なぜT1はここまで強いのか? CloudTemplarによる徹底解説
絶対王者と若武者軍団の激突、T1対DKをLCKのご意見番CloudTemplarが徹底解説。T1ならではの離れ業、「テンポ崩し」とは一体何なのか? CloudTemplarが「T1は汚い」とまで言ったえげつない強さの秘密とは?
イントロ
スーパウィーク4日目の試合が、ついさっき終わった。結果ははっきりした3-0だ。配信でも言ったけど、FearlessのBo5って3-0が出にくい環境なんだよな。今のメタも相まって、こういう綺麗なスイープはさらに珍しい。とはいえ、別に文句はない。早く帰れたし、今日のレビュー配信の前にかなりリラックスして休めた。
今日の対戦はいろいろ見どころがあった。まず何より、多くの人がDKをLCKのビッグ3に挑む有力候補として見てたと思う。実際それだけ評価されるだけの良さはあるし、伸びしろもめちゃくちゃある。だけど、気持ちよく3連勝した直後に、GenGとT1に連続でなすすべなく叩き潰されるのは、さすがにメンタルに来るはずだ。
GenG戦の負け方は、とにかく無力に見えた。だからこのシリーズは、T1がいわゆる視聴者サービス的な動きをしてくれるんじゃないか、と期待してた人もいたと思う。ちょっと変なことをやってみたり、余計に1本落としてみたり。ところが今日の0-3は、開いた傷口に塩と辛いソースと漂白剤を一気にぶっかけられるみたいな感じで、見ててきつかった。
DKには、この連敗で必要以上に落ち込まないでほしい。ほとんど抵抗できなかったのは残念だけど、そもそもどちらの試合もDKが有利だったと言える場面はほぼなかった。GenGとT1に2連続でノックアウトされても、誰もそれだけでお前らを叩きはしない。顔を上げていい。大事なのは、プレイインでまた戦える状態に戻ってくることだ。
先週、俺の配信でGenG対DKを扱ったとき、DKが一番対応できてなかったのはKiinとSiwooのトップのマッチアップだと話した。Kiinが作ったトップ差があまりに大きくて、あのシリーズはDKにほとんど勝ち筋がなかった。今日も似たような流れで、トップでSiwooがDoranに止められたのが、DKの敗因としてかなり大きかった。
これは成長痛として片付けていいと思う。ZeDoKiって言葉、けっこう気軽に使われがちだけど、あれにはちゃんと理由がある。あの3人のトップは、やっぱり別格なんだ。トップの頂点をその3人が支配し続けるのが絶対に変わらないとは言わない。新しい選手が頭角を現して証明すれば、状況が変わる可能性だってある。でもZeDoKiの支配力が強すぎて、そう簡単には崩れない。
注: ZeDoKiは、Zeus Doran Kiinを韓国語読みしたときの音を繋げた略称だ。並び順に意味はなく、JetGi つまり戦闘機に近い響きになって語感がいいから、その形になっている。
DKの立場で一番イライラするのは、負け方が3試合全部違うことだと思う。今日のシリーズは毎試合、別の形で負けている。そうなると、じゃあ俺は一体どうすりゃいいんだって気分になるよな。周りは切り替えろって言う。でも切り替えられるのか。相手がどの方向からでも好きな形で潰してくる、越えられない壁みたいな存在だったら、どうやって前に進めばいいんだよって話。
Game 1
DK(青サイド、2nd)
バン:ジェイス バード ノクターン / シヴィア カイ=サ
ピック:ランブル オリアナ / シン・ジャオ / エズリアル / カルマ
T1(赤サイド、1st)
バン:マルファイト ヴァルス ヴァイ / ユナラ ナミ
ピック:アジール / アンベッサ ジャーヴァンⅣ / ニーコ ジン
シリーズを振り返るとき、ドラフトが良かったか悪かったかはわりとストレートに言うタイプだけど、結論から言うとDKのドラフトは問題じゃなかった。
