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【LoL】Fakerが韓国首相と対談。「プロになった当初の不安は、食べていけるかどうか」「リーダーシップの本を6冊読んだ」

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韓国首相がFakerに直撃、Worlds三連覇の舞台裏と原点の夢

韓国のKim Min-seok(金 民錫)首相がFakerと対談。Worlds三連覇後の心境から、プロを選んだ当時の不安、父の支え、リーダーシップの作り方まで掘り下げる貴重な対談を紹介。

金 民錫(キム・ミンソク)は、韓国の政治家。2025年12月現在、同国国務総理(首相)。

Kim Min-seok:こんにちは。お会いできてうれしいです。今日は、私がインタビューを受ける側ではなく、インタビュアーとしてお話を伺います。国民のみなさんが会いたい、話を聞きたいと思っている方にお会いして、その考えを語っていただく首相インタビューシリーズの第2回です。

昨年の1月でしたでしょうか。Lee Jae-myung大統領と、こうした対話をしたことがあります。私たちの国のビジョンはどうあるべきか、という話でした。

そのとき私は、白凡・金九の言葉を引いて、結局私たちが進むべき道は、文化国家になることではないか、と申し上げました。私はそう信じていました。大統領は、まだ大統領になる前でしたが、その点には全面的に同意すると。ただ一方で、今は国が非常に厳しい状況にあり、成長を取り戻す時期でもある、と話されました。

民主主義を取り戻す時期でもある、とも。ただ、民主主義と成長を回復したあと、最終的に私たちが進まなければならない道は文化国家になることだ、という点には同意すると。そういう会話をしたことを覚えています。

韓国が文化国家の夢を追うなかで、世界中の人々がK-pop、K-food、Kドラマ、K映画、そして数多くのものを評価し、認め、熱狂するようになりました。では、その中で絶対に欠かせないものは何でしょうか。私は、K-esports、K-gamesだと思っています。そして、その象徴として、まさに重要な役割を果たしている方が、今日お会いするこの方です。

おそらく、みなさんがすでによくご存じの方なので、紹介は要らないかもしれません。事前にいじられてもいましたしね。

本日はesportsを代表して、Faker、Lee Sang-hyeokさんをお招きしました。正直、紹介が不要だと感じるほどです。本当に歴史的で偉大な記録を打ち立ててきました。

11月9日に、史上初のWorlds三連覇、そして通算6度目の優勝を達成されましたよね。esportsで信じられない記録を残し、同世代の若い人たちにとって夢の存在にもなりました。今日はここで、esports、韓国文化、そして個人的なお話も含めて、いろいろ伺いたいと思います。

まず、どう始めようかと考えました。この大きな記録に至る道のりは簡単ではなかったはずですので、冒頭のご挨拶として、達成した今のお気持ちや感想から伺ってよろしいでしょうか。

 

Faker(Lee Sang-hyeok):やはり自己紹介はさせていただいたほうがいいと思います。こんにちは。プロゲーマーとして、現在T1というチームで「リーグ・オブ・レジェンド」のプロとして活動しております。Faker、Lee Sang-hyeokと申します。

 

Kim Min-seok:もう一度、拍手をお願いします。

 

Faker:先月、中国で開催されたWorlds(世界大会)で優勝しました。正直、Worldsで優勝することは、プロゲーマーにとって夢のような出来事です。ですが今回は、ありがたいことに運も味方してくれて、三連覇という形で達成できましたし、多くの方にお祝いの言葉をいただきました。

私自身、プロゲーマーとしてここまで長く続けることになるとも、ましてや、三連覇することになるとも想像していませんでした。ですので、非常に感謝しておりますし、大きな光栄だと感じています。

 

Kim Min-seok:今のお話を伺って、耳に残った言葉が2つありました。こういう質問をしたときに、本当に一流の方々は、運が良かった、感謝している、とおっしゃることが多いのですが、Lee Sang-hyeokさんもまさに同じ言葉を口にされました。

実は、私はどなたにお会いしても、必ず聞く質問があります。最初の夢は何でしたか、という質問です。生まれて最初に抱いた夢、原点の夢です。Lee Sang-hyeokさんの原点の夢は何だったのか、とても気になります。

