真夏の激闘の末に敗れはしたものの、成長の証を見せたSHG Kinatu。ファイナルの振り返りをはじめ、今まで語られることのなかった側面についてLoL忍者がインタビュー。
悔しくて、楽しかったファイナル
LoL忍者:Kinatu選手、ご無沙汰しております! ファイナルは奮闘虚しく敗れてしまいましたが、素晴らしい試合を見せてくれました。
Kinatu:LoL忍者さん、お久しぶりです! 優勝することができずに悔しいです。
LoL忍者:初のオフライン、初の決勝でしたが、いかがでしたか。
Kinatu:もうとにかく、「楽しかった」の一言に尽きます! 負けてしまったのは今でも悔しいですが、素晴らしい経験をすることができました。
LoL忍者:そうなのですね。ファイナルについては後ほどゆっくり聞かせていただくとして。
実を言うとKinatu選手にインタビューという形でお話をお聞きするのは初めてなのです。
そこで、今回はKinatu選手のこれまでのキャリアについてなど、総合的にお聞かせいただけますか。
Kinatu:もちろんです!何でもおっしゃってください。
プロゲーマーになるためにLoLを選んだ
LoL忍者:Kinatu選手は元々FPSタイトルのオーバーウォッチのプロ選手でしたね。どのような経緯でオーバーウォッチのプロになったのでしょうか。
Kinatu:僕は14歳の頃に親にパソコンを買ってもらい、すぐにオーバーウォッチをプレイし始めました。
夢中でやっていたら、1ヶ月で最高ランクであるグランドマスターに到達できたんです。
LoL忍者:たった1ヶ月でですか? それは凄すぎますね……!
Kinatu:ありがとうございます。
その3ヶ月後に、日本代表の候補の3人のうちの1人として選出していただきました。
ですが、惜しくも候補止まりで日本代表になることはできませんでした。
悔しいけれど、仕方ないなって。来年もう一度チャレンジしようと心を新たに練習に取り組みました。
しかし、その翌年の日本代表には18歳以上という年齢制限が設けられていたのです。
LoL忍者:それはやるせないですね。当時のKinatu選手は何歳でしたか。
Kinatu:当時は15歳でしたね。
本当に残念でしたよ。ずっとモヤモヤしていました。
そんな頃、あるきっかけでLoLを知ったんです。
LJLも観てみたら、とても盛り上がっていて。
そこで、プロになる資格を調べてみたら、17歳以上だったんです。
「オーバーウォッチより1歳若い!これだ!」と思いましたね。
LoL忍者:では、プロゲーマーになるためにLoLを選んだのでしょうか。
Kinatu:はい、そうです!
17歳になったら、すぐにスカウティンググラウンズに応募しました。
そして幸運にもRascal Jester(現FENNEL)に声をかけていただけたのです。
そこから1シーズンプレイさせていただき、ずっと憧れていたDasheRさんと一緒に戦いたいと思って、SHGに移籍させていただきました。
LoL忍者:DasheR選手のどこに憧れていたのでしょうか。
Kinatu:お気に入りのクリップがあるんです。
DasheR選手がコーキでアウトプレイしたときに、「パパパパ〜ン♪」と、嬉しそうにファンファーレのようなものを口ずさんでいたんですよね。
それを見て、「なんて楽しそうにプレイする人なんだ!」って。
僕もこんな風に、ずっと楽しくLoLをプレイしていたいって思いましたね。
センスとは運の言い換えである
LoL忍者:ゲームを楽しむ姿勢は、見ていても気持ち良いですからね。
それにしても、Kinatu選手の過去を初めてお聞きしましたが、まさにセンスの塊ですね。
RJ在籍時のデビュー年も、底知れないセンスを感じたことを覚えています。
Kinatu:ありがとうございます!
でも、仮に僕がセンスに恵まれていたとして、センスだけだと限界があるんですよね。
センスって、運の言い換えのようなものなんですよ、きっと。
LoL忍者:と、おっしゃいますと。
Kinatu:うまく行っても、なぜうまく行ったのか分からなければ、それは運みたいなものです。
いいプレイができたとしても、それを言語化して理論化して、再現性を高めなければプレイヤーとしての実力は向上しないのです。
再現性が低ければ、メンタルにも影響します。
うまく行かなかった理由が分からなくて、モヤモヤしてしまうからです。
そこが大きな壁となっていた時期がありました。
LoL忍者:どのように乗り越えたのでしょうか。
Kinatu:今年の夏から元Hanwha Life EsportsのSuDalコーチに加入していただきまして。
ポジションコーチのような形で、各マッチアップの構図について体系的に教えていただいています。
SuDalコーチの教えが、本当にためになるんですよ!
お陰で、今まで勘に頼っていた部分の多くを言語化できました。
LoL忍者:それは素晴らしいですね。かなり手応えを感じたのではないでしょうか。
Kinatu:はい!
特定のマッチアップというよりは、理論的に学習する方法を総合的に教えていただいています。
ですから、どんなことにも応用できると考えています。
今後僕はもっともっと強くなれる。そう確信しています!
