

 

Faker:前回の契約のときのように、また4連覇できたら素晴らしいですし、目標としては持っています。ただ、勝敗に関わらず、自分が持っているものをできる限り活かして、全力を尽くすことが目標です。

 

Q23:契約更新、おめでとうございます。これから4年間、T1の中でどんな役割を担いたいと考えていますか。その役割は社会にも良い影響を与えると思いますが、同時にチームメイトにも良い影響を与えたいはずです。どんなチームメイトになりたいか教えてください。

 

Faker:残された時間の中で達成したいことの1つは、スキル面の成長を最優先の目標にすることです。ゲーム内のスキルに関して、まだ伸ばせる部分が多いと思っているので、そう設定しました。そして、もう1つの質問はリーダーシップに関するものだと思います。

個人的には、以前と比べるとリーダーシップはかなり伸びたと感じています。ただ、まだ足りない部分も多いと思っています。来年もチームメイトと良い結果を出すために、ゲーム内外の両方で、たくさん努力していくつもりです。

 

Q24:長い間Faker選手の活躍を見てきたので、いろいろ質問してきました。5から6年前、プロを目指す若い人に何を言うかと聞いたとき、練習や努力も大事だが、土台として先天的な資質も必要だとおっしゃっていましたよね。情熱は二次的なものにもなり得るとも話していましたし、現実的にソロキューで一定水準を見せられないと、プロになっても頂点に行くのは簡単ではないとも言っていました。その考えは今、変わりましたか。

 

Q25:2017年、世界大会でSamsungに負けたときは号泣されていました。今も情熱はある一方で、最近は優勝も多いですが準優勝も何度かありました。ただ、そういうときは昔ほど泣かなくなったように見えます。以前ほどショックが大きくないというか、情熱が冷めた感じではなく、経験を積んだように感じます。これからも情熱は続くとして、もし本当に悔しい負け方をしたら、またあのときのように涙を見せると思いますか。

 

Faker:まず、生まれつきという点についてですが、生まれた瞬間にすべてが決まっているという意味ではありません。子どもの頃に何に触れて、どんな環境で過ごしたか、そこに遺伝的な要素も重なって形成されるものだと考えています。私が言う生まれつきとは、そういう意味です。

だからこそ、子どもの頃に持つ情熱は本当に大切だと思います。ゲームも同じで、もし幼い頃からゲームに触れていなかったら、今の自分にはなれていなかったと思います。そういう意味で、情熱は生まれつき備わるものだと言いたかったのです。

そして、ゲームの才能も、その情熱から生まれる部分があると思います。才能と呼ぶのが適切かは分かりませんが、現実的に、ある程度はそうした力がないと成功は難しいとも感じています。

情熱についてですが、2017年に涙が出たのは、0対3で負けたという事実があまりにも悔しくて、失望や後悔が非常に大きかったからです。今、当時ほど感情が表に出ないのは、悔しさや後悔がなくなったからではなくて、私の中で敗北の意味づけが変わったからだと思います。

今は、敗北を理不尽なものや、ただ悔しいだけのものとして捉えていません。むしろ、もう一度成長するための原動力になり得るものだと考えています。そう捉え直したとき、もしかして情熱が落ちたのではないかと思ったこともありましたが、そうではなく、別の学びがあったのだと気づきました。ですから、今も当時も、正直に言うと、情熱の大きさ自体はあまり変わっていないと感じています。

 

司会:最近、涙を流したことはありますか。

 

Faker:映画を見たり、本を読んだりして、表には出ないかもしれませんが、感情が動くことはあります。

 

司会:お一人のときに、ですか。

 

Faker:はい。

 

Q27:北京のプレイイン前はT1の調子が良くなかったので、多くの人がIGの勝利を予想していました。でもT1が勝って、プレイインから優勝するという、2022年のDRX以来の珍しい形になりました。勝ち上がる中で、優勝できるという自信はありましたか。あと、T1はシリーズ形式の試合で強さを見せ続けていますが、その理由は何だと思いますか。今回の世界大会で、最大の危機だと感じた試合も教えてください。

 

Faker:今回の世界大会全体を振り返ると、正直、楽だと感じた瞬間は一度もありませんでした。プレイインを戦っていた時点でも、勝てると確信できていたわけではありませんでした。勝ち上がっていく過程でも、パフォーマンス面で完璧な状態ではなかったので、その日のコンディション次第だという感覚はありました。

それから、シリーズ形式で良い結果が出やすい理由ですが、一番大きいのは、その形式での経験が多いことだと思います。チームメイトも、シリーズでは絶対に負けてはいけないというふうに、必要以上に背負ってはいなかったと思います。負けてもいいから、まずは自分たちのベストを出そうという姿勢で臨めていたので、それが実力を出しやすかったのだと思います。練習も本当にたくさんしました。