 

Faker:正直、ほかの学生と同じだったと思います。幼い頃、まだ学生だった頃は、プロゲーマーになる前ですけれど、言われたとおりに、やるべきことをやって、勉強しろと言われたら勉強していました。ゲームが好きだったので、将来もゲームができたらいいな、くらいには思っていました。

ゲームが楽しい、というその程度で、何か大きくて壮大な夢があったタイプではなかったと思います。なので昔は、いつかプロゲーマーになれたら楽しいだろうな、という曖昧な気持ちでした。ただ、プロになってからのほうが、むしろ本気になったと思います。

プロになってみて、ゲームで生活ができるんだ、こんなに多くの方から愛される仕事にもなり得るんだ、と実感して、とてもありがたく感じました。若い頃は、ただゲームをしたいという気持ちで曖昧にプロになったところがありましたが、プロになってからは、より感謝が大きくなりましたし、意味もはっきりしました。プロゲーマーとして、多くの方に良い影響を与えられる存在になりたい、それが自分の夢だと、より明確に思うようになりました。

 

Kim Min-seok:なるほど。小学生に夢を聞くと、大統領になりたい、とか、医者、裁判官、いろいろ出てきますよね。そういうはっきりした形ではなかった、ということですね。

 

Faker:はい。プロゲーマーと書いたことはあるのですが、これが夢だから絶対にそうなるんだ、という確信ではなかったです。書けと言われたら何か書かなければいけないので、そういう形でした。幼い頃から、聞かれたらゲームを夢として書くことはありました。

 

Kim Min-seok:ゲームが好きだったから、ということですね。必ずそうなる、という確信ではなく、ぼんやり憧れがあったと。

 

Faker:はい、そのとおりです。

 

Kim Min-seok:では逆に伺いたいです。ゲームが好きで、プロゲーマーが仕事になるかも分からない中で、そうなれたらいいな、と願っていた。
そのうえで、最初に、これを自分の職業にする、この道を選ぶ、と決める過程で、一番不安だったことは何でしたか。

 

Faker:プロになった当初の不安は、稼げるのだろうか、ということでした。

 

Kim Min-seok:今は稼いでいますよね。

 

Faker:今は、はい。本当にありがたいことに。

 

Kim Min-seok:多すぎるくらいですか。

 

Faker:ありがたいことに、うまくやれております。

 

Kim Min-seok:当時は、それが不安だったと。

 

Faker:はい。当時は、プロゲーマーの選手寿命が短く、将来も安定していませんでした。StarCraftの時代のリーグが終わっていく頃でもありましたので、10年、あるいはそれ以上競技を続ける選手が出てくる、ということ自体、正直想像しにくかったです。

今では、年俸が数億ウォン規模の選手もいますが、当時はそういったことは夢にも思いにくい時代でした。

ですので、この道に進むと決めたときの最大の不安は、これが生計を立てられる仕事として続けられるのか、職業として安定するのか、という点でした。

 

Kim Min-seok:そういう不安があったわけですね。

 

Faker:はい。加えて、最初は学業を諦める必要もありましたので、その点の不安もありました。ただ個人的には、仮にプロゲーマーとして大きく稼げなかったとしても、経験として価値があると思っていました。経験を積む、という意識で取り組んでいたところもあります。

 

Kim Min-seok:では、少し定番の質問ですが、周囲の反対はありましたか。ご両親など、強く反対する方はいなかったのでしょうか。

 

Faker:ありがたいことに、反対というより、応援してくれたと思います。父が、やりたいことをやりなさい、と言ってくれたので、比較的安心して、自分の望む道を進めました。

 

Kim Min-seok:それは大きいですね。ある意味、祝福のようなものです。一般的に見ても、お父様は早くから、あなたの判断や選択を尊重して支えてくれるタイプだったのでしょうか。

 

Faker:はい。学校でやるべきことをやってからゲームをしていたので、頑張るなら、自分のやりたいことをやってみなさい、と思ってくれたのだと思います。

 

