以下は、五月三日YouTubeに投稿されたLCKコメンテーターのCloudTemplarによる、MSI三日目、 FlyQuest対T1と Fnatic対Top Esportsの議論の抜粋だ。
FlyQuest対T1
(CTがセナとカリスタをT1に渡してはいけない理由は、もし渡してしまうとKeriaがマップ全体に影響を与えてしまうからだと説明している)
他のプレイヤーを褒めるとすれば、さっきの続きになるけど、今のメタはレーンスワップが多くて、以前の動画や解説で議論していた時に何度も言っていたように、「ソード」チャンプ(韓国のLoL用語で、タンクの反対でタンキーではないが大ダメージが出せるポテンシャルが高いチャンピオンのことを指す。例としてフィオラが挙げられる。)やスペシャリストやリスキーなピックはトップでは出てこない。
だからトップレーナーはレーンスワップ対策としてのタンクが大好きで、タンクの価値が上がる構図が見られる。その意味でトップがタンクをピックすることで、潜在的なレーンスワップに備え、チーム構成のバランスを取ることを可能にしているんだ。
だから一般的に言って、トップTFや「ソード」対「ソード」の試合に比べれば、トップレーンでのタンク対タンクのマッチアップとなれば、タンクの方が安定していると予想される。確かにそうなんだけど、皮肉なことに、俺自身がタンク対タンクの対戦のエキスパートとして言えるのは、特にレベルが低いときは、みんなが期待しているよりもずっとダメージトレードがシビアだってこと。
結局のところ、タンクはレベル1からタンキーっていうわけじゃないんだ。さらに、タンク対タンクのマッチアップとなると、接近戦になることが多い。どちらのチャンプも近接チャンプである可能性が高いから、近接戦闘やレーン戦では多くの変動要素があって、レーンのバランスが崩れることもある。
そういう意味では、タンク対タンクのマッチアップでは、レーニングにおけるスキルとウェイトクラス(プレイヤーのレーニングフェーズでの腕前や能力のこと)がより重要な意味を持つように思える。
これまでの試合を見ていても、そういう印象を受ける。それはなぜか? そもそもトップは一対一のレーンであり、トップのキャリーやトップのポテンシャルの話題は今スプリットを通して繰り返されていたものの、今トップレーナーたちに最も求められている能力は、レーンスワップによって起こりうる、より幅広い変動要因に対応する能力なんだ。ボットレーナーがトップサイドに行くこともあれば、3人以上のプレイヤーからダイブされることもある。守備、不測の事態への対応、安定性、判断力、こういったスキルがより重要になった。
例えば、レーンスワップがなかったら、一対一のレーンを上手にプレイして、そこで主導権を得ることが有利なスキルとなる。「一対一でどう相手を倒すか。この一対一のマッチアップにどう対応し、どう差を広げるか?」
しかし今は、想定されるシナリオが非常に多くなってくる。さらに、タンク対タンクの対戦だと、これらのことがより重要になる。簡単に言えば、タンクが攻撃的にプレイして試合をキャリーしてくれるとは思わないよね?
この話題について長い間話してきたけど、結局のところ、Zeusがこのマッチアップを実に上手くプレイしたという結論に戻る。Zeusはいわばトップでの差を広げたんだ。T1のスノーボールゲームプランは「プランの核となるボットレーンが先行する」と表現できる。トップレーンはオートハントモードのままだけど、トップレーナーが自力でレーンを制する。ミッドとジャングルがトップに介入して活躍する。これらが互いに影響し合い、この試合ではそれが見事に生きていた。T1はかなり圧倒的なパフォーマンスを見せ、ドラフトフェイズではT1が望むものをすべて手に入れた。
俺が雑魚タンクプレイヤーだからかもしれないけど、一番印象的だったのはオーン対ザックのマッチアップだった。Zeusは試合開始から後手に回ってたが、逆転してレーンでぶっちぎってた。とても印象的だった。ソロキューでは、このマッチアップを100回くらいプレイしたけど、細かい比較をするなら、このマッチアップはオーンにとってそれほど簡単なものではない。
ザックにとっては、心理的にもマッチアップ的にでも、ほんの少しだが簡単。しかし、試合中に何度も言ったように、Bwipoは最初のキルの後に大きなミスを犯し、T1はそのミスを何度も何度も咎めて、どんどんプレッシャーをかけていった。率直に言えば、Zeusがトップレーンでの大きなスキル差を見せつけていた。
「(チャット) もし逆の立場だったら、Zeusが勝っていたような気がする」
そうだけど、チャンピオンだけの話じゃないんだ。これは過去に何度も言ったことだけど、 理論的に言えば、このゲームで得られる最大の価値は、タンクチャンプでレーンを支配することにある。これを単純に考えてみよう。
