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OP
今日もランク戦をやるために、俺はLoLを起動した。俺はレンガーメインの駆け出しジャングラーだ。この試合は、ゴールドに昇格するための5戦目だった。かなり緊張する。どうすれば落ち着けるのか、皆目見当がつかない。赤バフと青バフ、どちらからスタートすればいいのか。どちらかのバフを盗まれてしまったらどうすればいいのか。緊張はどんどん高まっていき、俺は吐きそうになった。
パニックになってマップ上をウロウロしていると、味方のADCであるジンがチャットで話かけてきた。大丈夫、緊張することはない。ジンはそう言った。OP.GGをチェックして、俺が昇格戦中であることを知ったのだろうか? そうに違いない。心配しなくていい。何も考えなくていい。ただ、私の言うことを聞いていればそれでいいのだ。ジンは続けてこう言った。
サポートと一緒にリーシュするから、赤バフから始めようか。ジンがこう言ってくれたから、俺の緊張はだいぶ和らいだ。赤バフを狩り終えてレベル2になると、ジンは、すぐに対面のADCであるミス・フォーチュンをガンクするよう、俺に告げた。俺はジンを信じ、彼らがボットレーンに到着してすぐ、ガンクしに向かった。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
ガンクが成功したので、俺はボットレーンのブッシュの中に入り、リコールしようとした。ところがジンは、俺に残ってもう一度ガンクするように告げた。俺はジンを信じ、ブッシュの中で待つことにした。ブッシュの中から、復活したミス・フォーチュンが戻ってくるのが見えた。行くのだ、とジンが俺にピンを出した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
ガンクが2度も成功したので、俺はボットレーンのブッシュの中に入り、リコールしようとした。ところがジンは、俺に残ってもう一度ガンクするように告げた。ただし、今度は敵のジャングルの中にジン、俺、サポートの3人で侵入すると言う。そしてジンは、グロンプと外側タワーの近くにあるブッシュに忍び込め、ミス・フォーチュンが戻ってきたらガンクするのだと、俺に伝えた。俺はジンを信じ、ブッシュの中で待つことにした。ブッシュの中から、復活したミス・フォーチュンが戻ってくるのが見えた。今だ、とジンが俺にピンを出した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
そしてゲーム時間は10分経過した。俺は10/0になり、ミス・フォーチュンは0/10になった。俺はこの試合の確実性に満足していた。ジンの指示に従うだけで、こんなにランク戦が簡単になるだなんて、誰が想像できただろうか。
敵チームは、俺のKDAに萎えてしまい、ミス・フォーチュン以外の全員が切断した。ミス・フォーチュンはチャットで激昂していた。2018年以来、初めてのゴールド昇格戦なのに、と喚いていた。ジン以外の味方は、黙々とミッドをプッシュしていた。俺は泉の中で、ジンの次の命令を、嬉々として待った。次の命令で、おそらくこの試合は終わるのだろう。
ところが、泉で俺の隣に立っていたジンは、ふたたびミス・フォーチュンをガンクしろと俺に告げた。
俺は混乱した。これ以上、ミス・フォーチュンが死ぬ必要があるのだろうか? ミス・フォーチュンは今、たった一人で泉の中をウロウロしているはずだ。なぜ殺す必要がある? 敵の守り手はもはや誰もいない。このまま試合を終わらせればいいのではないだろうか? しばしの逡巡の後、俺はジンを信じ、命令に従うことにした。ジンは俺のためを思って考えてくれているはずだ。俺はジンの言葉の奴隷に過ぎない。 俺は敵の泉まで急ぎ、ウルトを使ってダイブを決行した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
俺が復活を待っている間、味方はプッシュを中止していた。ミス・フォーチュンの死は必要なかった、ジンは酷すぎる、完全なやりすぎだと彼らは主張した。だがジンは泉の中で微動だにしなかった。ミス・フォーチュンはふたたびチャットで激しい怒りを表明した。とっとと試合を終わらせろ、なぜ終わらせないんだと喚いた。
俺は復活した。ジンは俺に、ミス・フォーチュンをガンクしろと命じた。
このときは何も考えず、敵の泉にまっすぐ走っていった。俺はジンに逆らいたくなかった。ジンは俺が最も不安なときに支えてくれた存在だったからだ。俺とジンは、勝つ資格が無いと味方に責められた。わざと負けるためにプッシュを止めてもいいんだぞと脅してきた。彼らには尊厳があった。勝利とは無関係な虐殺など絶対に認められないというモラルがあった。それは、俺が心の平安と引き換えに捨ててきたものだった。
さらに10分が経ち、俺は20/10、ミス・フォーチュンは10/20になっていた。なぜかミニオンは発生しなくなった。だから、こちらがとどめを刺さないと試合は終わらない。ミス・フォーチュンは、なぜかバグで降参できないと主張している。疑念が俺の頭をよぎる。……これはジンの仕業なのだろうか? 10回目の泉へのダイブが終わった後、味方は俺とジンにこの虐殺を終わらせてくれと懇願し、ミス・フォーチュンはもう止めてくれと泣いていた。これはもう試合ではなかった。ゲームではなかった。
俺は復活した。ジンは俺に、ミス・フォーチュンをガンクしろと命じた。これで11回目だ。
俺は再び犬のように敵の泉まで走った。だが、今回は様子が違った。ミス・フォーチュンの姿がどこにも見えないのだ。俺が反応するより早く、ジンはタイピングした。
「獲物は隠れている」
隠れている。そう、ミス・フォーチュンは俺から逃れようと、ジャングルに隠れているのだ。
俺は即座にウルトを使い、獲物を求めてジャングルを走り回った。ささやくような小さな声が聞こえてきた。だが、そんなことはどうでもいい。獲物を見つけなければ。俺はミニマップに目を凝らした。
いた!