Kim Min-seok:いろいろ思うところがありますね。もし別のご家庭だったら、その瞬間にお子さんがその道に行きたいと言ったとき、どうだっただろうか、ということも思いますし。

それと同時に、ゲームに対する社会的な偏見もあります。中毒だ、といった見方も根強いです。最近は大統領も、ゲームは中毒物質ではない、という趣旨の発言をしたりもしました。

では、今の時代に、若い人がその道に人生を懸けたいと言い、親御さんが不安を抱えているとき、親御さんにどんな言葉をかけますか。

 

Faker:その不安は当然だと思います。子どもがプロゲーマーになりたいと言っても、プロゲーマーという道は本当に厳しいです。私の世代でもプロを目指す子は多かったですが、今はさらに増えていると思います。ゲームへの関心も大きくなりましたし、子どもがゲームが楽しいからゲームをやりたいと言ったら、親の立場では確かに難しいと思います。

ただ、もし私が親の立場なら、まず子どもが何をしたいのか、なぜそれをしたいのか、そこを知りたいと思います。現実的に、プロゲーマーになるのは非常に難しいので、その現実的な問題もありますし、妥協や折り合いが必要になる部分もあります。

 

Kim Min-seok:もし今、親の立場で、子どもがその選択をしたいと言ったら、むしろ慎重になりそうですね。

 

Faker:はい。一緒に考える必要があると思います。私であっても、簡単に許可できるものではないと思います。

 

Kim Min-seok:そう聞くと、私の父のことを思い出します。父は何をしても、お前は自分で何とかするだろう、と言っていました。振り返ると、私を形作った最も大きな力は父だったと思います。

当時の基準では、かなり自由主義的だったと言えるかもしれません。時が経つにつれて、それが今の自分にとって一番の強みになったとも思います。

ただ最近の自分を見ると、父がしてくれたほど、子どもに自由に決めさせているだろうか、と考えてしまいます。足りないと感じることもあります。あなたから見ても、お父様は本当に心から支えてくれた、と感じるのではないでしょうか。

 

Faker:そうだと思います。今振り返ると、支えてくれるのは簡単ではなかったはずです。父はもともと野球選手になりたかったけれど、別の道に進んだ、という話を、私も伝え聞きで知りました。それが心に残っていて、だから私を支えてくれた、というような話も聞いたことがあります。

ただ、父から直接聞いたわけではありません。ですので、本当にありがたく思っています。あの時代に、やりたいことをやってみなさい、頑張れ、と背中を押すのは、先ほどおっしゃったとおり、簡単ではなかったはずです。

 

Kim Min-seok:ありがとうございます。esports全体の制度や政策の方向性については、あとで少しお話ししたいのですが、今日はまず、もっと個人的な興味が湧いてきました。

私はesportsに関心はあります。ただ、詳しいわけではありません。それでも興味があったので、昨年この時期に、釜山のG-STARに行きました。本当はその前年も行きたかったのですが、開幕直前に政治状況が良くなく、政治家が行くと浮かれているように見えるのではないか、という空気もあって行けませんでした。

ですが今回は行きました。興味を持って見ていたのですが、メディアがあなたをどう表現しているかを見ると、簡単に言えば、優れた戦略と高度な技術が両立している稀有な存在だ、と言われています。

一方で、自分を見ていると、私はesportsがうまくできるイメージが湧きません。こういうやり方ならいけるか、ああいうやり方ならいけるか、と考える前に、とにかく反応が遅い。鈍いと言いますか。なので、これは自分には難しいだろうな、と思ってしまいます。

あなたご自身は、esportsで頂点に立てた最大の資質は何だと思いますか。そして、ご自身をどんな選手だと思いますか。戦略と技術を併せ持つ稀有な存在と言われますが、言葉にするとどう定義されますか。

 

Faker:私が定義するとしたら、戦略性や技術の高さというのは、表に見える結果だと思います。

私の特徴として本質的な部分は、純粋にゲームが好きだ、という点だと思います。6歳か7歳くらいからゲームをしていて、その頃から、一度ハマると、どうすればうまくなれるかを考え続けていました。