LoL忍者:ちなみに、どんな学習方法なのか少し教えていただけますか。
Kinatu:トッププロのリプレイの視聴方法です。これまで自分がやっていた方法とは全然違いますね!
SuDalコーチには感謝してもしきれないです。
ファイナルは観客がMVP
LoL忍者:今後のKinatu選手のさらなる成長に期待できますね!
さて、お話をファイナルに戻そうと思います。
ファイナルの感想をお聞きした時に、「とにかく楽しかった」と仰っていましたね。
Kinatu:もう、最高でしたよ!
いいプレイをすると、観客の皆さんがワーッと反応してくれるじゃないですか。
本当にすごい歓声でした。
あれはオンラインでは絶対に味わえません。
観客の皆さんのノリが本当に良くて。
ありがたかったですね。
LoL忍者:確かに会場の雰囲気は素晴らしかったですね!
「みんなで一緒にこのお祭りを楽しもう」というムードが伝わってきました。
Kinatu:そうなんですよ!
このファイナルのMVPは、観客の皆さんだと思います。
僕たちが良いプレイをしたときの歓声はもちろん、DFMが良いプレイをしたときの歓声もすごくポジティブに受け止められるんですよね。
「見てろよ、次は僕の番だ!」という感じで。
LoL忍者:配信サイトのコメントは厳しいものになりがちですが、オフライン会場はポジティブな空気に包まれていましたね。
同じ空間と時間を共有していることによって、同じ人でも視聴態度がまったく異なるのかもしれませんね。
Kinatu:そうかもしれませんね。
お陰で、ミスをしても落ち込まずに終始前向きな姿勢でプレイすることができました。
LoL忍者:緊張はしなかったのでしょうか。
Kinatu:それが全然緊張しなかったんですよ。
僕は本来緊張しやすいタイプで、デビュー後2年位は試合中に手の震えが止まりませんでした。
でも今回は一切それが無くて。
自分でも驚きましたね(笑)
LoL忍者:楽しくプレイすることでパフォーマンスも上がりますから、Kinatu選手はオフライン向きなのかもしれませんね。
反省点は100個以上ある
LoL忍者:逆に、ファイナルの反省点はないのでしょうか。
Kinatu:いっぱいありますよ。
例えば5ゲーム目のヘラルドファイトなどですね。
ヘラルドファイトが起こる少し前、相手チームがドラゴンを獲得したので、僕はタワー間でオーバーファームする選択をしたのですが、Yutaponさんにリコールタイミングで上回られて、結果として寄りが遅れてしまいました。
この状況でも十分に対応可能でしたが、適切な判断ができずに曖昧なまま不利を背負ってしまいました。
こういう反省点が100個以上ありますね。
僕にこの話をさせたら、延々話しますよ(笑)
LoL忍者:かなり細かい反省点ですね。
ちなみに、Yutapon選手の印象はいかがでしょうか。
Kinatu:ゲーム理解度が非常に高いと思います。さすがの一言ですね。
それに、長年一緒にプレイされているからかもしれませんが、Steal選手やAria選手とのシナジーが高いと感じました。
LoL忍者:試合は5試合目までもつれ込み、どちらが勝つか分からない白熱した内容になりましたね。
Kinatu:思ったのですが、やっぱりレッドサイドは辛かったですよ(笑)
5試合目はやっと納得できるドラフトを組めましたけれどね。
やっぱりサイド有利っていうのは……。
あーでも、Gen.GがT1に3-0で勝ちましたからね……。
ダメですね、言い訳してたら。
反省します……。
Marbleに反撃
LoL忍者:「お肉の名前全然違う事件」をMarble選手に明るみに出されてしまったKinatu選手ですが、逆にMarble選手のおもしろエピソードはありませんか。
Kinatu:ちょうど昨日ありました。
二人で出かけると雨が降ることが多くて、Marbleにいつも「お前、雨男だよな」って言われるんですよ。
でも昨日雨の中で外出する必要があって、僕が外に出た瞬間めちゃくちゃ晴れたんですよ(笑)
ってことで、雨男はMarbleです。これが正解です。
LoL忍者:ありがとうございます(笑)
それにしても、お二人は仲が本当に良いですね。
Kinatu:まぁ年も近いですし、仲は良い方でしょうね(笑)
自分はまだまだ上手くなれる
LoL忍者:今後の意気込みについてお聞かせください。
Kinatu:先程も申し上げたように、僕はこれからもますます成長していけます。
必ず成長できるという確信があるんです。
SuDalコーチはじめ、周囲の皆さんのお陰ですが、そのためにも期待に応えなければいけません。
LJLで常勝できるチームとなれるよう、僕が牽引していきたいと思います!
