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半年ほど前、ふとした事がきっかけで、当時あまり良く思っていなかった旧友の話をした。
誰しも、そういう友人がいたことがあるのではないかと思う。
厳しく距離を置いたり、あるいは単に疎遠になったり。
そして振り返ってみるとなにか特別なものを失ったことに気づくんだ。
俺の場合、それはLoLプレイヤーだった。
俺はそいつを、単にレオナと呼ぶことにしている。
2014年当時、レオナと俺はよく一緒にプレイしていた。
レオナはよく、レオナのキャラクターそのものになりきっていた。
ゲーム内のチャットからなにから、まるでレオナ本人のような口調でね。
最初はそれが好きだった。なんだか新鮮な感じがしたからだ。
でも、俺がLoLを競技として他の友だちと遊ぶようになってからは、少しずつ噛み合わなくなっていった。
レオナと別の友だち3人と俺の5人で遊ぶことになったとき、俺たちの関係はひどい結末を迎えた。
俺はレオナのことをまるで知らないようなふりをしてからかってしまったんだ。
レオナはもうとっくにLoLコミュニティから引退していると思っていた。
そうでなくても、俺に傷つけられた後になりきりロールプレイは辞めたと思っていた。
しかし俺はどこかで、レオナはもっとタフなやつだとも思っていた。
前置きが長くなってしまった。
一歩下がって、この悲劇的な物語のその後を語ろう。
レオナを高く評価するコメントや、俺を非難するコメントがredditで次々に出てくるのを見て、俺は嬉しくなった。
俺が叩かれるのは構わない。叩かれても仕方がないことをしてしまったのだから。
ただ、レオナが認められたことが嬉しかった。
最初の投稿をした後、何ヶ月もの間、たくさんの人たちから嫌がらせのDMが届いたり、その後どうなったのかと尋ねられた。
正直なところ、俺はもう終わりにしたかった。
しかし何度も何度も「続きが知りたい」「レオナに謝罪しろ」「レオナにもう一度会って欲しい」というDMを受け取ったんだ。
それは、レオナの居場所を突き止める気力が沸いてくる前のことだった。
最初の投稿から約一ヶ月後、俺はあるredditアカウントからDMを受け取った。
それはレオナを名乗る人物からだった。
そのメッセージは簡潔なものだった。
レオナは単に俺の投稿を読んだと言い、よく出来ていると感想を述べ、さらなるディスカッションのために、とDiscordの連絡先を付け加えていた。
例えこれが偽物であっても、俺はひとまず食いつくことにした。
その日は何も予定がなかったということもある。
でも、もし偽物だったとしてもよい気晴らしになるし、万一本物だったらまた話ができて嬉しいからだ。
「あなたは才能に恵まれているようね。確かにこれは私たちが共有した物語よ。でもあなたは、自分が可愛いあまりに文脈を変えたわね」
そう、本物だった。
俺の視界はバラ色に染まった。俺は今や、レオナとの関係を好意的に見ていた。
俺がすっかり忘れてしまっていた、あの味わい深い装飾。
「私に”お前は足かせになっている”と言ったことが抜けているわ」
確かにそうだ……でもそれは物語全体にとって重要なことではない。
「それに、ワードの重要性について3時間レクチャーしたことも抜けているようね」
その通り。でもそれって重要なのか?…… いや、ワードは重要だ。
「ネットで承認欲求を満たすために私を利用したいというの? 好きになさい。あなたが次に私を利用するときは、私も真実を話すために舞台に立つわ。私のことをサーカスの猿のように扱う男に、私は振り回された。愚かだったわ。私を見つけようとする前にredditに投稿したのだから、あなたはまるで変わっていないようね。なにより、多くの人が私を見つけるように懇願したのに、あなたは私を見つけようとはしなかった」
言葉もなかった。
何も新しいことは学べそうにない。
何年経っても、何も学べず、何も得られないだろう。
それを否定することはできない。
結局のところ、変化ではなく目新しい刺激を求めていたのだ。
言葉のやり取りの中で、レオナは俺が覚えていないこと、あるいは俺がつじつま合わせをしようとしたことを指摘してきた。
その時、もうこの物語を披露するのはやめようと思った。
レオナは、俺がこの関係の真実を直視するのなら、この物語が続くことに満足していた。
そして俺は、暴露されることを恐れた……。
レオナとはDiscordではフレンドのままだったが、いつからか話すこともなくなった。