GalagaやKing Kongのような昔のゲームでも、これはどういう作りなのだろう、というように、仕組みを探ったり理解したりしたくなっていました。その情熱が一番大きかったと思います。一度ハマると、何時間も座って続ける。そういうところが自分にはありました。

なので、ひとつのゲームでも調べ続けて、その過程で戦略性が育っていきますし、重要だったのは、継続的に成長していくことだったと思います。

 

Kim Min-seok:つまり、集中力、情熱、そして粘り強さ。ハマったらとことん、そして本当に好きだからこそ始まる、ということですね。

では、ここで少し伺いたいです。ゲームは自分ひとりだけの話ではなく、優勝するにはチームプレーもありますよね。

あなたがおっしゃった集中力だけではなく、リーダーの役割も関わってきます。どのスポーツでも、リーダーが誰か、キャプテンが誰かで、試合の流れや結果が変わります。でもそれは、好き、集中、ハマる、だけで解決できる領域ではないですよね。リーダーの役割です。

今回も、あなたがチームメイトを励ます場面が印象的でした。そういうリーダーシップはどう育つのでしょうか。好きなだけでは育たないものです。スポーツにおけるリーダーシップの核心は何でしょうか。あなたがどうリーダーになっていったのか、何が鍵だと考えているのか、リーダーシップについてお話しください。

 

Faker:私はもともと、リーダータイプではありません。先ほども申し上げたとおり、幼い頃は家でゲームをすることが多く、人と外で遊ぶのも好きではなく、社交的でもなく、ましてリーダーになるような性格ではなかったと思います。ただ、プロゲーマーとして13年間活動する中で、競技の場では、そういう役割が必要になるときがあります。

必要になったときに考えるようになりました。チームが勝つために、自分が勝つために、チームを少し落ち着かせて、チームメイトがより良いプレーをできるようにしなければならない。そこから、リーダーに必要なものは何かを調べましたし、本も読みました。

リーダーシップの本は6冊ほど読みました。チームメイトがどうすれば良いパフォーマンスを出せるか、考える時間もかなり使いました。実行して、振り返って、そうしたことを積み重ねる中で、チームメイトのために何ができるのか、必要なことは何か、学んでいったと思います。

 

Kim Min-seok:読書、実践、経験を通じて、自分なりのリーダーシップ論を築いた、ということですね。あなたの考えるリーダーシップの核心は何でしょうか。

 

Faker:まず一番大事なのは、信頼される人であることだと思います。周囲から信頼される存在、模範になれる存在であることです。そしてゲームの中で、長い時間練習していて、常に成長しようとしている姿勢を行動で示せば、あの人は本当に優れた選手だ、と周囲も思うはずです。なので、やり切る力、実行力が重要だと思います。自分が先頭に立って、まず良いプレーをする、努力を続ける。そういうことです。

それともうひとつは、誰かを助けることができなければならない、という点です。

 

Kim Min-seok:ゲームの中だけではなく、日常生活でも、ということですか。

 

Faker:はい。日常生活でも、周囲を助けるべきだと思います。

 

Kim Min-seok:チームメイト同士で、ゲーム以外の生活のことも共有したり、互いを知ったり、そういうこともよくあるのですか。

 

Faker:それが望ましいと思います。正直、私はまだリーダー役が得意なタイプではありません。ただ、自分にできること、自分の強みを最大限に活かそうとしています。私にはゲームへの情熱がありますので、その情熱を一貫して示し続けることを優先しています。

 

Kim Min-seok:では少し違う質問です。リーダーシップの話をしましたが、どの分野でも、特にゲームの世界は競争がものすごく激しいですよね。その中で耐えて、自分を保ち続けるのは簡単ではないはずです。

よく「メンタルを保つ」という話がありますが、精神的に安定しているために、どんな方法を使っていますか。逆に、どんなときに一番メンタルが揺れますか。振り返って、これは本当に崩れたなと思った瞬間はいつでしたか。
それとご本人だけではなく、リーダーとして周囲の人のメンタルを保つために、どんなふうに支えていますか。