 

Q28:インタビューを聞いていると、いつも成長意欲が強い印象です。ただ、人間なので伸び悩んだり、疑いが出たりすることもあると思います。プロ人生の中で伸び悩みを感じたとき、どう乗り越えましたか。

 

Q29:もう1つ、最も印象に残っている勝利と、最も印象に残っている敗北を教えてください。

 

Faker:伸び悩みを感じたときは、まず分析をしようとしました。今の状況は何なのか、なぜ詰まっているのか、自分に何が足りないのかを考えて、そのために多くの時間を使ったと思います。

私はよく考えますし、時には頭を空っぽにします。そういう過程を通して、自分に必要なものが何かを学ぼうとしました。例えば、休息が足りないと感じたら、どう休めばいいのか、どんな方法が良いのかを学ぼうとしました。個人的には、本を読んだり動画を見たりして、うまく休む方法を調べるなど、できるだけ体系的に取り組もうとしました。

それから、印象的な瞬間を1つに絞るよりも、これまでの経験はすべて連続してつながっていると思っています。なので、どれか1つだけを特別に挙げるより、すべての瞬間に意味があったと考えています。

 

Q30:30代に入りました。家族を持つことも考える年齢だと思いますが、夫や父としての将来について、結婚や家庭を持つ時期など、何か考えていますか。

 

司会:私も気になります。

 

Faker:この件については、まだ何も決まっていません。1人の人間として、家庭を持つことは意味のあることだと思いますが、今は価値観や計画が固まっていません。なので、まずは今のキャリアに集中して、後で考えようと思っています。

 

司会:最近、娘のほうが少し良いかもとおっしゃっているようにも見えます。将来お子さんができるなら、男の子か女の子か、どちらがいいですか。

 

Faker:娘のほうがかわいい気がしますね。

 

Q31:最近、暗号資産のモデルのようなお仕事もされていますが、ご自身でも暗号資産や株に投資していますか。もししているなら、投資のルールや原則はありますか。

 

Q32:もう1つ、ゲームに関する質問です。Gumayusi選手が移籍した件について、最後にどんな話をしたのか、そのときの会話を教えてください。

 

Faker:個人的には、まだ本格的に投資をしているわけではありません。ただ、学んで挑戦してみるべきだとは思っています。時間があまり取れなかったので、来年は勉強してみようかなと考えています。戦略についても、できる限り学んで、効果的な方法を使いたいです。直感に頼るより、専門家の助けを借りるほうが良いと思います。

それからGumayusi選手については、今年は本当にたくさん話しました。最後には、Gumayusi選手が私たちのチームのためにしてくれたことが意味のあることで、その貢献が、チームが良い結果を出すうえでとても大きかったと感じました。直接ありがとうと言ったわけではありませんが、お疲れさまでしたと伝えることで、その気持ちは表したつもりです。

 

司会:普段は気持ちを言葉にするのが上手ですよね。

 

Faker:私は普段、気持ちを言葉にするのが苦手です。だからそういう形にしました。

 

Q33:質問は2つです。まず、なぜ決勝がこういうポジティブな受け止められ方をしたと思いますか。

 

Q34:もう1つ、相手が良い試合をしてくれたから気分がいいと言っていましたが、Faker選手にとって良い試合とは何でしょうか。

 

Faker:私にとって良い試合というのは、個人的には、頭の中に余計なものがなく、ゲームだけに集中できる試合だと思います。ただ、もっと広い意味で見ると、絶対に勝たなければいけないという考え方が、必ずしも良い姿勢ではないと学びました。そうではなく、良い試合をしようという気持ちで臨むことが、一番大きかったのだと思います。

 

司会:最初の質問ですが、全体として、相手が勝ったとしても、という点ですね。どうぞ。

 

Q35:相手が勝っても祝福できるファンが多かったように見えました。Faker選手は、なぜそういう空気が生まれたと思いますか。

 

Faker:私の考え方はファンのみなさんとは違うかもしれませんが。もちろん、絶対に勝ってほしいという気持ちも、ファンとしての献身だと思いますし、ありがたいことです。ただ、それ以上に、スポーツは、敵として憎み合うよりも、一緒に競い合うパートナーとして、お互いを応援できるほうが望ましいのではないかと私は感じています。

なぜその空気が生まれたのかは、私にもはっきりとは言えません。ただ、いずれにしても、どんな形であれ応援してくださるファンのみなさんには、いつも感謝しています。

 

Q36:T1はファンがとても多いので、二次創作の動画やファンアート、ミームなどもたくさんあると思います。そういうファンの作品を普段から見たりしますか。特に印象に残っているものはありますか。

 