「ソード」チャンプでレーンを支配することは自体は素晴らしいことだ。レーンを支配することはどんなときでも良いことだが、もしそれをタンクチャンプで行えば、君の価値はうなぎ上りになる。
君が「ソード」チャンプでレーンを支配しているとしよう。それでも攻撃されたら死ぬだろう。単純なことだ。でもタンクの場合、ちゃんと育ってれば、そう簡単には死なない。ブルーザーとタンクも、少なくとも中盤まではかなりのダメージを出すことができる。だから前者には、たとえ多くのリソースを獲得していたとしても、死ぬリスクは常にある。一方、タンクは死なずにある程度のダメージを出し続ける。
LoLはチームゲームであり、チームとしてのプレイとなると、レーンを支配したタンクはより幅広い役割を担うことができる。もちろんメタにもよるが、トップレーン、ジャングル、サポートという、通常タンクをプレイするレーンでは、ほとんどの場合タンクはレーニング中は弱い。結局のところ、レーンを支配できるタンクがそれだけOPということだ。だからこそ、メタがタンク有利のときに多くのタンクがピックされるのであり、その不利を克服すればそれだけ強くなれるのだ。
この先、より多くのタンクを目にすることになるだろう。オーンでもザックでもサイオンでも何でもあり。そんな中、トップレーンのタンクとの接近戦やレーンスワップでは、プレイヤーの安定性を見る良い機会になるだろう。
(中略)
Fnatic対Top Esports
さてさて、次はTES対Fnatic。個人的には、Fnaticが試合に出ること自体が番狂わせだと思う。他の人はそう思わないかもしれないが、俺は個人的にそう思う。試合に勝つのは、それだけ難しいことだと言いたい。もちろん、可能なことだけど、それでもね。
Fnaticの試合は、Humanoidが本当にいいプレイをしてた。Humanoidは国際試合でかなり良いパフォーマンスをすることで有名だからね。でも、予想以上にいいプレイをしていたので、とても印象的だった。Fnaticのトップサイドはシナジーを構築し、相手を圧倒した。素晴らしいショーだった。
TESにとって、負けることはもちろん嫌なことかもしれないが、ポジティブに考えれば、負けることもメリットになる。もちろん、トーナメントの全試合で負けなしというわけにはいかないし、場合によっては負けなしが悪い結果を生むこともある。もちろん、他の選手が見る分には良いことだが、一般的に言えば、負けなしはプラスにはならない。
上位チーム同士の対戦では、負けを糧にして強くなるチャンスがあったほうがいい。もちろん強いチームにとってはそうだ、という話だ。弱いチームにとっては勝つたびに切り札を失うことになるが、強いチーム、特に優勝候補のチームにとっては、試合に負けることは悪いことではない。
もちろん精神的には難しいし、期待が大きいからファンが騒ぐこともあるだろう。「TESはオワコン」、「TESは弱い」、そんな声が聞こえてきそうだ。しかし、それに振り回されない限り、もっとうまくやれることに集中し、負けを糧にする限り、それは悪いことではない。
TESの問題点は? まあ、HumanoidのパフォーマンスとCloudTemplarのパフォーマンス、じゃなくて、Cremeのパフォーマンス(苦笑)、そしてTianのパフォーマンスと重なるものがあるね。確かに、このペアの試合でのパフォーマンスには問題があったと思う。個人的には、猫だましを食らったのだと思う。その可能性が高い。「こんなにうまいのか?」ってね。 ルブランが選ばれることはもちろんあるが、ルブランであんなプレイをするとは……。
Tianに関して言えば、慣れ親しんだリズムに陥ったと言える。これはジャングラー、特にほとんどの試合で負けるチームでプレイしているジャングラーと、ほとんどの試合で勝つチームでプレーしているジャングラーの問題かもしれない。
どちらの状況でも、ある種のリズムに陥ることがある。前者の場合、チームが何かのきっかけで勝ち始めたとしよう。運かもしれないし、他の要因かもしれない。しかしそんな状況でも、ジャングラーはチームが負けているかのようにプレーするかもしれない。そのジャングラーはゲームを雪だるま式に進める方法を知らない。「そうか、うちのチームはたいてい負けているんだ。
川には行かず、忍び足で安全なプレーをしなければならない。」 例えばこんな感じだ。勝つことが多いチームのジャングラーは、ソロレーナーがレーンを制することが多いので、その動きは自信に満ちていることが多い。チームが勝つことがほとんどで、ソロレーンは相手よりも寄りがいいからだ。第2試合のTianは、何もせずに死んでしまった。「うちの連中のほうが寄りがいいはずだ」、「今突っ込んでもこんな死に方はしないはずだ」などなど。焦っていたせいか、ティルトしてたせいか、ミスも多かった。
