以下、Korizon EsportsによるFnatic YamatoCannonコーチへのインタビューを紹介。
――本日はインタビューに応えてくださり、本当にありがとうございます。とんでもない道のりでしたが、いかがお過ごしでしょう。
YamatoCannon:絶好調だね。その日はベッドに入っても信じられなかったけど、次の日にはRogueやMADをどう倒すか考えなきゃいけなくなって……まだ旅路は続いているけど、すごくいい台本だったし、楽しまないなんて無理だったよ。
――何が一番幸せな出来事でしたか? 準決勝まで進んだことや、ここまでの快調さ、記念すべき舞台でG2を倒したことなど、多くあるかと思いますが。
YamatoCannon:苦しい時も耐え抜き、「我々ならできる」と言い続けていたら、選手たちがそれを証明してくれた。彼らの努力が報われて本当に嬉しいね。Elias(Upset)は本当に長い間努力していたし、Bwipoはロールスワップしている。Hylissangは努力の鬼だし、Nisqyは相手を研究し、自己鍛錬を続けていた。Adamは突然ベルリンに来て、LECでプレイすることになって……色々大変なこともあったと思う。
そんな彼らが素晴らしい結果を出してくれたんだ。これだけ素晴らしい選手たち、そしてスタッフに囲まれているだなんて、とても恵まれていると思うよ。みんなで1つになって、チームとして活動できたこと自体が本当に幸せだね。
――他のインタビューなどでも、YamatoCannonコーチの回答からは、Fnaticメンバーへの計り知れないほどの誇りを感じますね。また、Upset選手がついにWorldsへ出場することについては、かなり琴線に触れる出来事だったかと思います。その際にはハグもされていましたね。これまでの道のり、特にプレイオフについてお聞きできますか?
YamatoCannon:個人的には、彼はまだWorldsへ出れていない選手の中で、最も出るべき1人だと思っていた。まだ出れていないなんて、本当におかしいことだったよ。
彼の成長と、チームメイトを理解しようとする努力……ご存知の通り、彼らはユニークだからね……Hylissangなんかはとても分かりやすいけど。そんな天才達をゲーム内で活かすためには、かなりの忍耐と理解が必要だっただろうけど、彼らを繋げて、集中させる役割をUpsetは果たしてくれた。天才と狂気は紙一重だろう? 時々踏み越えてしまうんだけど……一番大事なのはチームで一丸となってプレイできることだ。だからこそ、UpsetはHylissangとのデュオだけでなく、チーム全体とまとまれるようにとんでもない努力をしてくれた。
本当に彼がWorldsに出れて嬉しいし、あと結婚もしたよね。彼は結婚して帰ってきても、全く勢いは落ちてなかったんだ。勢いは落ちないか? 変わってしまわないか? なんて心配してたんだけど、全然いらなかったよ。彼はまさに獣だね。勝つ人間のメンタルをしてる。
――ちょっとお聞きしたいのですが……結婚バフ(Wife Buff)は本当にあると思いますか?
YamatoCannon:今の所、あると言わざるを得ないだろうね。3連続フルセットと来て、またフルセットの試合になることも予想できるから、もっとバフを重ねていかないと……ガールフレンドがいる選手もいるし、自分にもいる。あと……10年は続くようにどんどんバフしていこう(笑)。
――では、PGL(Post Game Lobby)でも話されていた話題について。5ゲーム目のダリウスピック、当時のVCも公開されていましたね。Adam選手が「俺のダリウスを信じてくれ」と言った返しに、全員が「信じる」とおっしゃっていました。
"You think Darius?
"Alright, we trust you @Ricadam_lol"#LEC pic.twitter.com/dElAnsp5KJ— LEC (@LEC) August 25, 2021
YamatoCannon:正直、カミールにタワーダイブしてデスする場面では、ちょっとやりすぎたんじゃないかと思ってたよ。でもWunder選手がお返ししてくれたから……それは気にしないことに。
ピックのときは、声の調子……彼がどんな風にそう言っていたのかや、ダリウスとこれまでのピック(対カミール)が持つ大きな意味、これまでのゲームの調子など(多くのソロキルが起きており、色んなチャンピオンを使ってもいた)、これらを踏まえて「ダリウスをしたいなら、やれ」と。彼がただカイトされて、エズがトランドルと汚れ仕事をこなすのを眺めてるだけ、敵がなだれ込んできたらおしまい……なんてことにはしたくなかったしね。
しかし彼は見事にやってくれたね……キャリアにも残る一戦だったんじゃないかな。それに、この試合で得た自信は長い間残り続ける。Worldsにも影響を与えるだろうね。Mic Checkでも紹介されたけど、シーズン中にも印象に残った場面があったんだ。Adamは特別なプレイヤーだと思ってるよ。
――Adam選手は特にフランスのコミュニティーに愛されていますよね。期待も多かったと思うのですが、同時にプレッシャーにもなったのでは。彼のキャリアについてはどうお思いですか?
