DetonatioN FocusMe
日本のLoLプロシーンを代表するチーム、DetonatioN FocusMe(DFM)で長年活躍してきたSteal選手が、プロ生活に終止符を打った。現在の心境をLoL忍者がインタビュー。
試された情熱の炎
LoL忍者:Stealさん、はじめまして!本日はよろしくお願いします!
Steal:はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。
LoL忍者:まずはプロ生活お疲れ様でした、ワクワクさせてくれるプレイをたくさん見せてくれて本当にありがとうございました。今の率直な気持ちを教えていただけますか。
Steal:ホッとしている気持ちと、もっと続けたかったという気持ちが半分ずつくらいですね。でも今は、引退を決めて良かったなという気持ちを持つことができています。
LoL忍者:そもそも、今回どうして引退することを決めたのでしょうか。
Steal:僕は毎年、「去年よりもさらに良い今年にしよう」という向上心を持ってプロ生活を送ってきました。しかし、今年は自分自身に満足することができませんでした。
改めて一年を振り返ってみて、「本当に自分は今年、去年より頑張ったのだろうか?」と自分に問いかけたのですが、ハッキリと「そうだ」と言い切ることができなかったんです。
このままプロ生活を続けていいのだろうかと何度も考えて、最終的に引退することを決断しました。
LoL忍者:成長した実感を感じることができなかったのでしょうか。
Steal:それももちろんありますが、プロデビューした当時の情熱と現在の情熱を比べてみて、自分は引退すべきだと思ったのです。
「自分もあの舞台に立ってみたい」――プロを目指したきっかけ
LoL忍者:そうなのですね。そもそもStealさんはどうしてLoLのプロ選手になろうと思ったのでしょうか。
Steal:最初はプロになろうなんて考えていませんでした。ただ純粋にゲームを楽しんでいただけです。そしてプロの試合を観ているうちに、「自分もあの舞台に立ってみたい」と思ったのです。
LoL忍者:当時からプロの試合はよく観戦していたのでしょうか。
Steal:そうですね。韓国ではテレビでも放映していましたから。LoLをプレイするだけでなく、プロの試合を観るのも楽しかったですね。
LoL忍者:ちなみに、当時好きだった選手は誰でしょうか。
Steal:僕が熱心に観戦していたのはだいぶ前なのですが……MadLifeさんをご存知でしょうか。
LoL忍者:もちろん、知っていますよ!レジェンドですね。
Steal:その後すぐにFaker選手が頭角を表しますが、当時はMadLifeさんがスター的存在だったんです。本当に良いプレイを見せてくれて、夢中で観戦していました。
LoL忍者:そうなんですね。MadLifeさんといえば、スレッシュの神がかり的な先読みフックが有名ですよね。
Steal:そうですね。でも僕が観戦していた当時はまだスレッシュはリリースされていなくて(笑)シーズン2でしたからね。MadLifeさんはブリッツクランクで驚くようなフックを決めていましたよ。
Stealがジャングルを選んだ理由
LoL忍者:そんなに昔の話だったのですね。StealさんのLoL歴の長さが分かりますね。ちなみに、当時からずっとジャングルをプレイしていたのでしょうか。
Steal:いえ、プロになる前はそんなことはありませんでした。やってみたいチャンピオンを見つけたら、そのレーンでプレイするような感じでした。
LoL忍者:そうなのですね。なぜプロではジャングルをプレイすることにしたのでしょうか。
Steal:うーん……単純に勝率が高かったからだと思います。「僕はどのロールに行くべきか」と考えながら色々なポジションを回り、最終的に最も勝率のよいジャングルに決めました。
忘れられない試合――日本史上初の快挙を達成
LoL忍者:Stealさんはプロ生活の大半をDFMで過ごし、国際大会にも何度も出場しています。Stealさんが忘れられない国際大会の試合を教えてくれますか。
Steal:2021年WorldsのC9戦です。タイブレーカーでC9を倒し、初のグループステージに進出することができました。
LoL忍者:あの試合は最高でしたね!本当に感動させてもらいました。ありがとうございました。
Steal:まぁ、試合内容自体はあまり良くなかったんですけどね……(笑) でも、勝利を掴んだ瞬間のチームメイトの喜ぶ顔は、忘れられない思い出です。
Stealが日本語が堪能な理由
LoL忍者:Stealさんは日本での生活も長く、日本語も本当にお上手です。日本での生活を始めた当初、苦労したことはなかったのでしょうか。
Steal:最初は慣れないこともありましたが、DFMの皆さんがとても良く面倒を見てくれました。ですので、すぐに馴染むことができました。
LoL忍者:日本語はどのように勉強したのでしょうか。
Steal:もちろん自分でも勉強しましたが、やはりチームメイトが教えてくれたのが大きかったですね。PazやCeros、それにviviDといったチームメイトたちが熱心に日本語を教えてくれました。とてもありがたかったです。感謝しています。
LoL忍者:なるほど。多くの人に支えてもらったんですね。
Steal:そうですね。その当時はviviDが、僕がこれまでやってきたような通訳のような仕事をやってくれていたんですよ。とても助かりました。
LoL忍者:viviDさんとは今でも個人的に仲が良いのでしょうか。
Steal:最近viviDは結婚したので、結婚式に出席しました。
LoL忍者:とても綺麗な奥様ですよね!