後出しでここはこうすべきだったみたいなツッコミはできるけど、全体として見るとDKはこのシリーズを通してかなり良いドラフトをしている。
ドラフトとLoLが多少でも分かる人なら、少なくとも今日のDKのドラフトが致命的だったとは思わないはずだ。
狙いもプランもちゃんとあった。
ただ、それを試合の中で実行できなかった。
Game 1の構成を見てもそうだ。
ボットはエズリアルとカルマで主導権を取りに行って、相手のジンとニーコに対してレーンの優先権をぶつける形だ。
ミッドはオリアナ。
確かにオリアナは時間が経つほどアジールに対して圧をかけやすくなるけど、序盤のレベル帯でもアジール相手にやれる強みがある。
トップはランブルで、ランブル対アンベッサは最低でも五分五分くらいのレーンになりやすくて、結局は後半の集団戦でどっちが上手いかに寄りがちだ。
つまりDKのGame 1の主目的は、マップ下側から序盤にスノーボールしていくことだった。
エズリアルとカルマを軸にボット周りで強く動いて、シン・ジャオがボットの主導権に寄せながらオブジェクトを重ねてスノーボールを大きくする。
でもこのプランは崩れた。
T1が自分たちのボット周りをめちゃくちゃ上手くプレイして、ジンとニーコが逆に先に育ってしまった。
さらにトップではDoranのアンベッサがSiwooを割ってしまった。
この2つで、Game 1のDKは完全に解体された。
その後Lucidで何か起こそうとはしていたけど、もう手遅れだった。
こぼれたミルクを容器に戻そうとしてるみたいな話だった。
ボットスノーボール構成がスノーボールできない世界になったら、何が起きるか。
もう一度DKの構成を見れば分かる。
ボットで転がす前提を失った瞬間、この構成は何ができる。
前線が薄いから安定して前から後ろの形で戦いにくい。
仕掛けの強さも低い。
CCも足りない。
この試合の勝ち筋はレーン戦からのスノーボールしかなくて、T1の序盤の動きがそれを真正面から潰した。
何があっても、序盤のボットでのダブルキルは起きちゃいけなかった。
トップは、シンプルにSiwooがDoranに負けた。
Doranのほうが手が良かった。
Siwooって若手で勢いがあって、トップでちゃんと殴り合える選手ってイメージがある。
でもこういう試合を見ると、ZeDoKiの三強に挑むのがどれだけ大変かも見えてくる。
ランブル側は最低限、アンベッサに対して五分五分を保てばいい。
それができなかった。
たとえ序盤にT1相手にリードを取れたとしても、気を抜いた瞬間に終わる。
T1には決めつけが通用しないし、試合が進むほどなおさらだ。
ビハインドからでもスーパープレイでひっくり返すことが多い。
それに加えて、良いマクロ判断を迷いなく通してくる。
そんな相手に対して、序盤であそこまで遅れると、もうできることが少ない。
Game 1のワンプレイを1つだけ強調したい。
かなり序盤の場面で、Doranがレベル3のアンベッサでミッドにロームするシーンだ。
トップを押してミッドにちょっと寄っただけだろ、みたいに言う人もいる。
でも、言うほど簡単じゃない。
多くの人は選手であっても、こういう動きをあまりやらない。
今はクエストXPの損も絡むから、こういう動きはリスクがさらに増えている。
それでもDoranはこれをやって、その後もトップの主導権を維持してSiwooを叩き割った。
あれはかなり印象に残った。
DoranはGame 1を本当に上手くやり切った。
レーン、序盤ローム、ソロキル、サイド管理、集団戦。
アンベッサのプレイに穴がなかった。
他のレーンが崩れたことでDKはかなり苦しくなったけど、決定打になったのはDoranがアンベッサでマスタークラスの試合運びを見せたことだ。
チャットでよくある質問。プロ目線だとランブル対アンベッサのマッチアップって普通どうなる?