YamatoCannon:彼はこれまで全ての勝負に勝ってきてるから、なかなか考えづらいね……LFLで勝ち、EU Mastersで勝ち、LECでも勝とうとしている。まだ若く、学ぶことも多いからこの流れが続いてほしいとは思っている。
ただ、今の彼は蹴り飛ばしてくる牡馬みたいなものだからね。ソロキルしたりされたり、自分の判断で色々としていることが今は成功につながっている。そこがおとなしくなれば、皆が恐れるベテランの1人になるだろう。ルーキーを育成しているときはいつもそう夢見ているけど、そうなったAdamが自分には見えるな。
――Upset選手にも、Adam選手にも触れてきました。ここでチーム全体としてですが……映画でもここまでドラマティックな展開にはならないのでは。フルセットで、しかもVITやG2を打ち倒して。そんなプレイオフ中のFnaticを、ずばり一言で表すと……?
YamatoCannon:分かってると思うけど……「山」だね(笑)。
Top of the mountain. pic.twitter.com/60k2vecnMi
— FNATIC (@FNATIC) August 22, 2021
――その質問は取っておいたんですけど(笑)。いいでしょう、その言葉について、深く教えていただけますか?
YamatoCannon:Upsetは良いメンタルで、この輝かしい成果を掴み取ったよね。「山」っていうのは、良かれ悪かれ、外的要因が何も自分に影響しない場所だと考えている。そんな中で人は、自分の思う価値判断や、自身の能力に従って行動できる。「山にいる」というのは、自身が集中できている状態を表しているんだ。そういった意味で、Upsetは登頂することができた。これは我々にとってのマントラとも言える。フルセットの試合では特にこの力を感じたね。間違いなく、こちらのメンタルの方が安定していたと思う。
――そしてそのメンタルのおかげで、Worlds出場を掴んだと。外から見ると、かなりの下剋上だったのではないでしょうか。シーズン中多くのプレイヤーに聞いてきましたが、FnaticがWorldsに出れると思っている方は多くいませんでした。しかし、Fnaticは実際に勝利を掴み、YamatoCannonコーチは……Gen.Gなどのチームと戦いたいと。Worldsはどのようになるとお考えですか? EUでの開催も告知されましたよね。
Woke up from a dream, our group at worlds: RNG, C9, GENG.. i can't escape this fate, it will reoccur til the end of time
— YamatoCannon (@YamatoMebdi) August 23, 2021
YamatoCannon:中国に行くつもりだったから、ちょっと変な感じだね。2週間の隔離に向けて、ジャズなどメンタル面での準備はしていたけれど……こういったことに時間を割く必要がなくなって、LECに集中できるようになった。
あと、Twitterで話していたことについて。初めてWorldsに行った時にSamsung GalaxyとRNGが相手で、次はGen.GとRNGが相手だった。だから3度目となる今回も、Gen.GやRNGと当たるんじゃないかと思ったんだ。それに彼らは1stシードではないから、彼らと当たるなら自分が1stシードということになるだろう? 縁起もいいんじゃないかな。
Worldsが終わると、いつも自分が一回り成長できた気分になれたものだったから、またあの舞台に戻れるのを本当に楽しみにしているよ。もちろん出れるだけでも幸運なことだが、その先も目指したいね。痛恨の一撃を加えてくれる選手がいて、勝てそうな相手も多い。LPL相手にどうなるかが特に気になっている。みんなLPLには注目しているし、実際素晴らしい地域だと思うけど……同時に、少し期待しすぎているんじゃないかとも思うよ。
自分は誰も恐れていないし、選手たちも同じなはず。ただ出せる限りのパフォーマンスを出して、Worlds中も下山しないようにするだけだ。
――LPLについて話されましたが、今年のLECはこれまで以上に強いようにも思えます。ただ、最盛期のSKTや昨年のDWGのような、圧倒的な強さを誇るチームはいないのではないか……とも言われていますね。地域間でのパワーバランスはどのようになっているとお考えですか?
YamatoCannon:理論上は、LPLが最有力候補に思える。ただ、チームのパフォーマンスや、メタの把握、スカウティングに、渡航やWorldsでプレイするプレッシャーなど、様々な要素が絡み合っている。予想するのは本当に難しいね。
2020年のWorldsで、DWGが強いと言うのは簡単だ。SANDBOXにいた頃、スクリムでも本番でも滅茶苦茶にされたからね(笑)。だから、DWGについての感覚などは掴めていた。でも当時は外からLECを見て、ひどいものだと思っていたが、現在はそこで戦っている。レンズが違えば見えるものも違ってくるから、別々の地域を同時に語るのは本当に難しいんだ。同じゲームで戦っていて、同じような環境で練習している、ということしか共通点がないからね。
昨年のDWGがあれほどだったのは、メタの解明速度が大きいと思っている。最初にどうプレイするかを解明し、他のチームがそれに続く形だった。でもわからないよ、LPLのチームがEUに来て、ソロキューに脳を破壊されるかもしれない(笑)。わからないことが多いし、同時にT1も来る。そこにはFaker選手もいるし……となると本当に予測が難しい。
どうしても比較しなければならないとすると、LECとLCKは似たラインで戦っていて、LPLが少し上だと思う。ただ、チームごとでの違いももちろんある。結局、チームがどうなっているか、という話になるよね。
――YamatoCannonコーチは2018年にWorldsへ参加されましたが、その年はSKTが参加していなかったんですよね。Faker選手のいるT1と戦える可能性があるのは、もしや今年が初めてですか?
