Onerが語るムンドピックの舞台裏
T1ジャングラーのOnerが自身のYouTubeチャンネルで、ストリーマーのUntaraと共にWorlds 2025を振り返った。準々決勝AL戦のマッチアップ抽選からゲーム5のドクター・ムンドピックに至るまでの経緯、チーム内の空気感、Fakerによるジャングルルート研究やムンドへの細かいアドバイス、そして自分のミス認識まで、試合中継だけでは見えなかった舞台裏が語られている。
ALとの準々決勝の抽選について
Onerとしては、3勝0敗で上がってきたチームとは当たりたくなかった。でも、ちょっとだけKTと当たるのを期待していたところもあった。
メンバーシップ動画では、抽選を見ているときのリアクションが映っていて、ALが引かれた瞬間に軽く悪態をついている。
「ALとは対戦がめちゃくちゃ多かった。MSIでも当たったし、EWCでも当たった。MSIでは3対2で勝って、EWCではたしか1対2で負けた。何度も対戦してきたけど、本当にいいチームだし、普通のLPLチームとはちょっと違うタイプなんですよ。だから難しい。個人的には『これは大変だな』と思いました。でも他の選手たちは『ALならまあ大丈夫か』みたいな雰囲気でした」
Faker、Gumayusi、Keriaはかなり自信満々で前向きだった。
Doranのリアクションは見ていない。
AL戦ゲーム1
ゲーム1は、ALに対する自信がかなり高まる内容だった。
ALは集団戦が強いチームとして知られているが、そのゲーム1でT1は少数戦と集団戦の両方で相手を上回ることができた。
「あれは効きましたね。ゲーム1だったのもあるし、自分の中ではALは集団戦がめちゃくちゃ強いチームだと思っていた。そこで少数戦と集団戦で勝てたということは、彼らの一番の強みを上回れたってことだから、自信はかなり上がりました」
ゲーム4前の雰囲気
ゲーム4の前は特に大きなことは話していなくて、ほぼピックバンの話しかしていなかった。
「負けるのかな」とか、そういうことは一度も考えなかったという。
「負けたらそのまま帰宅、勝てばステージに立てる時間が増える」くらいの感覚だった。
Onerの感覚としては、落としたゲームはどれも自分たちのミス寄りに感じられた。
それにT1はこれまで何度も背水の陣の試合を経験してきているので、それもあっていつも通りに近いメンタルでゲーム4とゲーム5に入れた。
Keriaのニーコ分身プレイについて
あの場面はリアルタイムでは見ていなかった。
後から見返したときにはかなり良いプレイだと思ったが、ネタ自体はニーコ使いがよくやるパターンなので、別に超難しいプレイというほどでもないと感じている。
OnerはKeria本人にも「あれってそんなにハイレベルなプレイだった?」と聞いてみたが、Keriaも「いや、別に」と答えていて、周りが少し持ち上げすぎだと感じているようだった。
Onerとしてはその意見に同意しつつも、選手たちが自分に対してハードルを高く設定しているのって、ある意味すごくかっこいいことだとも思っている。
なぜゲーム5でムンドを出したのか
ムンドのクリップは鬼バズして、韓国圏だけで10時間で200万再生くらい行ったらしい。
Onerによると、ゲーム4が終わった時点でADジャングルの選択肢が残っていなかったため、T1としてはタンクジャングルを出さざるを得なかった。
では、なぜムンドを事前に用意していなかったのか。
あの時点ではムンドを本格的に使っていたのはG2だけだった。G2はメタに関係なく、単にその選手がムンドを得意としているから使っている、という感じだった。
スクリムでも、G2以外でムンドを出すチームはいなかった。
そのためT1側にはほぼデータがなく、あそこまで強いとは分かっていなかった。
T1としても、ドラフトによってはムンドが強そうな形があるとは思っていた。
ただ、他のチームがまったくやっていないので、G2に当たったとき用にだけ準備するプランにしていた。
ゲーム5のドラフトに入るとき
Onerとしては、Tarzanはアグレッシブにもファーム寄りにもプレイできるタイプなので、ムンドを用意している可能性はあると感じていた。
だからドラフトの準備段階で、もし自分がセジュアニを出して、相手がムンドを取ってきたら、それだけで勝てない展開になりかねないと話していた。
ステージに戻るときも、席についてからもしばらくは何に行くか決めきれていなかった。
ベンチに座ってからムンドのチャンピオンページを開いて、スキルを読み直したりもしていた。