 

Faker:メンタルの強さについては、性格的に、僕は割と落ち着いているほうだと思います。今の話を聞いていても、たぶんプレー中も基本は落ち着いていると思います。

ただ、試合では感情が動く瞬間があって、感情のせいでうまくいかないこともあります。そういうときのメンタル管理については、僕もかなり勉強しました。

本から学んだことも多いですし、メンタルコントロールができないといけません。結果が良くなくても、大丈夫だと思えることが必要です。大丈夫だと唱えるという意味ではなくて、結果は自分が完全にコントロールできるものではないからです。なので、結果よりも過程に集中しようとしていますし、過程のほうが大事だと考えています。

 

Kim Min-seok:私の仕事もかなりプレッシャーが強いので、今おっしゃった生まれつきの落ち着きは、メンタルを保つ上で良い要素だと思います。経験が積み重なるほど、さらに効いてきますよね。

ただ、健康もとても大事です。身体のコンディションが土台として支えてくれないと、続けられません。では健康管理はどうしていますか。ほかの選手は、どんな方法で健康を維持しながら競技をしているのでしょうか。

 

Faker:おっしゃるとおりで、メンタル管理に関しては、身体がほとんどを占めるくらい大事だと思います。esportsだと運動プログラムが用意されていたり、チームによっては運動する仕組みがあったりしますが、基本的には個人の管理に依る部分が大きいです。

 

Kim Min-seok:仕組みというのは、ジムに行くような感じですか。

 

Faker:はい。ジムでのトレーニングもありますし、会社の中に運動できる場所があって、トレーナーの方が来て指導してくださることもあります。ただ、それでも結局は個人の管理が中心だと思います。

 

Kim Min-seok:ご自身が好きな運動はありますか。

 

Faker:数年前はランニングが好きだったのですが、膝が少し悪くなってしまって、最近は水泳をよくしています。

 

Kim Min-seok:メンタルコントロールという話ですが、実際に試してみて効果があったものはありますか。

 

Faker:一番良いのは深呼吸です。

 

Kim Min-seok:深呼吸ですか。

 

Faker:はい。一番良いのは深呼吸です。

 

Kim Min-seok:ストレスが高いときに深呼吸をする、と。

 

Faker:はい。どの本を読んでも、深呼吸をたくさんしなさいと書いてあります。

 

Kim Min-seok:今の話を聞いていて、ずっと気になる言葉があります。本や勉強という言葉が何度も出てきます。困難があるとき、人にはいろいろなタイプがありますが、Lee Sang-hyeokさんは、難しい問題が出たら、その分野の本を探して、しっかり読み込んで、自分の中で整理して解釈するタイプですか。

 

Faker:はい。そうです。

 

Kim Min-seok:やはりそうだと思いました。私も全く同じとは言いませんが、近いところがあります。本を探して、ぱらぱら見たりします。

それで実は今日、カメラに映るように本を何冊か持ってきました。資料を見ていると、これが最近、Lee Sang-hyeokさんがおすすめした本だと書かれていたからです。

私が見た限りでは、国立中央図書館の韓国人の本棚という特別展示を通じて置かれたようにも見えましたが、違っていたらすみません。

Why We Sleepというタイトルを見たときは、思わず笑ってしまいました。小さい頃からずっと、勉強や本はこういう感じだったのですか。

 

Faker:いいえ。

 

Kim Min-seok:小さい頃からではない。子どもの頃から本を手放さなかった、というような偉人伝のタイプではないわけですね。

 

Faker:はい。そうではありません。僕はプロになって13年ですが、その中盤あたりから本を読む量が増えました。

 

Kim Min-seok:それはかなり珍しいですね。簡単ではないです。

 

Faker:最初に読書を始めた理由は、高校を中退していて、もっと学ばないといけない、頭の中に何か入れないといけないと思ったからです。そこから読み始めました。

ただ、読み続けるうちに楽しくなりましたし、気持ちも落ち着きました。

それに、プロゲーマーとして、どの本にも、ゲームに応用できる要素があると感じるようになりました。どんな本でも、自分の考え方の幅が広がるのが良くて、いろいろな視点で考えられるようになる感覚がありました。なので、プロとして活動を続けるうちに、自然と読む量が増えていったと思います。

