LCK三強に何が起きているのか? CloudTemplarとWadidが本音で語る現状分析
T1はなぜ復活したのか? HLEはなぜ崩れたのか? そして、Gen.Gはどう変わったのか?
LCKを代表するパーソナリティであるCloudTemplarとWadidが、LCK三強の現在地を語る。RTMからR3、MSI、EWCまでのパフォーマンスを踏まえながら、各チームの「進化」と「限界」がどこにあるのかを浮き彫りにする座談会を一部紹介。
T1:なぜか映画の主人公のようにすべてがうまくいっている
CloudTemplar
ちょっと話が散らかってきたから、チームごとに整理して話していこう。まずはT1からどうだろう。R3では無敗で、調子も上がってきてるし。
Wadid
T1対HLEのシリーズは、本当に驚きでした。言葉でうまく説明できないというか、T1がまるで映画の主人公みたいに、すべてがうまくいっていた印象です。Guma選手のジンのWでのヴォイドグラブスティールに始まり、HLEが第3戦に持ち込めそうだった最後の場面も含めて、すべてがT1に傾いていたように思います。
CloudTemplar
かなりざっくり言うけど、T1って今のメタにけっこう合ってるんだよね。めちゃくちゃ大雑把に話すけど、今のメタはずっと少数戦が起きるような構造になってて、T1はそういう環境で力を発揮するチームだと思う。T1のサーカス的な動きって、少数戦における極限までの最適化の象徴だし、そういう意味で今のメタはハマってるかもしれない。
R1〜R2の序盤ではけっこう苦戦してたけど、RTM(Road to MSI)と最近の国際戦を通して、むしろ弱点だった部分を強みに変えてきた。いちばん分かりやすいのはDoranだけど、それだけじゃない。序盤は全体的に不安定だったT1が、いまでは毎試合、安定して最高のパフォーマンスを出してるように見える。
Wadid
最初は、T1が序盤に不安定だったのはロスター変更の影響かと思っていました。Doran選手と他のT1メンバーのプレイスタイルが、最初はうまく噛み合っていなかったように見えましたし、それぞれが以前のやり方に慣れていたと思うので、ある意味では自然なことだと感じていました。
でも、時間が経つにつれてピースが揃ってきて、今では以前は弱点だったところが逆に強みになっているように見えます。
特にボットレーンは、チームのなかでも最も大きく変わった部分だと思います。序盤と比べて、Gumayusi選手とKeria選手の調子は今がピークと言ってもいいくらいです。ボット主導が重要な今のメタにおいて、この2人の復調はT1にとって大きなプラスになっています。LCKのグローバルキャスターの間でも驚きの声が多くて、今のT1は国内戦でも国際戦レベルのパフォーマンスを見せているという評価もありました。
CloudTemplar
LoLって、もともと安定感を維持するのが難しいゲームなんだよね。常にパッチで環境が変わるから。1ヶ月休んだだけでも復帰がめっちゃ大変。プロならなおさら、ずっと高いレベルで安定したパフォーマンスを出し続けなきゃいけない。その意味で、MSI、EWC、R3を通して高いレベルを維持してるGen.GとT1は本当にすごいと思う。
Gen.G:もはや「メンタル弱者」のチームではない
CloudTemplar
Gen.Gについてはどう思う?