基本的には両方やれるレーンだ。
さっき言った通り、メタ上位同士が五分五分でファームして、後半の小規模戦や集団戦でどっちが影響力を出せるかで差がつきやすい。
ただ、アンベッサが先に有利を取った場合は、サイドでランブルより優先権を持ちやすい。
スプリットの状況だと、ランブルのほうがアンベッサよりガンクに弱いからだ。
それ以外にも、小規模戦とかトップとジャングルの2v2でアンベッサ側に分がある場面もある。
とはいえ、ランブル側にも言い分はある。
対アンベッサのレーン自体は普通にやれるし、押し込まれて何もできないみたいな形にはなりにくい。
サイドではアンベッサが分かりやすい強みを持つ一方で、ランブルには汎用性がある。
これがランブルが高評価ピックでいる最大の理由でもある。
メタのAPトップとしてほぼどんな構成にも入りやすい。
いろんなマッチアップに比較的雑に出せる。
トップのクエストの関係で、イグナイトを選びに行く選択肢も取りやすい。
Game 2
T1(青サイド、1st)
バン:マルファイト ヴァルス グウェン / レク=サイ ナミ
ピック:ヴァイ / ライズ サイオン / カイ=サ ノーチラス
DK(赤サイド、2nd)。
バン:ジェイス バード アフェリオス / ユナラ アッシュ
ピック:ウーコン コーキ / アニビア / ザーヘン / アリスター
Game 1と同じで、Game 2もDKのドラフトはかなり良かったと思う。
見れば分かるけど、T1の構成は真正面から突っ込んでいくエンゲージ色が強い一方で、DKの構成はそれを受け止めて返す形にかなり向いている。
T1が少しでもミスって視野が狭くなった瞬間、DK側が集団戦で押し返せる構成だ。
それだけじゃなくて、レーン戦が少し大変になり得る点を除けば、DKはスケーリングも集団戦要素も強い。
だから配信でも、DKはGame 1の後に控室で、レーン戦に寄せすぎて負けたからGame 2は変えよう、みたいな話をしてたんじゃないかと言った。
もちろんT1の構成に価値やスケールがないわけじゃない。
ただ、T1のほうが実行難度が高い。
しかもDK側には、複数の対エンゲージ要素が揃っている。
正直、序盤はDKがかなり上手く進めていて、これはDKが勝ち切るなと思ったくらいだ。
解説者として一番嬉しい瞬間って、試合が自分の言った通りに進むときなんだよな。
俺が正しかっただろ、みたいにドヤりたいわけじゃない。
解説者側は、その時点での最適解を考える特権がある。
それを選手が画面の中でそのまま再現してくると、うわこいつらマジで上手いって興奮が来る。
ただ、こういう瞬間はそう多くない。
選手のせいじゃない。
こっちはUIでクールダウンも見えるし、マップ全体を俯瞰で見ている。
第三者視点で明らかに見えることが、試合中の選手に同じ温度感で見えるとは限らない。
一人称で秒単位の判断を積み重ねながら、常に客観的に最適な行動を選び続けるのはめちゃくちゃ難しい。
T1みたいなトップチームで一番気持ちいいのは、正解への同期率が異常に高いところだ。
世界最高のマッサージ師に背中を揉まれてるみたいな感覚に近い。
ここをもう少し下、もう少し左、もう少し強く、みたいに言わなくても、こっちが辛いところをほぼテレパシーみたいに的確に押してくる。
今この展開ならT1はこれをやれば戻せるな、と頭の中で思った数秒後に、T1が本当にそれをやる。
Game 2の17分15秒の集団戦もそうだ。
T1が5-0でエースを取ったあのファイト。
試合後にアナリストデスクがかなり細かく解説してたけど、実質あの一発で勝負が決まった。
変な話なんだけど、あの結果って20回やって1回あるかどうかくらいのレアケースだと思う。
T1側にとって、あらゆる要素が都合良く噛み合わないと、ああはならない。
さっき家に帰ってから何度も見返したけど、それでもまだ信じられない。
普通なら、あれは五分交換になるべきファイトだった。
良くてもT1が勝って、数人落ちるくらい。
5-0の綺麗なエースにはならない。
なんであの集団戦がT1にあそこまで寄ったのかと聞かれても、正直はっきりした答えは出せない。
ただ、まず挙げるならヘラルドの使い方だ。
T1はファイトを見越してヘラルドを出していた。
強いチームはよくやるけど、ヘラルドをタワー破壊のためじゃなくて、次の戦闘の道具としてドラゴンピット付近で出すことがある。