Steal:本当にそうですね!(笑)
強かったLJLのジャングラー、そして憧れの選手
LoL忍者:さて、ここからはLJLで対戦した選手で、思い出に残っている選手について教えていただきたいと思います。以前、Eviさんの配信か何かで、LJLで対戦していて一番強いと思うジャングラーはhachamecha選手だと仰っていたと思いますが、覚えていらっしゃいますか。
Steal:もちろん、覚えています。hachamecha選手は、特にジャングラーがチームを補助するメタのときは上手だなと思いました。
LoL忍者:なるほど!確かに、ジャングラーはメタによってガラリと役割が変わりますものね。
Steal:そうですね。単純に昨年と今年を比較しても、全然違いますからね。
あと、今年SHGでジャングラーを務めていたForest選手も上手でした。
LoL忍者:具体的にどのような点が上手だと思ったのでしょうか。
Steal:自分の描いた戦略の実現に向けて、上手に味方をコントロールしているように感じられました。そういうところが上手だなと思いました。
同じ理由で、以前V3 EsportsでプレイしていたBaby選手(現・River選手)も上手だなと感じました。
LoL忍者:なるほど。では世界に目を向けてみて、Steal選手が尊敬するジャングラーは誰でしょうか。
Steal:Ambitionさんです。ミッドからジャングルにロールチェンジして、最終的にWorldsで優勝したのは本当にすごいと思います。相当な努力をしたんだろうなぁと。
ロールを変えるということ自体、大きな決断だったと思いますし。最終的にはMVPも獲得されていますからね。
LoL忍者:確かに、偉業とすら言えるかもしれませんね。ジャングル以外ではどうでしょうか。
Steal:やはりFaker選手です。ずっと第一線で高いパフォーマンスを維持しているのは本当にすごいです。
もちろんうまくいかない時期もありましたが、そういうときこそ努力して自分を鍛え、再びカムバックして高いパフォーマンスを見せるのは、なかなかできることではないと思います。本当に素晴らしい方です。
Stealのジャングル哲学
LoL忍者:おっしゃる通りだと思います。さて、話題を変えて。Stealさんがジャングラーとしてプレイしている時に、一番大切にしている考えは何でしょうか。
Steal:僕が常に意識していたのは、やはり味方の状況をよく見て把握することです。
そもそも、ジャングラーというのは味方全体を調整する役割だと思っています。ですから、味方のレーン状況が今どうなっているのかをよく把握するようにしています。
LoL忍者:対面のジャングラーとの勝負という側面もあると思うのですが、そのあたりはどのように考えていらっしゃいますか。
Steal:ジャングラー同士の勝負は、ある意味1対1の勝負ではなく、味方をどこまでうまく活用するかの勝負だと言えると思います。
もちろん1対1の勝ち負けもあると思いますが、それよりも味方を上手にコントロールし、活躍してもらう。そうすれば、1対1で不利な状況を変えることもできますからね。
LoL忍者:なるほど。全体の指揮者として、味方に上手に動いてもらうような状況を作るということですね。
Steal:そうですね。味方を育てることもできますし、自分が育つために味方のレーンを優勢にしてすぐに寄ってもらうようにすることもできます。ただ、これはソロキューとは少し異なる考え方だとは思いますが。
LoL忍者:ソロキューの初心者ジャングラーは、どのような考えを大切にすると良いと思いますか。
Steal:ソロキューの初心者ジャングラーの場合ですと、まったく逆のことを言うようですが、あまり味方に流されないことが大切ですね。全部のレーンの言うことを聞いていたら、頭がバグりますから(笑)
味方の状況を把握しつつも、ある意味マイペースでゲームを進めていけると良いと思います。
LoL忍者:初心者おすすめのジャングラーは何でしょうか。
Steal:今のメタですと、アムムなどが良いのではないでしょうか。初心者の方は、できるだけ操作が簡単なチャンピオンを選ぶと良いと思います。そうするとファーム中でも心に余裕が生まれて、全体を把握することに繋げられます。