頭の中ではずっと「本当にムンド出さなきゃいけないのか?」と考えていた。
T1側はALがムンドを取ってくる前提で構成を考えていたので、公開されたボイスチャットのとおり、結論としては自分たちが先にムンドを取るのが一番だという判断になっていった。
状況としてはかなり怖かった。AL相手に2対2の状況で、ムンドの実戦データはゼロに等しい。
しかも負けたら、自分が完全に「戦犯」扱いになる。
その責任自体は背負えるが、それでも怖いものは怖い。今思い出しても少し怖さが残っているくらいだという。
ただ、触ったことのないチャンピオンを大舞台で出すのは怖い一方で、もし自分がムンドを出さずに、ALがムンドを出して、そのせいで負けたら、それはそれで一生後悔すると思った。
だから「負けて自分が叩かれるとしても、他の4人に後ろめたい思いをさせるよりはマシ」だと考えて、最終的にムンドをロックインした。
味方からも「ムンドやろう」と背中を押されたし、実際チームメイトもめちゃくちゃ良くプレイしてくれて、結果的にT1が勝つことができた。
Onerが驚いたのは、Doran以外の3人が全員「ムンドやろう」と強く勧めてくれたことだった。
「ジャングルがタンクを出してくれれば、ボットレーンも楽になるし、レーンのバランスも取りやすくなる」といった考え方だった。
Faker「ムンドのW分かるよね? あれは回転率が重要だぞ」
FakerもOnerを励ましてくれて、「ムンドのW分かるよね? あれは回転率が重要だぞ」と具体的な話もしていた。
もうひとつ面白いのが、Fakerはたまにジャングルクリアを練習用にやるところだとOnerは言う。
Oner自身、なぜFakerがそんなことをしているのかはよく分からないらしい。
最初は、Onerがニダリーを使い始めたときに、Fakerも「面白そうだね」と言ってニダリーのジャングルルートを回し始めたのがきっかけ。
そして今回は、急にムンドでも同じようにルート回しをやり始めたという。
Fakerは昔からそういうことをたまにやっていて、その延長で今回もいくつかムンドのアドバイスをくれた。ただOnerいわく「正直、あんまり役には立たなかった」とのこと。
TomとMataからは「体力半分になったらRを押せ」とだけシンプルに言われていた。
ビルドとスピリットビサージュ問題
試合後は、Fakerを含めてみんなから「なんでスピリットビサージュ積んでないんだ」と散々いじられた。
Oner自身も「ここはスピリットビサージュかな」とは思っていて、実際にコーチ陣にも相談していた。
ただ、コーチ側から「最近はみんな終わりなき絶望に行ってる」と言われたので、「じゃあ終わりなき絶望で行くか」と、そのままビルドを決めたとのこと。
Qが当たらない問題
UntaraはOnerがQを外しまくったことをひたすらイジる。
Onerは「中継が、外したところばっかりリプレイにしてくるのが悪いんですわ」と泣き言を言いつつも、自分のミスもちゃんと認めている。
具体的には、セジュアニを序盤にかなり遅らせることに成功していたので、最初はトップ側主導のルートを組んでいた。
トップ側のキャンプを全部狩ってからボットに降りれば、まだ間に合うと計算していたが、実際にはボットがレベル3のタイミングでガンクされてしまい、その読みが外れた。
あそこでもう少し欲張らずに、ボットをしっかりカバーしていれば、試合展開はもっと安定していたはずだと振り返っている。
総括
Onerは、ゲーム5の一番大事なポイントは「ドラゴンを全部取ったこと」と念を押しつつ、冗談交じりに自分の功績をアピールしている。
もうひとつ印象的な場面として、エルダー出現前のボット側での小競り合いを挙げている。
あそこでOnerはエイトロックスを狙いに行って倒されてしまった。
その少し前にエイトロックスがテレポートインしてきたので、T1側は「全員でボット側のリバーに集まろう」とコールしていた。
しかしGumayusiだけがボットのトライブッシュ側を通ってしまい、そのせいでAL側がKeriaとFakerを押し下げる形になり、結果としてOnerがフォローを受けられずに落ちた。
視聴者や外から見る人にはその細かい動線の違いが伝わっていないので、「なんでムンドだけ死んでるんだ」と言われがちだが、実際にはチーム全体の動きのズレが重なった結果だったと説明している。
シンプルイズベストでござる。
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