この一連をスローで見ると、実はファイト直前のKeriaのノーチラスは結構まずい位置にいた。
ヘラルドがなかったら、たぶん最初に捕まるのはノーチラスだった。
でもOnerが先にヘラルドを出して、Keriaはヘラルドに乗って逃げられた。
ここが起点になる。
Smashのコーキが、押し寄せるミニオン処理のためにミッドタワー側へ上がっていく。
これが重要だ。
DKの構成がT1に対して噛み合っていると言ったのは、ドラゴンピットみたいな場所で陣地を作れるからだ。
DKが守りの体勢を敷いて、T1がそこに突っ込んで崩しに行かないといけない形になる。
このとき、DKの火力源であるコーキとアニビアが、同じ射線上に並ぶことがすごく大事になる。
ところがコーキが上がってアニビアから離れた瞬間、T1はヘラルドの突進をエンゲージ手段として使う判断を、ほぼ一瞬で下した。
さらにトップの状況を見ると、DoranのサイオンとSiwooのザーヘンがトップで1v1をしていて、どっちも体力が5割くらいだった。
ドラゴン周りでファイトが起きそうなら、本来は両トップとも帰還して回復してからテレポートで合流したい。
Siwooはまさにそれをやろうとした。
でもDoranがそれを止めた。
だからT1はこの角度が見えた。
コーキとアニビアが分断されていて、しかもザーヘンのテレポート合流のリスクも消えた。
その瞬間にヘラルドで4対4を仕掛ける判断になる。
それを見たShowmakerはアニビアの壁でヘラルドの突進を止める。
するとOnerがヴァイのアルティメットで深く入る。
この一瞬の間に、ザーヘンの帰還を止めたばかりのDoranが、体力半分のままタワーの安全圏から先にテレポートを通す。
ここもDoranだなってなる。
プロの試合でも、体力が少なくてテレポートがあるトップ同士だと、帰還は止めないでお互い回復してから現地で会おう、みたいな紳士協定がなんとなく存在する。
暗黙の了解みたいなやつだ。
Siwooはそれを前提に動いた。
でもDoranは違った。
帰還をキャンセルして、仕掛けのコールが出た瞬間に自分が先にテレポートを通した。
Siwooも慌てて合わせようとするけど、もうテンポ差が付いている。
テンポの話をすると、DKが理想とする集団戦の形が見えてくる。
守りながら返す構成のDKは、T1にテンポを握られたくない。
自分たちのペースでアニビアの範囲と分断でゾーンを作って、入ってきた重要ターゲットを落とすのが理想だ。
でも今回はそうならなかった。
DoranがSiwooの帰還を止めて、自分が半分の体力でも先にテレポートを通したことで、テンポがT1側に傾いた。
T1はエンゲージ手段が多いから、ファイトの冒頭みたいにアニビアが狙われる展開自体は起きうる。
だからこそこの状況では、ザーヘンみたいなチャンピオンが横や裏から入って、T1のヘイトを引き受けながらアニビアを安全に離脱させる役が重要になる。
でもSiwooのテレポートが3から4秒遅れて、DK側のテンポが遅れたせいで、それができなかった。
アニビアが捕まったのを見て、Smashのコーキはミッドから急いで合流して、射線を作り直そうとする。
ただ、コーキが戻る頃には、DKはすでにT1に仕掛けられていて、ザーヘンもまだ到着していない。
本来ザーヘンが切るはずだった横からの入り口が、テンポ差のせいでガラ空きだった。
T1は川の左側から自由に入ってこれた。
コーキはほとんど通常攻撃を入れる暇すらなく、ザーヘンが到着した時点ではもう戦いが終わっていた。
もし俺がDKにフィードバックする立場なら、こう言う。
まず、DKの狙い自体は間違っていない。
あのファイトが5-0の綺麗なエースになるなんて、普通は想定しない。
だからドラゴンに触った判断そのものに本質的なミスがあったとは言いにくい。
ドラゴンを取るか、T1を守りの陣地に引きずり込んで有利な条件で戦うか、という筋は通っている。
でも、ファイトになる可能性があるなら、ザーヘンがそこにいる前提で動く必要があった。
サイオンとザーヘンが両方いる5対5なら、ザーヘンの役割はもっと重い。
サイオンはアニビアの壁で突進を止められやすくて、できることが限られるからだ。
だからこそザーヘンが横からの侵入を切って、ヘイトを受けて、戦いを二分する必要がある。
ここが一番大きい問題だと思う。