 

Kim Min-seok:子どもの頃から本が好きな人が、そのまま読み続けるのはよくある話ですが、あなたはそういうタイプではない。では、どれくらい読むのですか。ざっくりで構いませんが、週に何回、月に何冊、毎日読むのか、どんな感じですか。

 

Faker:ものすごく多いわけではありませんが、継続して読ん使います。だいたい年間20冊くらいだと思います。多いとは言えませんが。

 

Kim Min-seok:それだと、月に1冊か2冊くらいですね。

 

Faker:年によって変わります。今年はあまり読めませんでしたが、昨年か一昨年は30冊か40冊くらい読んだと思います。それと、ちゃんと最後まで読み切ります。

しかも最初から読みます。推薦文や帯の文、序文。カバーの折り返しにある著者紹介のところも、こういう人なんだなと思って読みます。そこから目次を読んで、順番に読み進めます。

 

Kim Min-seok:最初から最後まで、きちんと読み切るタイプなのですね。

 

Faker:はい。そういう読み方です。

 

Kim Min-seok:すみません、少し本の話が続きます。私は本屋に行って眺めるのも好きなので、読書のことが気になってしまいました。
本はご自身で選びますか。書店に行って選ぶのですか。

 

Faker:最初は書店に行って、面白そうなものを選んで読んでいました。ただ最近は、ファンの方が本をたくさんプレゼントしてくださるので、書店に行く理由がほとんどなくなりました。

 

Kim Min-seok:では、最近読んだ3冊、Why We Sleep、Insta Brain、I Might Be Wrong。全部紹介してほしいところですが、ひとつだけ挙げるなら、特に印象に残ったもの、あるいはおすすめしたいものはどれですか。
ご自身が選んだわけではなく、ファンからのプレゼントですし、これが一番だとは言いにくいと思いますが、簡単に紹介して、どんな刺激を受けたのかを教えてください。ではI Might Be Wrongでいきましょう。

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Faker:一番上の本が一番良かったですし、一番おすすめです。

 

Kim Min-seok:名前も難しいですね。Björn Natthiko Lindeblad。さらに森の賢者が伝える人生の最後の教え、というような説明で、スウェーデンの方ですよね。

 

Faker:読まれましたか。

 

Kim Min-seok:いいえ、まだです。

 

Faker:そうなのですね。

 

Kim Min-seok:エッセイのようにも見えますね。

 

Faker:今見ると、エッセイですね。普通の社会生活をしていた方で、会社員としてかなり上まで行ったのですが、それを手放して山に入って修行した、という内容です。そこから多くの気づきを得ましたし、プロゲーマーとしてメンタルコントロールをする上でも、かなり助けられました。

 

Kim Min-seok:ここで急に気になるのですが、ほかのチームメイトはどうでしょう。一般的に、あなたのように本をよく読むプロゲーマーは多いですか。それとも、ほとんど読まない、全然読まない、という感じですか。

 

Faker:僕は例外だと思います。ゲーマーは刺激的なものを好む傾向があるので、こういう静かで落ち着いたものは、あまり好まないと思います。

 

Kim Min-seok:このモデルを真似すれば偉大なプロになれるのでは、と研究しようと思いましたが、必ずしもそうではないわけですね。人それぞれだ、と。

ではほかの選手は読書量も違いますし、メンタルの整え方も違うので、一般化は難しいですか。それとも多くの人がよく使う方法はありますか。

 

Faker:選手によって本当に違いますが、正直、普通の人と同じです。好きなことをする人もいますし、旅行する人もいますし、家で寝転がってYouTubeを見る人もいます。

 

Kim Min-seok:個人のスタイルですね。プロゲーマー専用の特別な方法がひとつある、という感じではない。
ではもうひとつ伺います。ゲームを愛して、リーダーシップを発揮しながら、本や勉強も必要だと感じる。そこに加えて、よく出てくる言葉がメンターです。尊敬する人、導いてくれる人ですね。