YamatoCannon:2016年、kkOmaコーチとFaker選手に遭遇したんだけど、戦う機会はなかったね。ロビーで見たよ(笑)。自分の人生でも記録的な瞬間だった。
――そこまでではないのでは(笑)。
YamatoCannon:一人で座ってケータリングサービスの食事を食べていたら、彼らが来てね。子供にも言い聞かせるよ。「そしたらFaker選手が隣に座って……」って(笑)。
一般に、LoLのファンならFaker選手やT1のファンにならないなんてことはないだろう。Gen.GやSamsungと戦ったときも「これまで偉業を積み重ねてきた、Edgarコーチと自分は戦っているんだ」と思わせてくれたし、そういった歴史のあるチームと対面する機会は、間違いなく特別なものになる。それは同時に、実力を証明できる絶好のチャンスでもあるんだ。
多くの伝説達がWorldsにはいるが、でもそこへ出るには1年間努力しなければならない。今回我々はLECで勝てて、決勝を目指しているところなわけだけど……また深く掘り下げて、16年や18年の経験についても思いを馳せないとね。当時はグループを抜けられなかったけれど、今回も同じ轍を踏みたくはない。
――Fnaticのこれからの軌跡からは、全く目が離せませんね。しかし、前回EUで開催されたWorldsはEUのチームが決勝まで進めましたし……プレッシャーも少ないかもしれません(笑)。では、最後の質問になりますが……Worldsを前に、まずはRogueやMAD Rionsとの準決勝、決勝が待ち構えています。どうお考えでしょう。
YamatoCannon:十分倒せる相手だと思っているよ。選手たちの技量の面では、相手を超えていると言っても良いかもしれない。
RogueもMADも、自分のしたいプレイを掴めているチームだ。我々は4~5連敗したことなどもあり、多少自分を見失っていたものの、今や目標は明確。週末に向けて、自信は十分だよ。パフォーマンスコーチのFab、戦略コーチのShaves、アナリストのTolki、彼らがいてくれて本当に良かった。準備はしっかりできている。
――Fnaticの歩みを目にすることができてよかったです。残り2マッチ……2マッチ?(笑)幸運を祈っています。
YamatoCannon:こちらこそありがとう、そちらにも幸運を祈っているよ。身体に気をつけて。
深山幽谷でござる。
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コメント
この勝利は本当にドラマチック
あのアダムのダリウスは、まるで宝塚記念で立ち上がったゴールドシップみたいだった…
このコメントは黄昏の帳でよく見えないでござる。ニンニン。
釣りか?
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そういえばIGにfnaticがボロ負けしたときに
強く励ましてたのがyamatoだったな
韓国でのこともあるし
まじでメンタル面では超優秀なんだろうな
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ダリウスピックのVCカッコ良すぎる
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俺さえいれば勝てるぜ
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これで20代とかいうやべー人
イケメンだしコーチ上手いし話上手いし欠点見つからねんだわ
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もみあげも剃ってから1週間で元に戻るし
このコメントは黄昏の帳でよく見えないでござる。ニンニン。
ダリウスピックを見た時、数年前にCapsがヴェインをピックしたのを思い起こさずにはいられなかったな
あの時に背中を押したのはRekklesだったな
このコメントは黄昏の帳でよく見えないでござる。ニンニン。
大幅なメンバー変更やら色々あったけど魅力的なのは変わんねーチームだな
WCSでの暴れ見たいわ
このコメントは黄昏の帳でよく見えないでござる。ニンニン。
アダムのダリウスは有名だけどここで出して
それをYamatoもチームも全員支持するのはドラマティックすぎた
哲学を語るような低い声でユーモアを忘れず派手派手な衣装をまとう大和最高だよ
このコメントは黄昏の帳でよく見えないでござる。ニンニン。
途中のTwitterにあった
https://youtu.be/fAZZCk92qzs
色々裏側見れて面白かった。Doinbがいくつかの箇所ですごい奴の代名詞として出てきて笑った。(Nisqyが2回赤カード引いた時の振り返りでUpsetが「Doinbなら即金だったぜ」とか)
このコメントは黄昏の帳でよく見えないでござる。ニンニン。