そのためにも、まずは来シーズンの優勝ですね。
LoL忍者:頼もしいですね!それでは、最後にファンの皆さんにメッセージをお願いいたします。
Kinatu:いつも応援してくださり、本当にありがとうございます。
ファイナルで僕が緊張せずにのびのびとプレイできたのは、本当にファンの皆さんのお陰です。
というのも、今年はTwitterなどで応援のお言葉をたくさん頂戴したんです。
「頑張れ!」「期待しています!」「落ち込まずに前向きに行こう!」って。
こういう応援が本当に本当に心に染みて。
ファイナルの舞台でも、こういう風に僕を応援してくださる方たちが、きっと観客席のどこかに座っているはずだと。
皆さんのお陰で、僕は恐れず戦うことができた。
今年は優勝はできませんでしたが、応援してくださる方たちのために、絶対に強くなって帰ってきます!
今後も応援のほど、よろしくお願いいたします!
ナイスファイトでござる。
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コメント
これはナイスインタビュー
デビューしたてのころからすると少し伸び悩んでるのかなと思ってたりもしたが、力強い言葉に安心した
新世代のTOPのエースとして応援してます!
中2でゲーミングPC買って貰える家庭がこの日本にどれだけあるんだろうな…
いきなり嫉妬かよ
いうてもlolだのowするくらいなら一般ノーパソでも全然行けるレベルだと思うが
いうほど珍しいとも思わないが…
こういう家庭環境に左右されざるを得ないところとがPCバン(だっけ?)のある中韓との差なんだろうな
金銭的に買う余裕のある家庭は多いと思うけど安全面や教育面などの問題で買わない家庭はマジで多いと思う。ゲームやるだけなら家庭用ゲーム機あるし。
まぁ実際親の立場として子供にLoLやらせたいかっていうとね…
プロになるためにゲーム選んで本当にプロになるの神の子か?
これはハラミだね(ドヤァ…)
LJL見始めた頃からずっと推してる選手のインタビュー記事助かる…ほんま助かる…
来年は世界大会でのプレーを見てみたい
真の視界を獲得
これ帳されてるの闇深い
1ヶ月でOWグラマス~の所はそれ以前に1年以上CSOWやってたからちょっと意味変わりそう
まあCSからPCに行ってすぐにグラマスになるのはすごいしセンスあるのは変わりないけど
1ヶ月でグラマスで度肝抜かれたけど叙述トリックだったか
すごいのは間違いないけど
パソコンから1ヶ月でOWグラマスってところの意味変わるか…?
オーバーウォッチより1歳若い!これだ!
もう常人じゃないのがよくわかるよ
オフラインで観たけど、キナツくんは試合前にニコニコしていたのが印象的だった
ミランもマーブルも落ち着いてたし、新人勢の肝の据わり方とんでもねえな
LoL忍者がまた選手へのインタビューしてくれて嬉しい
試合内容のフィードバック聞けるのかなり興味深いでござる
キナツのナーはいつもウルトでひっくり返すからピックされるたびに画面から目が離せなくなる。DFMファンボだけど、応援しています。
会場で近くに座ってる人が選手入場の度にkinatu君に声援送ってたけど、そういうのも選手に届いてたと思うと嬉しくなるね 来年もLJLがあるか分からないけどまたオフラインで試合やってほしい
海外からのレジェンドいるし
LJLの功労者はコーチで雇うし
有望な若手は専属コーチつけて育てるし
SHG本当推せるわ
>>>うまく行っても、なぜうまく行ったのか分からなければ、それは運みたいなものです。
いいプレイができたとしても、それを言語化して理論化して、再現性を高めなければプレイヤーとしての実力は向上しないのです。
再現性が低ければ、メンタルにも影響します。
うまく行かなかった理由が分からなくて、モヤモヤしてしまうからです。
そこが大きな壁となっていた時期がありました。
これを言語化出来てる時点で相当優秀だと思いますねぇ!
真の視界を獲得
実力に差はまだあるかもしれないけど、yutaponと一緒だよ
lolを選んでくれてありがとう
今年のFinalのわくわくドキドキ感は図抜けてたでござる
来年も楽しみでござるよ
インタビューから羽ばたいていった選手さんもいたので今後に期待すを込めて
lol忍者のLJL関係者インタビュー全部良い。全員推したくなる。
きなつくんもまだ若いのにしっかりしてて(かわいいエピソードはたくさんあるけど)、どこに出しても恥ずかしくない。
まだまだこれからだし頑張ってほしい。
インタビュー記事ありがとうございます
tol2とも同年代だし切磋琢磨してもらいたい
なんとなくまだEvi,Nap,Paz,Apamen辺りの世代と比べて危うさを感じてしまうけど着実に上手くなってる感あるから、前世代の生き残りがいるうちに学ぶだけ学んで完全に追い抜くところを見せて欲しい
年齢制限って何の意味があるんだろうな
少なくともOWは金の卵を逃した
LoLだって他に15歳でプロになれるゲームがあったらKinatuはいなかったわけだ
どの国だろうと年齢によって雇用関係の対象にできるかどうかとか法律上の縛りがあるからフランチャイズ運営のうえでは重要なことよ
近くの席にボーイッシュなkinatuファンガいてちょっと羨ましかったでござる
LJLなくなるからどうでもいいよwそれよりも次の就職先見つけた方が有意義だぞ