あなたがどこかのインタビューで、おばあさまの話をよくしていた記憶があります。おばあさまがそういう存在でしたか。それともプロの世界で、ロールモデルのようなメンターがいたのでしょうか。

 

Faker:子どもの頃から、祖母と父と、下のきょうだいと一緒に暮らしていました。そして今になって強く思うのですが、祖母と父は本当に支えてくれました。夜遅くまでゲームをしていても、祖母はうるさく言いませんでした。

 

Kim Min-seok:興味がなかったからですか。

 

Faker:いいえ。

 

Kim Min-seok:全く興味がないわけではないと。珍しい家庭ですね。普通は父親も祖母も、またやっているよ、となりそうですが、あなたの家庭は完全に逆です。

 

Faker:今でも毎朝、写真と一緒に、愛してる、ありがとう、というメッセージを毎日送ってくれます。

 

Kim Min-seok:素敵ですね。おばあさまは今、おいくつですか。

 

Faker:1940年生まれです。

 

Kim Min-seok:1940年生まれなら、80代ですね。素晴らしいおばあさまです。

Faker:とても元気です。そして、祖母がしてくれたことが、本当に僕には役立っていると思います。

子どもの頃、祖母は、人に与えるように生きなさい、ほかの人のせいにしてはいけない、といったことも言っていました。幼い頃は、そうなんだ、くらいでしたが、今振り返ると、それが自分の価値観になっていて、生き方の軸になっています。

 

Kim Min-seok:きょうだいはいらっしゃいますか。

 

Faker:下にひとりいます。

 

Kim Min-seok:下のきょうだいは、あなたとは全然違うタイプですか。

 

Faker:性格も含めて、かなり違います。運動も得意です。

 

Kim Min-seok:性格が違って、運動も得意。ではその方も、おばあさまとお父様が支えてくれる環境の中で、自分のやりたい道を進んでいるのですね。

 

Faker:はい。スポーツが好きなので、そういう方向でやっています。

 

Kim Min-seok:今日は個人的に、たくさん興味深い話を聞きました。では方向を少し変えます。あと1つか2つだけ伺います。

もちろんLee Sang-hyeokさんに、制度や政策をすべて考えて提案する責任があるわけではありません。ただ先ほどおっしゃったように、韓国が文化国家として世界に向かうなかで、esportsも非常に大きな影響を持つと言われています。

その発展を長く内側で見てきた立場として、最大の問題は何だと思いますか。あるいは、ここは直したほうがいい、ここはもっと良く動くべきだ、ここはもっと大きく成長すべきだ、という点はありますか。政策の観点から考えを聞かせてください。

 

Faker:僕がプロになった当初は、世間の認識も制度的な支援も不足していました。ただおっしゃるとおり、ゲーム産業が国の中核産業として徐々に認められる中で、認識や政策はかなり改善されてきたと思いますし、その点はとても良いと思います。

ゲーム産業の観点で言えば、esportsは韓国が世界で最も強い分野で、人気も高いです。最近は海外での人気も伸びていると、個人的にも感じています。

ただ、それに比べると、韓国のゲーム産業そのもの、韓国のゲームが全体として世界一かと言われると、まだそうではないとも理解しています。

僕の見方では、韓国は、人に気づきや刺激を与えるゲームよりも、量産型で短期的な利益を重視したゲームを作る傾向が強かったように感じます。

 

Kim Min-seok:忘れないうちに確認させてください。気づきを与えるゲームと、刺激だけのゲームという言い方をされましたが、具体例で言うとどういうものですか。

 