フレンドは削除したくなかった。
俺がレオナに再会できて嬉しいと感じられたのは、さまざまな変化があったことの証拠だと思いたかったからだ。
時間がすべてを解決してくれるだろう。そうすれば、俺が失ったものを取り戻せるはずだ。
自分勝手な考えであることは分かっている。
Discordを開くたびに、レオナのユーザー名が表示された。
俺が望めば、レオナと連絡が取れる。
でも、それはできない。これ以上、レオナに嫌な思いをさせたくない……。
ある日、俺はすべての感情的な重荷を投げ捨て、要点だけを伝える決心をした。
「あのさ……まだLoLやってるの?」
彼女は答えた。
「やっているわ」
次の俺の言葉は、自分でもどうかしていると思えるようなものだった。
「1v1しない?」
レオナは次のように答えた。
「そう来るとは予想していなかったわ」
そして俺はレオナのサブアカウントを教えてもらった。
低レベルで、アンランクのアカウントだ。
それはグウェンOTP用のアカウントのようだった。
俺は少し悲しい気持ちになった。
レオナが……グウェンになっている……。
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俺の心をかき乱す、レオナの不在。
でも考えないようにした。1v1に集中しなければならない。
そしてカスタムゲームで対戦することになった。
俺が選んだのはジャックス。
俺はジャックスでこれまで10連勝していた。
1v1で尻込みするのはごめんだ。
そして彼女が選んだのは、当然グウェンだった。
ここからは、レオナのことをグウェンと呼ぶことにする。
「ごきげんよう、ジャックスさん!”これが本物の武器じゃなくて命拾いしたな”ですって? 私も本物の武器じゃないわ!私たち、まるで双子みたいね」
対戦の冒頭、オールチャットでこんなメッセージを受け取った。
俺は完全に不意を突かれた。
彼女はふたたびチャンピオンになりきっていたのだ。
しかし、俺は沈黙を守った。
どう答えていいか分からなかったというのもある。
ともあれ、俺はこの戦いに勝たなければならなかった。
なぜだ?
心の底では、まだペアを組むに値する上手なプレイヤーでありたいと願っていたからだ。
俺はグウェンがまだレオナだった頃、無意味なことをやっていたのを思い出した。
あれから結構経っている。俺はもっと上手になっているはずだ。
ミニオンたちがハウリングアビスの真ん中で衝突した時、俺たちの対決は始まった。
はっきりしたルールは定めていなかった。だが、どんなルールを定めたところで無駄なことは明らかだった。
俺がハラスをしようとグウェンに近づいたとき、彼女は見事にカイティングして反撃してきた。
俺はいつの間にかHPが半分になっていた。
こんなことってあるのか?
俺はレベル6になるまでセーフプレイすることにした。
とにかくグウェンの攻撃を生き残らなければ。
そして2人ともレベル6になった。
するとグウェンは後ろに下がり、こう言った。
「心配なさらないで! すぐに終わりますから!」
そして針が飛んできた。その針は正確に俺の動きを捉えた。
グウェンは俺のリープストライプを読み、聖なる霧でブロックした。
そしてイグナイト。
俺は燃え尽き、死に至った。
「ジャックスさん!Bo3にしましょうか? 互角の戦いにするために、本物の武器をお渡ししますよ!」
俺は自分が劣っていることを理解した。
俺は2手先しか見えず、グウェンは3つの時間軸に分割された30手先が見えるチェスをしているようだった。
俺はプライドを飲み込み、負けを認めた。
俺たちは、何年もの間ほぼ同じ時間だけLoLをプレイしていたようだった。あの頃、俺には競争意識があり、彼女にはなかった。
しかし、これでもう同じ土俵にすら立っていないことが証明された。
試合終了後、チャットが飛んできた。
「良い戦いでした。さぁ、仲直りを考えませんか?」
俺は答えた。
「そうだね……」
俺はこの物語を投稿する許可をグウェンに求め、グウェンはイエスと答えた。
今、彼女に聞きたいことがたくさんある。
でも、すぐに答えを得ることはできないだろう。
それに、答えを得られなくてもいいと思っている。
グウェンはグウェンだけでなく、他のチャンピオンも素晴らしかった。
例え試合には負けても、グウェンは自分のレーンでは圧勝した。
彼女はもう数分おきになりきりメッセージを送ってくるスローなプレイヤーではない。