ミス・フォーチュンは、俺の味方に護衛されて、こちらのベースにいた。
俺はリコールするのではなく、ミス・フォーチュン目掛けて走った。ミス・フォーチュンを殺さなければ。ミス・フォーチュンを殺さなければ。全速力で走る俺を見て、味方のアニビアが壁を出してミス・フォーチュンを守ろうとした。俺はジンの命令を聞くのに夢中で、味方にアニビアがいたことも忘れていた。味方はやめてくれと懇願した。俺はやめない。ミス・フォーチュンは、味方のADCではないからだ。だが、アニビアの壁を突破して、ミス・フォーチュンに飛びかかろうとするまさにその瞬間、俺は立ち止まった。
何かが聞こえてきた。それは叫び声だった。叫び声が俺の頭の中に響いた。これは味方の懇願だろうか。ミス・フォーチュンの悲鳴だろうか。それとも、俺の魂の叫びだろうか。俺は迷った。どうすればいいのかわからない。俺のやっていることはまともなことなのだろうか。ミス・フォーチュンは本当に死ぬべきなのだろうか。ジンに褒められることは、それほど俺にとって重要なのだろうか。
俺がモニタの前で頭を抱えていると、ゲームの中で足音が聞こえてきた。
それはジンだった。
ジンは泉の中から出てきて、俺の操るレンガーの隣に立った。ジンは俺の苦痛を理解してくれたのか?
俺が何かを言おうとする前に、ジンは俺に命じた。ミス・フォーチュンをガンクしろと。
頭の中の叫び声が止んだ。突然静寂が訪れた。そう、俺は自分で何かを考える必要などないのだ。俺にはジンがいる。ジンがいてくれる。ジンの言うことさえ聞いていれば、俺の心には平安が訪れるのだ。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
翻訳元: I always listen to my ADC
極悪非道でござる。
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コメント
これを英語の長文で書いてると思うと面白い
翻訳お疲れ様です
なんなんだよこれ
八文字ですべてを形容するな
旧2ちゃんみたいな雰囲気を感じて内容も面白かった 翻訳おつ
後半はジャンプの編集が作品の延命計って無理矢理引き伸ばしたな
精神的に不安定なところにつけ込み信頼関係を築いた後、徐々に犯罪行為に手を染めさせるサイコパスじゃん
意味不明だけどなぜか惹き込まれる文章だった
アイス
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
俺は死んだ。
ジンは俺を祝福した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
俺は死んだ。
ジンは俺を祝福した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
俺は死んだ。
ジンは俺を祝福した。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
ファイアパンチ味を感じる
作者がチェンソーマンの犬になった主人公のシーンにインスピレーションが出てきたと言ってるからな
すげえidしてんな
筒井康隆っぽさがある
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
俺は死んだ。
ミス・フォーチュンは俺を祝福した。
なんかいいやつかと思わせて、実は悪人だったみたいな謎の魅力があるなこのジン
LOLでこんなに笑ったのは久々だわ
爆笑しちゃった
後味の悪さがジンらしくて好き
アニビア使いが心象良くしようとしてるね
ミスフォーチュン「解せぬ」
純文学
この衝動には、抗えぬのだ…!
人形遣いジンとマリオネットレンガーの実装が待たれる
微笑むのだ
観客が見ている
ジンが命じたのは3回目までで残りは心の中のジンが囁いていたのだろう
誰しも心の中にジンを宿していて彼はそれをちょっと後押しされただけなのだ
名文
俺は不幸に飛びかかった。
不幸は死んだ。
死は俺を祝福した。
まさかとは思いますが、この「ジン」とは、レンガーの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。もしそうだとすれば、レンガー自身が統合失調症であることにほぼ間違いないと思います。
あるいは、「ジン」は実在して、しかしここに書かれているような異常な行動は全く取っておらず、すべてはレンガーの妄想という可能性も読み取れます。
この場合も、レンガー自身が統合失調症であることにほぼ間違いないということになります。
俺はミス・フォーチュンに飛びかかった。
ミス・フォーチュンは死んだ。
ジンは俺を祝福した。
幕が下りるまで、演じ続けるしかないのだ
俺もミスフォーチュンに飛びかかりたい
ミス•フォーチュンは死んだ
これすき