これがリー・シンやヴィエゴなどになると、ファームするのにも手元を見ていなければいけないので、全体を把握する余裕がなかなか生まれないと思います。
LoL忍者:やはりジャングラーは全体を把握することが大切なのですね。Stealさんといえばノクターンなどが思い浮かびますが、同様の理由でピックしていたのでしょうか。
Steal:そうかもしれませんね。ノクターンは慣れていることもあり、ファーム中でも各レーンの状況を細かく観察することができるので、重宝していました。
日本はこれからもっともっと強くなる
LoL忍者:Stealさんから見て、日本のLoLがもっと強くなるために必要なことは何だと思われますか。
Steal:来シーズンから、日本はより強くなるチャンスを手にしたと考えています。これまでWorldsやMSIなどの国際大会でしか対戦できなかった相手と、常に戦うことになります。より厳しい環境に身を置くと、人は成長して強くなることができます。僕はこれから日本がもっともっと強くなると期待しています。
LoL忍者:競争相手全体のレベルが上がるのは、強くなるためには良いことですね。僕も来シーズンを楽しみにしています。
さて、改めてStealさんの今後についてお聞きしたいと思います。今はプロ生活を終えてリラックスされていると思いますが、「将来このようなことをやってみたい」などのビジョンはおありでしょうか。
Steal:コーチとしてeスポーツ業界に戻ってくるのも良いなと考えたこともありますが、まずは兵役がありますからね。おそらく2025年の始めくらいには兵役に行くと思います。務めを果たしながら、じっくり将来について考えてみたいと思います。
LoL忍者:ありがとうございます。Stealさんの今後が楽しみです。最後に、読者にメッセージをお願いします。
Steal:いつも応援してくださって、本当にありがとうございました。僕が日本でプロ生活を続けられたのは、正直に言って、みなさんの応援があったからです。辛いときもたくさんありましたが、みなさんにパワーをもらってプロ生活を続けることができました。また皆さんにお会いできると良いなと思っています。本当にありがとうございました!
またお会いできるのを楽しみにしているでござる。
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コメント
steal兵役行かないで
Steal兵役行け
終わったら日本に帰ってこい
EviとStealの漫才好きだった
いえ、やつはとんでもないものを盗んでいきました
私の心です
兵役頑張ってな
大好きな選手でした!
Stealのシャコ本当に大好きだった、日本語もほぼネイティブレベルだし近年は本当にDFMの柱だったと思う、お疲れ様でした。また帰ってきてくれたら嬉しいです。
2021年は良かったなぁ・・・
本当に寂しくなるよ
戦略的な面でもStealが居たからDFMだった、本当に寂しい
兵役終わったらまた元DFMの面々と一緒にイベントにでも参加してほしい
LJLにおいては紛うことなきレジェンドだよな
お疲れ様でした
今までありがとう
長い間高いパフォーマンスを維持し、様々なチャンプを使いこなした
ゆたせろに続いてDFMを支えたし、LJLのレベルを世界に届くまで押し上げた一員だと思う
日本に来てくれてありがとう
stealの兵役中に世界が平和でありますように。
stealとdasherはKR助っ人であったけど、LJLの貢献度では間違いなくトップクラスだった
そんな2人が引退するタイミングとLJLがなくなるタイミングが同じなのは悲しいものがある
無事に終えてまた戻ってきてくれよな
早く戻ってきてね。
ありがとうSteal
たくさんのナイスプレイありがとう これからもずっと記憶に残ると思う
stealのポッピー好きだったな
お疲れさまでした
stealの引退が正直一番悲しい
今までお疲れ様、ありがとう
どんな形でもまた帰ってきてくれ
ノクターンやポッピーもいいけど
ウーコンやJ4みたいな集団戦の起点になるチャンプ使ってる時のStealは本当頼もしかった