だから仮にDKのコーチなら、ドラゴンに触るときはザーヘンを合流させておけ、トップでサイオンと意味の薄い1v1をするな、と言う。
それと、ファイトの起こり方も整理する。
Keriaの位置を見て仕掛ける発想自体は良かった。
でもヘラルドでKeriaが救われた時点で、コーキとアニビアは即座に寄って、同じ射線を作るべきだった。
この2点が重要なのは、結局T1が仕掛けを決断した理由そのものに直結するからだ。
トップでザーヘンが止められていて、コーキとアニビアが分断されていた。
その条件が揃ったから、T1は角度を見つけて仕掛けた。
T1があのファイトを完璧にやり切れたのは、DKがその隙を与えてしまったからだ。
Game 3
T1(青サイド、1st)
バン:マルファイト カ・サンテ ルル / ツイステッド・フェイト グウェン
ピック:ヴァルス / ノクターン ガリオ / ケネン レル
Dplus KIA(赤サイド、2nd)
バン:ジェイス バード オーロラ / ブリッツクランク アッシュ
ピック:パンテオン ルシアン / ナミ / アーリ / オラフ
Game 3は、Gen.GやT1みたいな最上位と当たると、結局こうなるよなって部分が出た試合だったと思う。避けられない。どうしても出る。シリーズを通して見ても、DKのボットの不安定さが最後まで足を引っ張っていた。前のシリーズでも、格上相手のボットが似たような苦しみ方をしてたけど、今回も同じだ。つまり別の言い方をするとサポート差が出たって話になる。ただのサポート差じゃなくて、かなり大きいサポート差だ。
でも、こう言い換えたい。若い選手のSiwooがKiinやDoranみたいな選手相手に足りない部分が出るのとか、CareerがKeriaみたいな相手にパフォーマンスで負けるのって、本当に本人たちのせいなのか。
柔らかいサポートがマップをどう移動するかは、昔からプロでは重要だったけど、今はたぶん今まで以上に重要だ。だからCareerのナミがT1の動きに何度も狩られる展開になったし、トップもSiwooのヨリックが本来取るべき有利をDoran相手に取れなかった。
DKはこのシリーズ、1度も本当に前に出られた時間がなかったと思う。Game 1の序盤からGame 3の最後までずっとそうだ。だけど、さっき言った通り、これを全部本人たちの責任にするのも違う。DoranやKiinやZeusみたいなの相手にすると、まあそうなる。そういう話だ。ナミみたいな柔らかいサポートで、T1のノクターン構成を相手にしたら、そりゃ地獄になる。そういうゲームだ。DKの選手たちには、T1とGenGに連続でやられた結果で必要以上に沈まないでほしい。
前の配信でもT1とOnerとノクターンの話をした記憶がある。ノクターンはT1とOnerにとって頼れる持ち札で、世界で一番ノクターンを上手く使うのはT1だと思っている。ノクターン自体は別に環境の最上位でもないし、メタの中心でもない。それでもT1はノクターンの試合運びが異常に上手い。
Game 3で見せたノクターン絡みの連携を見れば分かる。Onerが個人として上手いだけじゃなくて、チーム全体がノクターンとパラノイアをどう使うかを理解している。あれはOnerがノクターンを得意だから成立してるだけじゃない。T1全体が、チャンピオンのグローバル性を含めてとんでもなく上手く使っている。相手視点でこれをやられることを想像しただけで、息が詰まるはずだ。
T1は汚い。しかも汚くやるのが上手い。汚いっていうのは、不正とかじゃなくて、ゲームの進み方の境界をあいまいにしてくるって意味だ。多くのチームの試合は、プロレスみたいにターン制っぽくなる。お前の番、俺の番、お前の番、俺の番。ここで殴って、ここで避けて、ここで飛んで、ここで潜って、みたいな感じで、試合が振り付けされた交響曲みたいにターンで進むことが多い。T1はそれをやらない。試合のテンポと進行をわざと濁らせてくるから、相手は今自分が攻めてるのか守ってるのかすら、途中で分からなくなる。
35分55秒の、DKがバロンを触る流れの直前の一連も面白かった。DKがサイドでFakerを大人数で倒しに行った。あれはいい。そこからバロンに行く判断をしたわけだけど、そのバロンコールが正しかったのかは、正直きっぱり答えが出ない。