Faker:最近、家庭用ゲームを少しやりました。一本の作品として完結している家庭用ゲームで、海外の作品でした。

20年後の未来を想像するようなシミュレーションで、プレーしていると、僕たちが進む道について、哲学的に考える必要があると感じるような気づきがありました。

それから、インタラクティブ映画のようなゲームもあります。プレーしていると映画を観ているような感覚になります。映画でも、気づきを得ることがありますよね。

ただ、量産型のゲーム、たとえばガチャで引いて、キャラを育てて満足するようなものだと、そういった気づきを得るのはとても難しいです。

ひとつの理由としては、物語性が強くて、完成度の高いゲームはリスクが大きいからです。ゲーム会社の立場では、作るのが難しく、利益化も難しい。

なので、単純な娯楽としてのゲーム、楽しくて時間を潰すためのゲームも産業としては必要だと思いますが、映画や他のコンテンツのように、人に刺激や動機を与えて、良い影響を与えるものにもなってほしいです。僕はその方向のほうが望ましいと思っています。

 

Kim Min-seok:なるほど。ゲームが気づきを与え、より哲学的で、より本物で、文化的な意味を持つ方向へ進むほうが良い、と。

では最後にもう一点。実際に競技する選手たちについて、現行制度の中で、労働環境や保護、権利や利益の面で改善すべき点はありますか。

 

Faker:正直、僕自身は不便をあまり感じていません。待遇も良いですし、ファンの方も応援してくださいます。産業としても大会が増えています。

それにアカデミーや仕組みもかなり発展していると感じるので、その分野の改善については、最近深く考えることがあまりありませんでした。

 

Kim Min-seok:かなり時間が経ちましたので、そろそろまとめたいと思います。
ただ最後にひとつ、あなたのお話を聞いていて強く残ったことがあります。あなたにとってファンとは、どういう存在ですか。

 

Faker:プロゲーマーとして生きる中で、ファンの方への感謝はとても大きいです。ゲーマーという枠を超えて、ひとりの人間として生きていく中で、これほど多くの方から応援され、関心を向けてもらえるのは、本当に意味のあることだと思います。

それ以上の意味があるだろうか、と感じるほどです。ファンの方の関心や愛情を受けることが、プロゲーマーとしての目標や目的になりました。つまり、それが自分の意味にもなったと言えると思います。

 

Kim Min-seok:あなたにとって、ファンという存在と、その関係そのものが、意味であり目的になった。あなたがそう感じているから、ファンもそれを感じ取っているのでしょうね。
その一体感、つながり、絆が、とても大事な関係になっている。今のお言葉でそう思いました。

本当にお忙しい中、ありがとうございます。首相インタビューの件でこちらから連絡を差し上げたとき、反響がすごかったです。まず、そもそもお招きしにくい方です。時間を作るのが難しい。
そして、来ると分かった瞬間、普段はこういう反応を見せない職員まで、外に集まって、直接見たいと言っていました。

海外での人気もおっしゃいましたが、それは負担にもなり得ます。ただ同時に貴重で、感謝すべきものでもあります。

そして今日、私が特に良いと思ったのは、あなたが今、韓国を代表する顔のひとりであり、その責任感を持っていることが伝わった点です。

では締めくくりとして、改めて今日はお時間をありがとうございました。ファンの方へ、若い選手へ、あるいは国や世界へ向けて、最後にひと言かふた言、短いメッセージをお願いします。

 

Faker:まずファンの皆さまへ。いつも応援してくださるファンの皆さまに、心から感謝しています。これからもプロゲーマーとして努力を続けて、ファンの皆さまに良い刺激をたくさん届けたいです。

そして本日は、良い質問をしてくださり、お招きいただきありがとうございました。僕自身も学ぶことが多かったです。

 

Kim Min-seok:ありがとうございました。冒頭でおっしゃった情熱が、最初の頃と変わらず続いていくことを願っています。

そしてその情熱が今日まで続いた背景にある、ご家族、おばあさまやお父様、周囲の支えも、これからも続いていくことを願っています。

ファンとの関係も良い形で続き、社会や国の中で、良い立場で前向きな役割を果たし続けてください。
以上で本日の首相インタビューを終わります。ありがとうございました。

 

Faker:ありがとうございました。


Source: Faker: Back then, pro gamer careers were short and not secure..So when I chose, “Okay I’m going down this path,” my biggest worry was: Can this really be a sustainable way to make a living, can it be secure as a profession? | Faker gets interviewed about his career by the Korean Prime Minster Part 1

 

管理忍

偉人でござる。

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