Faker:私はSNSをあまり使わないので、目にする機会は多くありません。ただ、ファンのみなさんが時々プレゼントとして送ってくださることがあって、そのときに、すごく手間をかけて作ってくださったのが伝わってきて、本当にありがたいと感じます。はい。ありがとうございます。

 

Q37:Faker選手はLoL eスポーツで非常に多くの実績を積み上げてきました。ほかの選手がFaker選手の記録を超えるには、とても長い時間が必要だろうと言われていますし、Faker選手だけが自分の記録を更新し続けられる、と言う人もいます。挑戦を続ける中で、積み上げた実績が重く感じたり、負担になったりしたことはありますか。

 

Faker:今のところ、記録そのものが負担になっているとは思いません。記録よりも、最初のころの初心を忘れずに、プロとして多くの経験をすることに意識を向けています。その経験は、自分だけができるもので、他の人にはできない経験でもあります。なので、そちらに集中している分、プレッシャーや重さはあまり感じていません。

 

Q38:もう一度質問の機会をありがとうございます。Faker選手は、競技への向き合い方やプロゲーマーのマインドなど、多くの面で人に刺激を与えています。Faker選手ご自身は、どこから刺激やインスピレーションを得ていますか。

 

Faker:私は本から多くの刺激を受けます。本の良いところは、他の人の物語や人生を、凝縮された形で一度に見られることです。なので、そこで得られる洞察は非常に大きいと思います。それ以外だと、1人で考える時間が長いです。意味を探したり、自分の中にある情熱をなぜ見つけなければいけないのかを考えたり、とにかくよく考えていると思います。

 

Q39:意味や刺激、LoLを取り巻く文化の話が出たので聞きたいです。ファンの間では、シーズン中に競技以外のスケジュールや義務が多くて、パフォーマンスが不安定に見える時期もあるけれど、世界大会で一気に爆発して最高のプレーをする、という見方があります。

一方で、LoLの顔の1人として、文化を広めたり世間に刺激を与えたりする役割もあると思います。その2つのバランスを、普段どう考えていますか。

 

Faker:以前とは違って、今はゲームが上手いだけで成功できる時代ではないと思います。ある程度は折り合いをつけなければいけない部分があります。なので、パフォーマンスの維持を最優先に置きつつも、大会や、文化の発展に寄与する活動をおろそかにしないようにしています。

それからシーズン中のスケジュールについてですが、私個人としては、過度に負担が大きいものだとは感じていません。単純に、自分のパフォーマンスに波があったのだと評価しています。だから来年はそこをもっと改善して、ゲームも外の活動も、両方しっかりできるように取り組みます。

 

Q40:Faker選手は実力だけでなく、日常の振る舞いや善行でも模範的だと評価されています。その結果、単なるスポーツ界のレジェンドを超えて、アイコンのような存在になったと思います。そういう世間の視線は負担に感じますか。もし負担があるなら、どう回復したり、どう対処したりしますか。

 

Faker:アイコンになれたという点については、自分の振る舞いが影響した部分もあると思いますが、何よりファンのみなさんの関心がとても大きかったからこそ、多くの方に知られ、良いイメージを持っていただけたのだと思います。なので、ファンのみなさんへの恩返しという気持ちで、自分を律して、基準を保つことは、私にとって義務であり責任だと思っています。

ただ一方で、その責任を背負うことが私にとって特別つらいかというと、そうでもありません。私はもともと慎重な性格なので、そこまで難しい部分はあまりないと思います。ある意味、それは恵まれていることでもあると思いますし、これからも誠実に生活していきます。

 

Q41:最後なので、軽い質問で締めます。長くプロゲーマーを続けていますが、もしプロゲーマーになっていなかったら、何をしていたと思いますか。

それから、引退の話をする段階ではありませんが、多くの選手は引退後に趣味を副業にすることがありますよね。ほかに、将来そうなり得る興味や関心はありますか。

 

Faker:プロを続ける中で、趣味はいろいろ増えましたが、長続きはあまりしないようです。もしプロになっていなかったら、いろいろやってみて、結局は特に何者にもなっていなかった可能性が高いと思います。ただ、戦略的なものやコンピュータが好きなので、そういう分野に関わることをしていたかもしれません。

 

司会:コンピュータ。いいですね。

司会:それでは、Faker選手の再契約と世界大会優勝後の記者会見として、記者のみなさんから多様な質問をいただき、非常に意味のある時間になったと思います。Faker選手、最後に、本日たくさんの記者が来ていますので、一言お願いします。

 

Faker:はい。本日お越しくださって質問してくださった記者のみなさま、ありがとうございます。来年から2029年まで、T1の選手として良いパフォーマンスをお見せします。ありがとうございます。


Source: 1, 2

 

管理忍

勉強になるでござる。

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