これがTianの評価が低い要因の一つかもしれない。一度枠にハマったらなかなか抜け出せない。例えば、10試合は本当にいいプレーをしたが、1試合でやらかしただけで 「オワコン 」とか「本番に弱い 」ってことになってしまう。
Tianは本当にいいプレーをするけど、こういうときはしょうがない。しかし、これはTian自身が克服しなければならない問題だ。Cremeはまだまだ成長が期待される新進気鋭の選手。Cremeが積極的で大胆なのは、本当にプラスだと思う。第1試合、第2試合で、いわゆるギャップがあったら、もう少し安全なプレーを期待するものだが、第3試合でトリスターナを使って飛び回るとは……。Cremeには勝利へのメンタリティーと自信がある。これらのことは、Cremeを選手としてさらに成長させるのに役立つだろう。TESが慢心することなくルブランをバンしたこともポジティブな点だ。
TESは弱そうという人もいるだろう。Fnaticに負けて、トップサイドが脆いことが分かった。TESはただ弱いだけだ、と言うこともできる。それ自体は間違ってはいないが、俺の頭に浮かんだのは、「すごい、TESのボットレーンはマジで強いな 」ということだった。
TESのトップサイドが崩れるのは「まあ、そういうこともあるよね」程度のことだが、ボットレーンは3試合連続で相手をボコボコにした。今後対戦しても、相手をボロボロにし続けるのではないかとさえ思えた。そういうオーラがあった。それが俺の出した結論だ。「TESは強い、特にボットレーンが」
LoLの基本
少し理論の話をしよう。覚えとくといいよ。
LoLで最も重要なレーンは? ボットレーンだ。プレイヤーが2人いるから。
LoLで最も重要なプレーヤーは? ミッドだ。王族(韓国のLoL用語でミッドは王族、ジャングルは肉屋(最も下の階級)、サポートは道具と呼ばれている)だし、収入も一番高いレーナーだよ。
トップサイドとボットサイド、どっちが大事? トップサイドだ。3人いるから。これが基本だ。
ソロキューでもプロでも、ボットレーンが破壊されれば負ける。それほどボットレーンの存在は大きい。ボットレーンが破壊されたら、それを補うのは本当に本当に難しい。
ボットレーンが破壊された場合、どうすれば勝てるのか? 敵チームのトップサイドを破壊するか、巧みな仕掛けやマクロで差を詰めるしかない。しかし、これらはすでに難しい課題だ。ソロキューの試合を思い返せばわかるだろう。
なぜボットレーンは簡単に破壊されるのか疑問に思う人もいるだろう。プロシーンでも、ボットレーンは割と簡単に破壊される。なぜか? それはボットレーンが最も多くの変数を持つレーンだからだ。
その変数がどれだけ複雑かという観点で考えれば、最も難しいレーンであり、最も実力差が出るレーンであるとも言える。単純に言えば2対2のレーンなのだが、うまくいかないことのほうが多い。プロプレイヤーやプロチームでさえ、ボットでのマッチアップを把握するのは難しい。トップ、ジャングル、ミッドのマッチアップについて考えてみよう。パイロット(プレイヤー)の違いを考慮しても、より直感的だ。しかしボットレーンに関しては、考慮すべきことが非常に多く、一歩間違えば負の連鎖に陥る可能性がある。しかも、一度劣勢に立たされると、そこから巻き返すのは至難の業だ。
もちろん、韓国の選手には親近感を覚えるし、NoahやJunを褒めることができるなら褒めたい。ただ、TESのボットデュオは、とてもいいプレイをしていた。現実的なことを言わせてもらえば、それもある意味仕方がない。理由はたくさんある。まず、LECには国際戦上位にいるような強いボットデュオがいない。
G2のHans Sama? パフォーマンスが物足りないシーンが多すぎる。LECのボットレーン内では競争が難しく、上達するための環境も整っていない。その中でNoahとJunはいいプレーをしていたが、やはり実力差はある。それに、NoahとJunはLECでもいいプレーをしていたし、今大会でも難しい状況の中でいいプレーを見せていた。しかし、簡単に言えば、JackeyLoveとMeikoはS級だ。S+といっても過言ではないデュオだ。雑な言い方だが、どうやってあいつら相手に勝てというのか。
もちろん、これほど苦戦するとは考えにくかったが、JKLとMeikoの実力は化け物級だから仕方がないともいえる。今、Elk&ONペアの評価が高い理由もそこにある。JKLとMeikoは、RulerのいるJDGを下し、その過程で本当にいいプレイをした。しかし、Elk&ONはあれだけのパフォーマンスを見せたのだから、「Elk&ONは世界最強のボットデュオ」という評価もある。俺が言いたかったのは、Noah&Junにとっては常に難しい相手だったということだ。