Wadid
そうですね……どう表現すればいいか迷いますが、「昔のGen.G」はもういない、という感じがしています。以前のGen.Gは、何かしらのメンタル的な壁や見えないブロックにぶつかって、突然崩れてしまうような印象がありました。でも今は、本当に別のチームのようです。
CloudTemplar
当時のGen.Gって、どこか「本番に弱い」みたいなところがあったよね。いわば、温室育ちの子どもみたいで、現実の押し引きにうまく対応できないタイプだった。自分たちのペースで進められるときは強いけど、想定外の展開で計画が狂うと、いきなり崩れてしまう。外部要因への耐性がすごく低かった。
でも、今のGen.Gはまったく違う。いまは試合の流れに関係なく、常に「勝てる可能性がある」と思わせてくれるチームになった。昔は、大事な場面では勝ちきれないイメージが強かったけど、今は「Gen.Gならやってくれるんじゃないか」と思わせてくれる。
Wadid
はい、それは自分も強く感じています。T1にも共通している点だと思うんですが、最近のGen.Gって、フラッシュの使い方が本当に上手なんです。特に、アグロを引きつけたあとに安全に離脱するためのフラッシュの使い方が秀逸で……。
CloudTemplarさんがおっしゃったように、トップチーム同士の対戦って、ほんの些細な差で勝敗が決まるじゃないですか。だからこそ、Gen.GやT1のそういったフラッシュの判断が、5-0とか4-0みたいな理想的な集団戦につながっているんだと、自分は考えています。
HLE:かつての安定感はどこへ
Wadid
最後は、ビッグスリーの残りであるHLEですね。いま思い返すと不思議なんですが、今年の序盤のHLEは、本当に「安定の代名詞」みたいなチームだったんです。LCK CupやFSTでは堅実な試合運びを見せていて、それが優勝にもつながっていました。
それが、時間が経つにつれて少しずつ綻びが見え始めて、いまのような状態になってしまった。正直申し上げて、HLEが立て直そうとしても、どこから手をつけるべきか判断が難しいと思います。問題があまりに多方面に広がっているように感じます。
CloudTemplar
こういう強豪チームの崩れって、実は外から見るよりずっと解決が難しいんだよね。強いチーム同士の勝負って、結局は「ほんの小さな差」で決まるから。つまり、HLEみたいなチームの問題って、大きくて目立つ欠陥というより、細かい要因がいくつも積み重なっていることが多い。だから特定が難しい。
個人的には、Bo3以上のフィアレスドラフト環境で、チームとしての勢いが失われているように見える。プレイできるチャンピオンの幅もそうだし、選手としてこなせる役割の柔軟性も足りてない。理想を言えば、HLEクラスのチームなら、誰がどんな役割も担えて、いろんなチャンピオンを扱えるはずなんだけど、今のHLEはそのあたりが少し硬直的に映る。
もし問題を特定するなら、ミッドとジャングルだと思う。どちらも最近はチャンピオンプールの面でも、ゲーム内の役割の面でも柔軟性に欠けている印象があるし、かなり厳しい内容の試合もあった。もちろんZekaとPeanutだけの問題じゃなくて、Delightにも同じことが言える。最近は他のサポートがすごいプレイを連発してる中で、Delightはちょっと控えめに見える。相対的な問題かもしれないけどね。
Wadid
本当に、こうなるとは思っていませんでした。RTMに向けては、世論的にもHLEのほうが上という見方が大勢を占めていて、LCKのグローバルキャスターの多くも、HLEがRTMで好成績を残すと考えていたんです。
でも実際には、見えない壁にぶつかったように失速して、一方のT1はまるで別チームのように変貌しました。
ただ、HLEがR4で巻き返しても、自分はまったく驚かないと思います。T1がRTMやMSIで見せたような急成長をHLEが起こしてもおかしくないですし、必要なのはメンタル面のリフレッシュだと思います。0:2で負けた試合の中にも、ゲーム内容としては惜しい展開がありましたから、いまは「心の状態」が本来のものではないのかもしれません。
例えば、T1との第2戦なんですが、あの試合を終わらせにいった判断は、いつものHLEらしくなかったと思います。通常ならバロンで終わらせようとはせず、じっくりとドラゴンを重ねていく戦略を取ったはずなんです。でも実際には、ソウルを相手に渡して、自分たちはエルダーを取って、1回のバロンプッシュで一気に終わらせようとした。それを見て、「あ、いまのHLEは自分たちのリズムを失ってるな」と思いました。普段の彼らなら絶対にしないことをやっている。それが、今の状態を象徴しているように感じます。
Source: [Translation] Cloudtemplar and Wadid on Week 11 of LCK R3 (Part 1 of 2)
今後が楽しみでござる。
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