理屈の上では、バロンに行くのは正しいと思う。ノクターン相手にずっと息苦しい試合をしていて、ガリオがデスタイマーに入っている時間は、たぶんバロンを取れる最大のチャンスになる。だけど見返していくと、本当にそれで良かったのかという疑問も出てくる。
Fakerが落ちた瞬間の状況を、DK視点で整理する。ガリオは残り1分のデスタイマー。バロンは湧いている。ドラゴンは40秒後に湧く。しかもT1はドラゴンスタックが3対1で勝っている。だからT1のドラゴンソウルを止めて、試合をさらに5分引き延ばす選択肢もあった。結果論で言えば、ドラゴン周りの視界を固めてドラゴンを取るほうが安全だった。でもそれが言えるのは、巻き戻しができて、完璧な視界で見られる側の特権でもある。
36分20秒の実際のバロン着手については、DKがバロンピットの裏にT1のワードがないと踏んだんだと思う。仮にワードがあっても、Doranのテレポートがあそこまで深く裏から入ってくるとは想定してなかったはずだ。結局このプレイを決めたのは、DKがバロンピット裏を見られていなかったことだと思う。あそこが見えていれば、反応できたか、少なくとも反応するチャンスはあったはずだ。
ただ、ノクターンのパラノイアで視界を落とされる可能性もある。だからこのバロンが良かったかどうかは、やっぱり断言しづらい。うーん。バロンピットでまたパラノイアと雷撃の大嵐の組み合わせでボコボコにされるのを見ると、やっぱり行かないほうが良かった寄りの気持ちが強くなる。狭い場所でノクターンとケネンの視界落としから範囲コンボを食らう可能性だけで、バロン自体を避ける理由として十分だったとも言える。
35分05秒のシーンは、T1が汚いって話の具体例になる。サイドでのガリオ狩りは、単にFakerが捕まっただけじゃない。直前にSmashのルシアンが良い動きでKeriaのレルを落としている。だからDK側は、相手サポートが落ちた、今は自分たちの番だと思う。ところがその瞬間に、Fakerのガリオがトップのインヒビタータワーに向けてウェーブを強く押し上げてくる。止めるために複数人とリソースを割かされる。そうしているうちにレルが復活する。でも今度はガリオが60秒落ちる。だからDK側は、ガリオが1分落ちてるならまだ自分たちの番だと思う。そこでバロンに向かう。そこからT1のノクターンとケネンの動きが飛んできて、あとは見た通りだ。
これが、T1がゲームの進み方をいじってくるって話だ。自分の番だと思った瞬間に、相手の返しで自分の判断が揺らぐ。Keriaのレルが落ちてから、DKがバロンで壊滅するまでの長い流れは、その産物だと思う。DKがバロンに行ったのも、自分たちが行ける立場にいると信じさせられたからだ。誤解しないでほしいけど、10チーム中9チームはあのバロンを触る。DKだけが特別じゃない。ノクターンとケネンの脅威が残っていても、自分たちの番だと思えば正当化できると感じてしまう。
これを見ると、今のT1がどれだけ強いかがよく分かる。おかしい。強いのは分かってるのに、さらにその上を行く。今の同じ頂点側にいるGenGと比べても、強さの質が違う。こう言うと分かりやすい。GenGは、どうやって負けるのかが想像できない強さだ。T1は、どうやって勝つのかが想像できない強さだ。毎回、ドラフトも試合中のプレイも、想像と期待の枠を普通に超えた形で勝ってくる。
Source: Cloudtemplar’s Review of LCK Cup Superweek (T1 – DK)
T1サーカスでござる。
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コメント
nocの体がダァクネェスで突っ込んで離脱できないくらいもっと弱くなりますようにと
ONER nocみて毎度毎度思うのよな柔らかいの倒してCC複数当てても離脱できてしまうのが本当によくない
コメントを書いてしまいたくなる、そういう良い記事だ。
解説者クラウドテンプラーのやっべえゲーム理解度と、LOL観戦の深淵の一端を見た気がする。ゲーム理解度が深いと見えてる世界が違うよなと感じさせられる
自分には強いチームだ、強い選手だ、としか観戦時には思えないけど
ここまで深く見れるとどこまでもこのゲームが楽しくて仕方ないだろうなぁ、羨ましいなぁ…
GenGは、どうやって負けるのかが想像できない強さだ。T1は、どうやって勝つのかが想像できない強さだ
→これほどこの2チームを的確に言い表した言葉をみたことがないな