個人的に残念に思ったことの1つは、おそらく対戦相手の強さを認識していたからだと思うが、ドラフトがボットレーンのBANなどを考慮したにもかかわらず、TESにとって本当に明らかに強力なピックを何人か通してしまったように感じることだ。
JackeyLoveとMeikoはすでに強力で、対戦相手を打ちのめす強力なツールを手に入れていて、相手からすると難易度がすごく高い。例えば3戦目のザヤ&ラカンは、ウェイトクラスの低いチームに対して使えるピックだ。ザヤ&ラカンは難しい状況でも試合を維持することができ、チャンスがあれば試合をひっくり返せる可能性がある。しかし、ボットレーンを得意とするチームに対しては、本当に良いプレーをしなければ、ネクサスが壊れるまでひたすら粘着されるだけだ。特にボットレーンからスノーボール最大限の力を発揮するチームから。
競合チームで言えば、T1、BLG、TESはいずれも優れたボットレーンゲームを展開する。厳密に言えば、この比較ではGen.Gはその分野ではそれほど強くない。要は、中途半端な戦略でボットレーンに来たら、そこで試合は終わってしまうということだ。3試合ともFnaticのボットレーンは苦労していた。だからこそ、第2戦の勝利は大逆転だったと思う。厳しい試練に直面したチームが、それを乗り越えることができた稀有なケースだった。100分の1のケースだ。
一番重要なレーンやプレイヤーのピンチにいち早く駆け付けられるトップのタンクがいるらしいでござる。
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コメント
この手のタンクの使い方で間違いなく上手いのはKiinだと思う
でも後半の話題にあったBotレーンだとGenGはちょっとうまくいってなかったからどうなるんだろう
『韓国のLoL用語でミッドは王族、ジャングルは肉屋(最も下の階級)、サポートは道具と呼ばれている』
サポートが1番下の階級どころか人間扱いされてないの草
使い手と使い方次第でなまくらにも名刀にもなるから道具なんじゃね?
最近のメタだとSupは全然奴隷にみえないよね
keria位になると妖刀だから生半可な王族じゃ切り捨てられそう
このゲームで得られる最大の価値は、タンクチャンプでレーンを支配すること
この意見ガチで良いね
たまたま育ったソードがしゃぶられて普通に逆転されるのマジでよくある
まあ集団戦見据えたピックだからそりゃそうだろうって思った
今topにいるタンクで自分だけ育ったところで微妙なのはダメージを出すのに時間がかかるオーンくらい?それでも装備強化はあるしな
プロシーンでそんなにソードがしゃぶられることあるん?
タンクトップ?
つまり筋肉だな!
JackeyLoveとMeikoのbotは本当に強烈だったなぁ。安定して高いパフォーマンスを出してレーン戦を支配してた。国内でこの強さで揉まれたらそらお互い強くなるよなぁ
LoLで最も重要なレーンは? ボットレーンだ。プレイヤーが2人いるから。
(略)
トップサイドとボットサイド、どっちが大事? トップサイドだ。3人いるから。これが基本だ。
ソロキューでもプロでも、ボットレーンが破壊されれば負ける。
これどういうこと?
前後の繋がりからトップサイドとボットサイドで大事なのボットサイドの方じゃないの?
MIDをトップサイド扱いしてるからTOPJGMIDとBOTで単純に人数差による価値判断してると思われる
まぁ結局両サイドに影響与えるMID(+JGのライン)が重要ってことをめっちゃ回りくどく言ってる
ローテーションするまでの価値観みたいなところあるし、どのレーンも凹まなければいいのに越したことはないし、記事にもあるとおりスワップ対応の柔軟性求められたりするから「どのレーンがより重要?」ってのはわりとナンセンスな質問になりつつあるが
その後の文章を読むとボットサイドの事しか話してないから単なる書き間違いなんじゃないかな
両側に等しく行けるはずのmidとjgがトップサイド扱いなのも不自然だしな
元動画では何て言ってるんだろ
「ボットが壊された時にどう勝つ」に対して「トップサイドを壊す」が出てくるんだから
ボットサイドよりトップサイドの方が大事ってのとは矛盾してないと思うよ
midとjgはトップサイド扱いされてるというより
「2人負けたら他の3人でもっと勝てばいい」っていう人数の話だと思う
これは良記事
久々の良記事きたな
midのこと含めて上半身とかトップサイドっていったりするしjgはmidとセットで扱われるからjg含めて3人でトップサイドってことなんだと思うよ
でござるよ
こういうのだけあげろ
zeusももちろん強いんだけど、kiinには負けたことから考えても、
今はレーンスワップがある限り競技はタンクメタだし、
それが得意な選手の評価が上がるんだろうな