その代わり試合開始前と終了後に、ちょっとしたなりきりメッセージを送ってくるんだ。
毎試合やっているのか、俺だけにやっているのかはわからない。
でも、彼女のクリエイティビティの輝きが失われていないのは、すごいことだと思う。
俺たちは今、ちょっと距離を置いている。
でも、それでいいんだ。
俺をキャリーしてくれる彼女が戻ってきたことが、今はただ嬉しい。
もしこの物語に学ぶべき道徳が見つかったとしても、俺はそれをことさら大声で叫びたくはない。
俺が仕掛けたメッセージを伝えるために、彼女を利用することはもうしたくないんだ。
この物語自身が、伝えるべきことを雄弁に語っているだろう。
参照元: The Legend of Leona Roleplayer Pt. 2
戦いを通じて語り合うのでござる。
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コメント
前回で終わりなら良かったのに、流石にここまで書かれると創作感が強くなっちゃうな・・・。
まぁちょっと蛇足感はあるよな
なりきりenjoyプレイヤーだったレオナは結局ただの痛い人になっちゃったわけやしこの後日談のせいで
なりきりレオナの話本当に悲しかったから、もしこの結末まで全部真実なら自分の事の様に嬉しい。
いい話じゃん
レオナが……グウェンになっているで思いっきり吹いてしまったw
真の視界を獲得
俺はこの物語を投稿する許可をグウェンに求め、グウェンはイエスと答えた。
文章すら読めずに文句だけ垂れてるの草
最初の投稿の話でしょ
ちゃんと読めって
レオナが…シェン殿になっているでござる!
お寒い冗談ですこと
なんかちょっと悲しく寂しくなるとこまで含めていい物語だ
流石に偽物じゃない?
過去には何年やっても下手だったやつが数年そこらで
OPより強くなるって考えにくいけど
最初に気に入って使い続けてたチャンピオンが実は自分に向いてなかった経験はそこそこみんなあると思う
一度OTPで試行錯誤したルーンやビルド、マクロの知識は他に応用効くしね
ずっとレオナで読み続けてただけに、
グウェンになっている…!
で全て持ってかれたww
今回の件からお前が得るべき教訓は、サブ垢を見たらスマーフと思えということだ。
レオナの台詞を川澄綾子で脳内再生してたのにグウェンになっててクソワロタ
どうだろう VCありでやっていたなら本物ってわかるんだろうけど、チャットメッセージだけなら単純に適当な高レートのサブ垢なのかもしれない。
ブロンズ5のteemo OTPからリーシンを使い始めてチャレンジャーまで行ったプロもいることだし、数年でLOLに対する向き合い方が変化したら上手くなっていてもおかしくはない。
やはりサブ垢な気がする。
「偽物じゃない?」ってのは無粋だ
とても面白かったよ
現実だろうが創作だろうが良いもの読めた、それでいい
強いグウェンに分からされるジャックスすこ
ジャックスとグヴェンっていうガチマッチアップでわからされたのが良いね
レオナ/グウェンっぽいセリフになるように翻訳してくれた管理忍に感謝。脳内再生できる再現度です。
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「レオナと1v1をしたらレオナがグウェンになっていた」
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…
面白かった 読み終えて深い満足感がある
嘘を嘘と見抜ける人は増えたけど嘘を楽しめる人は減ったんだなぁ。
だってつまらないんだもん
嘘を嘘と見抜いてるのではなく、何でもかんでも嘘だ嘘松だ作り話だと批判から入る人が増えたのだと思うでござる。
LOLのredditでスレを立てるなんてのは、当たり前のように承認欲求の示唆な訳だけど
指摘した後に仲直りしようなんて言ってくれる友人と、ソレに気づける自分は美しいと思った
ウシジマくん読後みたいな啓蒙に近い感覚
投稿者の自分に酔ってる感じが死ぬほどキモイ
翻訳も大変だったろうに
どこぞにも自分を英雄シェンだと思っている
ダジャレ忍者がいるらしいでござる
レオナ相手ならタイマンで勝てると踏んでたのにグウェンだったの草
ダイアナじゃねーのかよ
管理忍のセリフに何か深いダジャレが含まれてないか確認してしまった
それ同じだわって思った人アップボート
ただただ気味が悪い
あなたーにもーしわたーしーをー、さーがすゆうきがあれーばー
どこにでも拙者はいるでござる。